【類語2】天に唾する(てんにつばする)
「天に唾する」も、「人を呪わば穴二つ」とよく似た言葉です。天に向かって唾を吐けば、そのまま自分に戻ってくることをたとえにして、「人に害を与えようとすれば自分に同じような災いが来る」ことを表しています。
ちなみに、「天に唾する」を「自分より上に立つ存在を汚すような行為をすること」という意味で覚えている人もいるようですが、これは誤用です。この機会に、しっかりと正しい意味を覚えてみてくださいね。
例文
・自分が悪いのに人のせいにしようとしたため、天に唾するように不利な状況になってしまった。
【類語3】悪因悪果(あくいんあっか)
「悪因悪果」は、悪い行為が原因となって悪い結果が生じることという意味。悪いことをすれば、その結果悪いことが起きるということで、戒めの言葉としても使われます。反対に、良いことをすれば良い結果が出るという「善因善果(ぜんいんぜんか)」という四字熟語もありますよ。
例文
・こんな酷い目に遭うのも、きっと悪因悪果に違いない。
【言い換え表現1】人を謀れば人に謀らる(ひとをはかればひとにはからる)
「人を謀れば人に謀らる」は、人を陥れようと謀りごとをすると、自分もまた人の謀りごとによって陥れられることになるという意味です。悪いことをすると、同じことが自分に返ってくるという教訓の含まれたことわざと言えるでしょう。
例文
・「人を謀れば人に謀らるということわざがあるのだから、人を騙そうとしてはならない」と父に叱られた。
【言い換え表現2】自業自得(じごうじとく)
「自業自得」は、日常会話でよく使われる表現ですよね。自分の行為の報いを自分自身が受けることという意味で、主に悪業の報いを受けることを言います。例えば、親のお金で好き放題遊んだ挙句、借金まみれになってしまった、というような人を目にした時に「あれは自業自得だよ」と言いますね。
例文
・夜遅くまでゲームをしていたら、翌日会社に遅刻してしまった。まさに自業自得だ。
「人を呪わば穴二つ」の対義語
「人を呪わば穴二つ」には対義語もあります。代表的な言葉に「肉を切らせて骨を断つ」「目には目を、歯には歯を」などがあり、どちらも相手への攻撃を推奨している言葉です。「人を呪わば穴二つ」が報復などの行為を戒めているのに対し、正反対の言葉といえるでしょう。
これら二つの対義語について、例文を交えながらご紹介します。
【対義語1】肉を切らせて骨を断つ(にくをきらせてほねをたつ)
「肉を切らせて骨を断つ」は、自分も痛手を受けるが、相手にはそれ以上の打撃を与えるという意味です。捨て身になって敵に挑んで勝つという意味合いがあります。
自分も傷つく覚悟で臨めば相手を倒すことができるという意味であり、勝負の世界において強敵に立ち向かうときの心構えとして使われる言葉です。「肉を斬らせて骨を切る」とも言います。
例文
・小規模な会社だが、肉を切らせて骨を断つという心構えで巨大市場に参入しようと思う。
【対義語2】目には目を歯には歯を(めにはめを、はにはを)
「目には目を歯には歯を」は紀元前の「ハムラビ法典」に由来する言葉です。自分が受けた害に対しては、同じような報復をするという意味があります。報復を戒めるという意味の「人を呪わば穴二つ」とは、対義語になる言葉といえるでしょう。
一方で「目には目を歯には歯を」には、「受けた害と同じ報復を加えることしか許されない」という意味もあります。受けた害以上の報復を制限する言葉でもあることを把握しておきたいですね。
例文
・パワハラを行う上司に対し、目には目を歯には歯をの精神で立ち向かう決意をした。
最後に
「人を呪わば穴二つ」は、「人を陥れたり害を与えたりしないように」という戒めの言葉です。人への注意や自戒の意味で使われます。「人を呪わば穴二つ」の言葉通り、人に対して行ったことは自分にも戻って来るということを忘れずに行動したいものですね。
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