お手上げ
「匙を投げる」の言い換え表現として、両手を挙げて降参するという意味の「お手上げ」が挙げられます。何かに行き詰まったときや解決する方法が何もないときなどに、これ以上はどうしようもできないという意味で使える言葉です。
医者が「匙を投げる」という場面は、これ以上は治療のしようがないほどに追い込まれており、まさに「お手上げ」の状態だと表現できるでしょう。
【例文】
騒音対策は【お手上げ】の状態です。
万策尽きる
「万策尽きる」も、「匙を投げる」の言い換え表現の一つです。「万策」は全ての方法や手段、「尽きる」は終わる、なくなるという意味の言葉です。両者を合わせると、あらゆる方法や手段を試しても効果がなく、それ以上は打つ手がないという意味をもちます。
【例文】
・あらゆる方法を試したが効果がなく、【万策尽きた】。
・まだ【万策尽きた】わけではないので、諦めるべきではありません。
「匙を投げる」の対義語2つ
匙を投げるの反対の意味をもつ言葉はいくつかあります。例えば、以下の2つが挙げられます。
・七転八起(ななころびやおき/しちてんはっき)
・百折不撓(ひゃくせつふとう)
見込みがないことから手を引く様子を表す「匙を投げる」に対し、「七転八起」と「百折不撓」は何が起きても諦めないことを指す表現です。ここでは、「匙を投げる」の反対語を例文とともに解説します。
七転八起(しちてんはっき)
「匙を投げる」と反対の意味をもつ「七転八起」は、何回失敗しても諦めず、努力し続けるという不屈の精神を表す言葉です。「七転」は7回転ぶこと、「八起」は8回起きるという意味で、何度転んでもくじけずに立ち上がる様子を表しています。なお、同じ意味で表記と読み方が違う言葉として「七転び八起き(ななころびやおき)」があります。
【例文】
・【七転八起】の人生が今の自分を作ってくれました。
・【七転八起】の人生も悪くない。
・彼はどんなに失敗しても、必ず【七転八起】して立ち直っている。
・この企画が生み出されるまでは【七転八起】だったが、挫折しながらようやく形にすることができた。
百折不撓(ひゃくせつふとう)
「百折不撓」とは、失敗を繰り返しても気持ちが変わらないことを表します。蔡邕(さいよう)という人が記した中国の碑文『橋大尉碑(きょうたいいのひ)』に由来する言葉です。
『橋大尉碑』の中に「百折不撓、大節に臨みて奪う可からざるの風有り」という一文があり、これは「くじけない精神をもっており、国の大事に直面しても動じなかった」という意味です。そこから失敗しても、信念を曲げない様子を「百折不撓」と表すようになりました。
【例文】
・何度失敗しても、【百折不撓】の精神を忘れません。
・彼の意志の強さは【百折不撓】です。
「匙を投げる」を会話の中で使ってみよう
「匙を投げる」は、見込みがないことから手を引くという意味をもつ言葉です。病気の治療や仕事など、これ以上はどうすることもできないと諦める際に使います。
語源は江戸時代の医者が使っていた薬匙で、調合がうまくいかずに匙を投げる様子が由来とされています。関連する言葉がいくつかあり、例えば「お手上げ」や「万策尽きる」と言い換えることが可能です。
または、反対の意味をもつ言葉として「七転八起」や「百折不撓」が挙げられます。「匙を投げる」は日常会話からビジネスシーンまで幅広く使えるため、正しい意味や使い方を覚えておきましょう。
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