「贈呈」とは? 意味と読み方
何かしらの式典などで、花束を贈る際に使われる「贈呈」。なじみのある言葉かもしれませんが、正しい意味を調べたことはありますか? よく使う言葉だけに、意味や適切な使い方を把握しておきたいですね。
「贈呈」と似た言葉に「進呈」があります。この2つの言葉の違いや使い分けもまとめましたので参考にしてください。まずは「贈呈」の意味や読み方を見ていきましょう。
辞書で調べた意味は
【贈呈】
読み方:ぞうてい
人に物を贈ること。物を差し上げること。進呈。「花束を—する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「贈呈」は、公的シーンなどで使われることが多い言葉。記念品や花束などを贈る際に「贈呈」が使われるのを見聞きしたことがありませんか?
「贈呈」は 「差し上げる」という意味を持ちますので、かしこまったシーンで物を贈ることを表します。気軽にプレゼントすることには用いないと考えていいでしょう。
「進呈」とは違う?
「贈呈」と似ている「進呈」についても見ていきましょう。辞書で調べた意味は以下のようになります。
【進呈】
読み方:しんてい
人に物を差し上げること。進上。「記念に自著を—する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「贈呈」と同じ意味のように感じますが、実際の言葉の使われ方には違いがあります。「進呈」は形式ばらない気軽なシーンで用いられる言葉。「粗品進呈」「謝礼を進呈」のように使われています。
「贈呈」はかしこまったシーンやフォーマルな場面で使い、「進呈」は形式ばらないシーンで使うと認識していいでしょう。
「贈呈」言葉の使い方
ここからは、「贈呈」という言葉の使い方について紹介します。例文を一緒に見ていきましょう。
《例文1》結婚式の花束贈呈で、両親の顔を見るなり号泣してしまった
「花束贈呈」は、「贈呈」の中でよく使われる言い回しの一つでしょう。結婚式や記念式典、記念日のお祝いなどでお金や物を贈る際、「記念品贈呈」「花束贈呈」のように使います。
《例文2》営業成績トップの社員には、ささやかながら記念品を贈呈します
「贈呈」は誰に対しても使える言葉です。「贈呈」には「する」「される」「いたす」などをつけて使うことが多いのですが、いずれも相手を敬う表現となり、目上の人に対しても使えます。
《例文3》地元の企業から、市に対して寄付金が贈呈された
人だけでなく、企業や組織に対しても「贈呈」を使うことができます。「贈呈」は計画して行なわれることがほとんどで、その場合は事前にアナウンスされることが多いでしょう。
「贈呈」で注意したいこと
「贈呈」という言葉を使う際、注意したいことを紹介します。繰り返しになりますが、「贈呈」は「差し上げる」という意味を含みます。基本的には、かしこまったシーンなどで用いられる言葉。気軽なプレゼントや、カジュアルなシーンに用いると違和感を与えるかもしれません。
また、公的な場などで目下の人に記念品などを贈る場合も、「贈呈」を使います。相手を敬いながら気持ちを込めて贈るのが「贈呈」ですから、立場などが影響して「贈呈」を使えないということはないでしょう。
「贈呈」と似ている言葉:熟語
「贈呈」と似ている熟語を見ていきましょう。例文とともに紹介します。
「寄贈(きぞう)」
「寄贈」とは、物品をおくり与えることの意。「きぞう」もしくは「きそう」と読みます。価値あるものや骨董品、文化財などを公的な施設や団体などにおくり与える場合に使うことが多いでしょう。
《例文》
祖母の持っていた美術品を市の施設に寄贈することになった
「贈与(ぞうよ)」
「贈与」とは、金品を人に送ることの意。自分の財産を無償で相手方に与える意思を示し、それを相手が受諾することにより成立する契約のことという意味も持ちます。「贈与」に該当する場合は、「贈与税」が発生することもあるでしょう。
《例文》
孫に教育資金の贈与をすることになり、専門家を訪ねた
「贈答(ぞうとう)」
「贈答」とは品物や詩歌などをおくったり、おくり返したりすることを表します。冠婚葬祭やお中元、お歳暮、おみやげなど、さまざまなシーンで用いられる言葉です。
《例文》
駅前にある老舗の和菓子店でよく買うのが、贈答用の和菓子詰め合わせです
「恵投(けいとう)」
「恵投」とは、人に物を贈ってもらうことを敬っていう言葉。贈り主を敬う場合に使います。「恵与(けいよ)」や「恵贈(けいぞう)」と呼ぶことも。さまざまなシーンで使える言葉です。
《例文》
先方からご恵投いただいたのは、果物とジュースでした
「呈上(ていじょう)」
「呈上」とは、贈ることを表す謙譲語。差し上げるという意味で使います。かつては「ていしょう」とも呼ばれていました。
《例文》
記念品を呈上することになったので、品物選びを急がなければならない
「贈呈」と似た言葉:カタカナ語
カタカナ語にも、「贈呈」と似ている言葉が存在します。次に紹介する2つの言葉は知っている人も多いでしょう。
「プレゼント」
「プレゼント」は、贈り物や進物を指す言葉。贈り物をすることという意味も持ちます。「present」のカタカナ語。「プレゼントする」「プレゼントをもらった」のようにも使います。
《例文》
このネックレスは、子どもの頃にクリスマスプレゼントとしてもらったものです
「ギフト」
「ギフト」は、贈り物や進物のこと。「プレゼント」と同じ意味ですが、感謝の気持ちを伝える際に贈るのが「ギフト」、誕生日やクリスマスなど特定のイベントで贈るのが「プレゼント」のように使い分けることが多いでしょう。どちらの言葉を使っても意味は通じますので、厳密な使い分けをする必要はありません。
《例文》
母の日のギフトには、母の大好きな花とおいしい紅茶を選んだ
「贈呈」を英語で表すと
「贈呈」を英語で表す場合は、「presentation」や「presented」を使うといいですね。例文を紹介しますので、使い方の参考にしてください。
《例文》
presentation of souvenirs(記念品の贈呈)
At the wedding, I presented my parents with a bouquet of flowers.(結婚式で両親に花束を贈りました)
最後に
「贈呈」という言葉の意味や使い方、似ている言葉、英語表現などをまとめました。似た言葉はたくさんありますが、少しずつ意味合いが異なります。それぞれの意味を把握し、適切な使い分けをしたいですね。「贈呈」は誰に対しても使える言葉ですが、シチュエーションを選びます。気軽に贈り物をすることには用いませんので、注意してください。
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