「働く服改革」プロジェクトの一環として、Domaniスタイリスト望月律子さんを講師に迎えて、伊藤忠商事社内で開催した「脱スーツ・デーの着こなしセミナー」。伊藤忠商事で働く女性社員が、100名ほど参加してくれました。その際、事前に募集した「スタイリストに聞いてみたいこと」の中から、3つの質問について、望月さんに回答いただきました。
【目次】
春夏は「グリーン」と「ブルー」がキーカラー! オフィスにも取り入れやすいクールな色です。
Q1.春夏のアイテムで、カジュアル通勤に取り入れやすいアイテムを教えてください。
望月さん「まずはわかりやすく、色を取り入れるのがおすすめです。今年は、クールな印象の、ブルーやグリーンなど、寒色系がトレンドに上がってきています。きりりと辛口な印象なので、オフィスでも浮きませんし、甘い印象のボトムも、大人っぽい印象になりますね」
▲Domani4月号「やっぱり好き♡“フルラ”の春バッグ」
本誌撮影時構成:撮影/YUJI TAKEUCHI(BALLPARK) スタイリスト/望月律子(kind) ヘア/EIJI KADOTA(SIGNO) メーク/水野未和子(3rd) モデル/小泉里子(本誌専属) 構成/松崎のぞみ
「グリーンって、すこしほっこりとした印象になるのでは、って敬遠する方もいるかもしれませんが、青味の強い、深めのフォレストグリーンのアイテムが今シーズンはたくさん出ているので、凛とした印象で着られます。黒と合わせるのもステキですし、白やシルバーなどの明るいトーンとも好相性なんです」
▲Domani5月号「バナナ・リパブリックでかなう 高見え&クリーンな大人配色 6 Ideas」
本誌撮影時構成:撮影/曽根将樹(PEACE MONKEY) スタイリスト/望月律子(kind) ヘア/EIJI KADOTA(SIGNO) メーク/水野未和子(3rd) モデル/小泉里子(本誌専属) 構成/松崎のぞみ
「そしてアイテムとしては、ナイロンブルゾンがオススメです。今年は、トレンチコートを着る感覚で、こういったスポーティブルゾンを着ていただきたいなと思います。フードの付いたものも多く出ていて、着こなしに変化が生まれます。
ただ、そのままの印象でカジュアルに着るのではなく、ふんわりしたスカートや、キリッとしたタイトスカート、とろみのあるワンピースなんかと合わせて、ギャップのある合わせ方をするのが、程よく大人に見えておすすめです」
▲Domani4月号「ユニクロをおしゃれに着る人、着られない人」
本誌撮影時構成:撮影/前 康輔 スタイリスト/三好 彩 ヘア&メーク/神戸春美 モデル/小濱なつき 構成/今村紗代子
大ぶりアクセサリーを1点投入!「盛りすぎ」は禁物!
Qカジュアルなスタイリングのときのアクセサリー使いのコツが知りたいです。
望月さん「今シーズンのアクセサリーは、シルバーやゴールドといった地金だけでデザインされた、大ぶりなピアスとかバングル、チョーカーなんかがおすすめです。ちょっと前までは、アクセサリーというと華奢な印象のものが流行っていたんですが、大ぶりで派手さのあるものがグッと来ていますね。
コーディネートのコツとしては、1点だけぽんと投入してあげること。耳も首も手も、というのではなく、どこか1か所を盛り上げたら、ほかはシンプルに何もつけないくらいのさじ加減で。これも抜け感につながります」
ワードローブを客観的に見つめ直す機会を。大人は「アップデート」が大事!
Q. 40代になって、いままでの洋服が似合わなくなってきた気がします。この先どんな服装が着こなせますか?
望月さん「この質問、すごく大事な感覚だと思います。私も40代に入って悩んだんですが、体型とか、髪の質とかって、年齢と共に変わってきますよね。例えば全体的には変わらないのに、胸元のお肉だけが削げていって、胸の開いた服が似合わなくなるとか。
体型キープのための努力をするのももちろん大切ですが、そういう自分ときちんと向き合っていくことも、大事だと思うんです。それって、洋服に関しても一緒。たとえば、フェミニンなものを好きな人って、どうしても全てのアイテムをかわいらしいディテールのもので揃えちゃう。シンプルなものが好きな人は、ノーアクセでさらっとしたコーディネートをしがち。それが好きなんだから、そうなっちゃうのは自然ですよね。
ただ、若いときはそれでよかったとしても、年齢を重ねてくると、似合うものと似合わないものが出てきます。これまでの自分の「好き」に、何を足して、何をそぎ落とせば、アップデートできるか。それを見直すことって大事なんです。
年齢を重ねた大人に必要なのは、「かっこよさ」や「女らしさ」や「華やかさ」だと、私は思っています。それを軸に、客観的に自分のワードローブを見直すという機会を設けてみてください。
例えば、先ほど言った、フェミニンな服が好きな方は、例えば細身のスティックパンツを1本足してみるとか。足元をバレエシューズやラウンドシューズだけではなくてポインテッドトウやヒールの太いパンプスを足してみるとか」
「自分では、何が足りないか分からない、というときは、ショップの店員さんやお友達に聞いてみるといいですよ。意外と客観的な意見は参考になります。そしてもちろん、Domaniを参考にしていただいてもかまいません(笑)。
私は、手持ちの服を丸ごと変えてくださいと言っているわけではありません。大好きな服を着るのって、女性にとって大切なことだと思うので、自分の好みのテイストはそのまま楽しむことも必要です。ただ、そこに、何を足したらいいのか、何を引いたらいいのかと言うことを、改めて考える機会を持つということが、大人の女性には必要となってくるかと思います。
これからもワードローブを上手にアップデートして、自分らしいファッションを楽しんでいってください」
――「脱スーツ・デー」の取り組みをきっかけに、「大人のカジュアルスタイル」について考察した今回の着こなしセミナー。これを通してわかったことは、「大人になればなるほど、カジュアルって難しい」ということと、だからこそ、「おしゃれをするのは、何歳になっても楽しめる」ということ。働く服のカジュアル化は、働く大人の毎日を活き活きとさせる、ひとつのきっかけにもなっているようです。
スタイリスト
望月律子さん
Domaniを始め、Preciousなど女性誌を中心に幅広く活躍。上質な大人のベーシックスタイルに定評がある。著者に『望月律子のBASIC THEORY』(ワニブックス刊)。
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