類語は「観光」「行楽」など
まず「物見遊山」の代表的な類語は以下の2つがあげられます。使い方を見ていきましょう。
「観光」
「観光」は、「かんこう」と読み、基本的には地方や外国の風景、史跡などを見物しに出かけるという意味の言葉です。「物見遊山」が気晴らしにぶらっと何かを見に出かける、という意味であることを踏まえると、「観光」は出かける目的がはっきりしている傾向にあるといえます。
ただし、大辞泉の補説にあるように、最近では「観光」は娯楽や保養のために余暇時間に日常から離れておこなう、スポーツや交流など幅広い活動のこともあらわすようです。
「観光」を使った例文には次のようなものがあります。
【例文】
・移動時間の短縮により、【観光】にあてる時間を増やすことができる
・外国人【観光】客にむけてのさらなるアピールが必要だ
・この湖は【観光】名所として有名だ
かん‐こう〔クワンクワウ〕【観光】
[名](スル)他の国や地方の風景・史跡・風物などを見物すること。「各地を観光してまわる」「観光シーズン」「観光名所」〔補説〕近年は、娯楽や保養のため余暇時間に日常生活圏を離れて行うスポーツ・学習・交流・遊覧などの多様な活動をいう。また、観光庁などの統計では、余暇・レクリエーション・業務などの目的を問わず、1年を超えない非日常圏への旅行をさす。
〔類語〕行楽、遊山、探勝、遊覧、物見遊山、漫遊、周遊、巡遊、歴遊、遊歴、回遊、旅行、旅、遠出、行旅、客旅、羇旅、旅路、道中、旅歩き、トラベル、ツアー、トリップ
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「行楽」
「行楽」は、山や野原に言って遊び楽しむことを指す言葉です。読み方は「こうらく」であり、「ぎょうらく」と間違えないように気をつけましょう。「物見遊山」のうち、遊山に「野山に遊びに行くこと」という同じ意味があります。
「行楽」を使った例文を挙げますので、ぜひ参考にしてみてください。
【例文】
・週末の【行楽】地はどこも賑わっているようだ
・紅葉シーズンなので、山に【行楽】に出かける
・今日は【行楽】にはうってつけの天気だ
こう‐らく〔カウ‐〕【行楽】
山野などに行って遊び楽しむこと。遊山ゆさん。「行楽に出かける」「行楽客」
[類語]観光・遊山・探勝・遊覧・物見遊山・漫遊・周遊・巡遊・歴遊・遊歴・回遊・旅行・旅たび・遠出・行旅こうりょ・客旅かくりょ・羇旅きりょ・旅路たびじ・道中どうちゅう・旅歩き・トラベル・ツアー・トリップ
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
日常用語での言い換え表現は「レジャー」「旅行」など
次に日常用語としても使われている言い換え表現についても見ていきましょう。
「レジャー」
「物見遊山」をフランクな日常用語に言い換える場合は、「レジャー」などが使えます。「レジャー」は自由な時間、余暇、それらを利用しておこなう娯楽や行楽を意味します。
「レジャー」を使った例文には次のようなものがあります。
【例文】
・春の【レジャー】の定番といえばお花見だ
・そろそろ【レジャー】が楽しめる季節になってきた
・最近できた話題の【レジャー】施設に遊びに行こう
レジャー(leisure)
仕事などから解放された自由な時間。余暇。また、それを利用してする娯楽や行楽。「レジャー産業」「レジャー人口」
[類語]余暇・遊び・遊戯・戯たわむれ・遊すさび・気晴らし・慰み事・娯楽・遊技・ゲーム・プレー・レクリエーション
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「旅行」
「旅行」も、日常的な会話などにおいて「物見遊山」の言い換え表現として使うことができます。
「旅行」は「りょこう」と読み、他の土地へ行くことという意味です。よく使われる言葉なので知らない人はいないでしょう。
「旅行」の使い方については、下記を参考にしてみてください。
【例文】
・今1番楽しみなのは、来月の温泉【旅行】です
・週末は家族で田舎に【旅行】に行ってきます
・【旅行】の醍醐味は、予定を決めずにその場の気分で行き先を決めることだ
りょ‐こう〔‐カウ〕【旅行】
[名](スル)家を離れて他の土地へ行くこと。旅をすること。たび。「マイカーで旅行する」「観光旅行」「海外旅行」
[類語]遊山・観光・行楽・探勝・遊覧・物見遊山・旅たび・遠出・行旅こうりょ・客旅かくりょ・羇旅きりょ・旅路たびじ・道中どうちゅう・旅歩き・トラベル・ツアー・トリップ・周遊・回遊・巡遊・遊歴・歴遊・漫遊・巡行・巡歴・遍歴・行脚あんぎゃ・新婚旅行・ハネムーン・長旅
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
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「物見遊山」の意味を理解し旅を楽しもう
「物見遊山」とは、気晴らしにいろいろなものを見物しながら遊びに出かけることをたとえる言葉です。「物見」は物事を見に行くこと、「遊山」は気晴らしに遊びにいくことで、2つの言葉により成り立っています。
「遊山」は仏教用語とされています。江戸時代には、信仰目的の旅しか許されていなかった庶民も、参詣に娯楽を織り交ぜながら、「物見遊山」を楽しむようになりました。「物見遊山」の言葉のなりたちや、一般の人々への広がりへ思いを馳せると感慨深いものがあります。
「物見遊山」の意味を知ると、旅が一層奥深いものになるでしょう。
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