指導を仰ぐ場合の使い方
「上下」という意味もある「もと(下)」は、どちらかというと、協力を仰ぐ相手を上に見ることが多い表現です。自分の知らない分野に関してアドバイスをもらったり、指導を仰いだりする際に「協力のもと」を使うことができます。
(例文)
・A社の協力のもとに、新しい分野での新規事業を構築していく。
・不慣れな点が多く恐縮ですが、皆様のご協力のもと、ご指導いただきますようお願い申し上げます。
より丁寧な表現
こちらは「協力」に「ご(御)」をつけ、より丁寧な表現にした例文です。相手が目上の方の場合や、一段とへりくだって表現したい場合には、「ご協力のもと」という言葉にしたほうがいいでしょう。さらに、「ご協力」に「多大なる」という言葉を付け加えることで、感謝の気持ちをより伝えることができます。
(例文)
・皆様の多大なるご協力とご理解のもと、無事にイベントを終えることができました。
・新システムの導入は、関係部署の皆様のご協力のもと、滞りなく進めることができました
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類語や⾔い換え表現は?
「協力のもと」は、「相手からの助け」を意味する「援助」や「支援」などに言い換えることができます。ただ、ニュアンスが多少異なりますので、それぞれの言葉の意味をしっかり理解してから使いましょう。
援助のもと
「援助」とは、「困っている人を助けること」という意味の言葉。「援助のもと」という表現にすると、相手からの助けや支援を受けている状態を意味します。「協力」は、お互いひとつの目的を達成すべく協働することを指しますが、「援助」は相手から一方的に助けられている場合に使います。

支援のもと
「支援」の意味は、「力を貸すこと」や「支えること」。1つ目で紹介した「援助」と似た言葉といえます。よって、「援助」で説明したように〝相手と対等な立場で力を合わせて働く〟というよりは、相手から助けてもらうときに使うことが多い言葉です。
(例文)
・この度の地域活性化プロジェクトは、地元住民の皆様の温かい支援のもと、無事に成功を収めることができました。
・新しい研究は、専門機関からの資金支援のもと順調に進捗しており、大きな成果が期待されています。
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お力添えのもと
「力添え」とは、その言葉のとおり「力を添える」という意味です。ただ、「力添え」という使い方はあまりせず、そこに「お(御)」を付けたより丁寧な表現である「お力添え」として使います。「お力添えのもと」よりも、相手からの協力をお願いしたいときに使う「お力添え賜りますようお願いいたします」という表現のほうが、よく聞く言い回しですね。
ちなみに「お力添え」は「何卒お力添えくださいますよう、お願いいたします」や「お力添えいただきまして、誠にありがとうございます」といった使い方もでき、依頼や感謝の気持ちを表す際に適した言葉です。
(例文)
・私どもがこのような賞をいただくことができましたのは、ひとえに取引先の皆様のお力添えのもと、日頃より多大なるご支援を賜りましたおかげと存じます。
ご尽力のもと
「尽力」は、目的のために力を尽くすこと。ビジネスの場では、物事がうまく運ぶよう、取り計らってくれた相手へのお礼の言葉に用いられるケースが多く、「○○様のご尽力のもと、竣工式という記念すべき日を迎えることができました」などと使うことができます。「ご尽力いただきまして、ありがとうございます」も、よく使われる表現ですので覚えておくと良いでしょう。
(例文)
・今回の難航していたプロジェクトが無事に完了いたしましたのも、ひとえに皆様のご尽力のもと、ご支援を賜りましたおかげと存じます。
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ご助力のもと
「ご助力」は「ほかの人の進めている仕事や活動などに力を貸すこと」「手助け」という意味の「助力」に、丁寧な「ご」をつけて、相手の手助けや力添えを敬って言う表現です。「多くの皆様のご助力のもと、活動を続けてくることができました」といったように「〜のもと」を付けるほか、「ご助力のほどよろしくお願いします」などもビジネスシーンで頻出する表現です。
(例文)
・今回のイベントは、地域の皆様のご助力のもと、無事に開催することができました。心より感謝申し上げます。
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英語表現とは?
「協力」を英語にすると「cooperation」です。「協力のもと」を英語で表現する場合は、「with cooperation」という言い回しが使われます。具体的に誰からの協力なのかを表したいときには「with cooperation from〜」とし、「from」のあとに相手の名前を入れます。たとえば、「A社からの協力のもと」と言いたい場合は「with cooperation from A company」です。
よくある質問
「協力のもと」という表現はビジネスシーンで頻繁に使われますが、似たようなフレーズや、その使用における適切なマナーについて疑問を持つこともあるでしょう。ここでは、これらのよくある質問にお答えします。
Q. 「協力のもと」と「協力を得て」はどう違いますか?
「協力のもと」と「協力を得て」はどちらも他者の助けがあったことを表しますが、ニュアンスに違いがあります。「協力のもと」は継続的な支援や、ある計画や活動が成立する基盤として他者の協力があったことを示す際に使われます。「〜の協力という環境の中で」「〜の協力があるからこそ」というニュアンスが強く、その協力が必要不可欠・前提条件であるような場面に適しています。
一方「協力を得て」は、特定の時点や場面で具体的な助けや援助を受けたことを表します。「〜から助けてもらった結果」という、より直接的で単発的な協力に焦点を当てる際に使われます。
Q. 「協力のもと」をビジネスメールで使っても失礼ではありませんか?
「協力のもと」をビジネスメールで使っても失礼ではありません。むしろ、相手や関係者への感謝、そしてその貢献に対し、敬意を伝えられる非常に丁寧で適切な表現です。
この表現を使うことで、達成された成果が自分たちだけの力ではなく、他者の支えがあってこそ成り立ったものであることを明確に伝えられます。
Q. 「指示のもと」は、どういう意味ですか?
「指示のもと」とは、「特定の指示や指導、命令に従って行動した結果」という意味です。これは、上位者や権限を持つ者からの具体的な指示や指導があったことを前提として、その下で物事が進められたり、行動が取られたなどの状況を表します。
多くの場合、責任の所在を明確にしたり、自身の行動が独断ではなく正式な指示に基づいていることを伝える際に用いられます。
最後に
- 「協力のもと」は「相手からの協力がおよぶ範囲」を意味し、漢字では「協力の下」と書く
- 目上の人には頭に「ご」をつけ「ご協力のもと」にし、さらに感謝の気持ちを添えるのが適切である
- 「協力のもと」は継続的な支援を示す一方、「協力を得て」は特定の援助を指す
「相手からの協力がおよぶ範囲」を意味する「協力のもと」。「もと」を漢字にすると「下」になることを知ると、その意味をより理解できたのではないでしょうか。「協力のもと」を使う場合には、感謝の気持ちも一緒に添えて、相手とよりよい関係性を築くことを心がけてくださいね。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。
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