生死流転(しょうじるてん)
「生死流転(しょうじるてん)」とは、生きる死ぬを繰り返して、地獄道や餓鬼道、修羅道などの六道(りくどう)を巡ることを意味する仏教用語です。煩悩を捨てて解脱すると、生きる死ぬの苦しい繰り返しから解放されるとしています。
「生々流転」とほぼ同じ意味ですが、生まれ変わって変化することに重きを置いた「生々流転」とは異なり、苦しみが続くというニュアンスで用いられることが多いでしょう。例えば以下のように使うことがあります。
・いつまで経っても生活は楽にならない。【生死流転】を繰り返し、来世も苦しそうだ。
・【生死流転】とはいうけれど、こんな生活を繰り返すのなら生まれ変わるのは嫌だ。
流転輪廻(るてんりんね)
「流転輪廻(るてんりんね)」とは、生きては死ぬ、死んでは生きるを繰り返し、いつまでも巡りさまようことを意味する仏教用語です。単にさまざまな世の中を巡り歩くだけでなく、どこを目的とすればよいのか分からずさまようことを意味するため、「生死流転」と同じく、少し不安げなニュアンスがあります。例えば、以下のように表現できるでしょう。
・どこに行っても私の居場所ではない気がする。【流転輪廻】して来世にいっても、きっと私の居場所はないのだろう。
・暗闇を歩いていると、【流転輪廻】をしている気持ちになる。先が見えないのは不安でならない。
なお、輪廻とは、流れるという意味の言葉です。煩悩を持つ人間が、生きては死ぬを繰り返しながらさまざまな命に姿を変え、消えることなくいつまでも存在し続けることを指します。仏教の教えのひとつで、インドで発展した考え方です。
有為転変(ういてんぺん)
「有為転変(ういてんぺん)」とは、すべての存在や現象は移り変わるので、たとえ短い時間であってもそのままの姿で留まることはないということを意味する仏教用語です。転変は「てんぺん」とも読みますが、「てんべん」や「てんでん」と読むケースもあります。
世の中のすべてのものがはかなく、あっという間に過ぎ去ってしまうことを意味する際にも用いられることがある言葉です。例えば次のように使うことがあります。
・今は家族がみんな元気だけれど、【有為転変】の世の中だから、病気や怪我の場合に備えておこう。
・【有為転変】は世の習いだから、いつまでも続くものなんて存在しない。
「生々流転」の意味を理解して使いこなそう
「生々流転」とは、生死を繰り返して変化していく意味を指します。いつまでも変わらないというニュアンスを強めたいときには「生生世世」、苦しさが続くときには「生死流転」、はかなさを強意するときは「有為転変」と使い分けることができるでしょう。
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