親しい間柄の相手に使う「ここだけの話」
家族や親族、友人など親しい間柄の相手に話す場合は、他言無用ではなく「ここだけの話」と柔らかいニュアンスの表現を使うこともできます。例えば「ここだけの話なんだけど」と、一言添えるだけでもよいでしょう。
他にも「内緒にしてね」「ここだけの秘密」「黙っててほしい」といった表現も、他言無用の類語にあたります。親しい間柄だからこそ使用できる表現といえるでしょう。
他言無用の対義語2つ
他言無用の主な対義語は、赤裸々と公然です。赤裸々には包み隠さないという意味があります。他言無用は内緒話を隠したいときに使うため、正反対の意味を持つ言葉といえるでしょう。
一方、公然とは世間に知れ渡っている状態を表した言葉です。すでに周囲が情報を知っている状態を指すため、他言無用とは反対の意味を持ちます。ここでは、他言無用の対義語をご紹介しましょう。
包み隠さないという意味の「赤裸々」
「赤裸々」は「赤裸」を強調した言葉です。ちなみに「赤裸」の意味を辞書でひくと、以下のように掲載されています。
【赤裸(あかはだか)】
1. 完全に裸であること。まるはだか。すっぱだか。全裸。
2. 家財を取られるなどして、何もない状態。「借財の支払いで―になる」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
転じて赤裸々とは「包み隠さない」「何もない」という意味になりました。他言無用のように隠してごとをお願いするときに使用するのではなく、包み隠さず話してほしいときや心をすべてさらけ出すときに使用します。
例文
・彼女の告白は赤裸々すぎて衝撃でした。
・私は身の潔白を証明するために、すべての出来事を赤裸々に話しました。
・若い少年や少女が赤裸々に語り合う姿に感動しました。
世に知れ渡っているという意味の「公然」
公然の意味を辞書でひくと、以下のとおりです。
【公然(こうぜん)】
1. 世間一般に知れ渡っているさま。また、他人に隠さずおおっぴらにするさま。「―と酒を飲む」「―たる事実」
2. 不特定または多数の人が知ることのできる状態にあるさま。法律上でいう。
3. 隠しだてをせずに、おおっぴらに行動するさま。
「陪審に及ばずとて、―この案を決して」
(引用〈小学舘 デジタル大辞泉〉より)
公然は世に知れ渡っている状態を表しており、他言無用とは正反対の意味の言葉です。つまり公然は秘密の状態ではなくなり、皆が知っている様子を示しています。
例文
・その情報はすでに公然たる事実とされています
・私の上司と彼女の関係は公然の秘密でした
・去年私は離婚したため、彼と公然の付き合いを開始しました
他言無用の意味を正しく知ろう
他言無用は、内緒話を他人に話してはいけないという意味の言葉です。周囲の人には知られたくない話題を相手に伝えるときに使用します。ただし他言無用を単独で使うのは丁寧さに欠けるため、目上の人に使う場合は表現方法に注意しましょう。
反対に家族や友人などの親しい間柄であれば他言無用ではなく、「ここだけの話にしてね」と柔らかいニュアンスで表現できます。話す相手によって正しく使い分けることが大切です。
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