「知行合一」の使い方と例文
「知行合一」はビジネス用語ではないものの、ビジネスシーンにも活用できる考え方を説く言葉です。また、「知行合一」は人を形容して褒める言葉としても使われています。「知行合一」の例文を見ながら、使い方をチェックしていきましょう。
・彼は知識力と行動力を併せ持つ、【知行合一】の人ですね。
・情報を取り入れるばかりではなくて、【知行合一】の精神を学んではいかがだろうか。
・当社の行動指針は【知行合一】です。
・机上の空論ばかりではなく【知行合一】であるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
使い方を確認し、スムーズに使えるようになりましょう。
「知行合一」の類義語と対義語、言い換えの注意点
「知行合一」の類義語と対義語は、以下のとおりです。
・類義語は「知行一致」など
・対義語は「先知後行」など
「知行合一」の類語や対義語は、ここで例に挙げたもの以外にも複数の表現があります。「知行合一」の類語や対義語の例や、それぞれの言葉の意味、言い換えで注意したいポイントについて、さらに詳しくチェックしていきましょう。
類義語は「知行一致」など
「知行合一」の類義語は「口八丁手八丁」や「知行一致」などがあります。類語の例やそれぞれの言葉の意味と読み方は、以下のとおりです。
【口八丁手八丁(くちはっちょうてはっちょう)】
しゃべりもやることも達者なこと。またはそのさま。話すことを「知」、おこなうことを「行」と考えられるため、類義語だと考えられている。元は褒め言葉であったが、世渡りがうまくてずるいという皮肉をこめて使用されることもある。
【知行一致(ちこういっち)】
知識があり、行為がともなっていること。
類義語まで理解し、言い換えの表現ができるようになりましょう。
言い換えの際の注意点
「知行合一」と似たような意味を持つ類語ですが、ニュアンスが異なる部分もあるため言い換えには注意が必要です。
たとえば、「しゃべりもやることも達者だ」という意味の「口八丁手八丁」は類義語のひとつですが「知行合一」の「真の知識とするためには実践によって裏づけられていなければならない」という考え方とはニュアンスが違います。また、「口八丁手八丁」は誉め言葉ではあるものの、ネガティブなイメージを持っている人もいるため、人に対して使う際には言い換えに注意しましょう。
対義語は「先知後行」など
「知行合一」の対義語は「先知後行」などがあります。対義語の言葉の意味と読み方は、以下のとおりです。
【先知行後(せんちこうこう)】
「知識」を先に得て、そののちに知識をもとに正しい「行動」をおこなうという考え方。「知」と「行」の重さを比較すると行動のほうが重いものの、行動に移す前にまずは知識をためるべきであるという思想を表現している。この「先知行後」に反対して、「知行合一」ができた。
なお、「知行合一」と「先知後行」それぞれの思想を比べると、日本では「知行合一」のほうが人気や知名度があります。
似た言葉「知徳合一」はソクラテスが提唱
「知行合一」と漢字が似ている言葉には「知徳合一」があります。「知徳合一」とはソクラテスが提唱した考え方で、この言葉でいう「知」とは善悪について正しく判断できることを指し、「徳(アルテー)」とは人間の魂のよさを指す言葉です。魂をよいものにするために善悪の知が必要であるという考え方で、「徳は知である」と言い換えることもできます。
「知行合一」の意味を理解して正しく使おう
「知行合一」とは「真の知行に至るためには、知識ばかリを蓄えるのではなく実践もおこなうべきである」という考え方で、朱子学の「先知後行説」のアンチテーゼとしてできた言葉です。「知行合一の精神を学ぶ」や「知行合一であるべきだ」などのように使います。
「知行合一」が持つ意味やその言葉ができた背景、類語、対義語などをまとめて確認し、正しく使えるようになりましょう。
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