カジュアルスタイルを大人っぽく上手に着こなすコツは、カジュアルアイテムを「どうきちんと見せるか」、その発想の転換がカギと語るDomaniスタイリストの望月律子さん。今回は、具体的に、カジュアルアイテムをどう着こなせばいいのか、そのコーディネートの秘訣も伝授してもらいました。
【目次】
スタイルよく着ることで、デニムだって「きちんと」見えする!
▲望月さんが提案するのは、プレーンなシャツとカーディガンを程ゆるデニムでカジュアルダウンする、MIXスタイリング。
▲スキニーデニムの時は、上半身のアイテムのシルエットを大きめに。このメリハリがスタイルアップのカギ。
望月さん「デニムは、カジュアルという言葉でいちばん連想しやすいアイテム。そして、きれいめにはけるデニムといえば、シルエットがスリム一択になったり、パンプス以外の靴だとカジュアルすぎて合わせづらかったりして、着こなしに幅が出ないという悩みが多いはずです。そこで最初に、デニムをきれいめにコーディネートする方法をお話ししたいと思います。
今日用意したのは、シンプルな白シャツとハイゲージのカーディガンを合わせたスタイリングです。ボトムのカジュアルさに合わせて、トップスもカジュアルダウンするのではなく、あえてコンサバ寄りのシャツを選び、そのMIX感を楽しむのがいいと思います。
合わせるシャツですが、トレンドのオーバーサイズや、とろみのある緩やかなシルエットのものももちろんステキですが、今回はコンパクトなきれいめなシャツを選びました。というのも、デニムはあまりスリムなシルエットのものではなく、つかずはなれずのゆるめなシルエットを選んでいるからなんです。上がコンパクトなときは、下はゆるっとしたシルエットで。このメリハリ感が、スタイルよく、バランスよく見せるコツなんです。
カジュアルなアイテムこそ、着たときのシルエットバランスはすごく大事。スタイルがよく見える、ということは、つまるところ「きちんとして見える」ということなんです。なので、例えばスキニーデニムを選んだなら、上に少し丈長めのジャケットを持ってきたり、オーバーシルエットのブラウスのようなふわっとしたアイテムと合わせるのがいいと思います。
ゆるめのシルエット同士の組み合わせもトレンドではありますが、だらしなく見えないためには、さらにスタイリングに一手間加えなくてはならないので、やはり基本的な考え方としては、どちらかがコンパクトならどちらかはゆるめ、ということを覚えておいてください」
デニム×ぺたんこシューズでも「足と靴とのコントラストをつけない」ことで、さらにスタイルよく!
▲デニムと相性のいいポインテッドフラット。特に、肌なじみのいいカラーがおすすめ。
望月さん「次に、デニムに合わせる靴についてお話しします。きっと、きれいめにしようとすると、ヒール靴を選びがちだと思うんですが、外回りや通勤シーンでは歩きやすい靴の方が嬉しいですよね。
ヒールがなくてもきちんと見える靴は?という観点で考えると、今ならこういった、ポインテッドトウのフラットパンプスがおすすめ。足の甲もキレイに見えるし、トウが細長いので脚長効果もあります。
とはいえ、ヒールほどは足を長く見せてくれる効果はないので、そこをフォローするポイントとして、肌なじみのいい色を選ぶといいでしょう。ベージュだけでははなく、淡いピンクもいいですね。あとは、パイソン柄なんかも、Domaniのコーディネートで使います。今季は、ゴールドやシルバーのメタリック素材のものもよく出ていて、これも意外と肌なじみがいいんですよ。
大切なのは、肌と靴とのコントラストをつけすぎない、分断しないということ。ポインテッドトウのフラットパンプス、ぜひワードローブに加えてほしいです」
▲右から、肌なじみのいいパステルピンク、なじみよくコーディネートのアクセントにもなるパイソン、意外ときれいめに仕上がるメタリック
大人なら知っておきたい、ベーシックアイテムの5秒でできる着崩しテクニック
望月さん「今回、すごくベーシックな白シャツを合わせているんですが、ここでちょっとシャツの話もしてみたいと思います。シンプルなアイテムをステキに着るためには、服の合わせ方や選び方以外に、『着崩しかた』もマスターしておくと、ぐんとこなれ感が増すんです。
シャツというのは、直線的なシルエットで、襟もボタンもあって、着るだけできちんと感が出るアイテムですよね。それが逆に、真面目に見えちゃったり、こなれた感じがでない、という声もよく聞きます。そこで、シャツを着るときは、丸みを出して着ると、印象がすごく変わってきます。
撮影の時にモデルにシャツを着てもらったときに、最後の仕上げに私がすることは、『襟をもむ』。両手で、ぎゅーっと全体をもみほぐします。これだけで、自然な丸みが出来るんですよ。すると、顔周りにこなれた雰囲気が生まれ、抜け感も出ます。
▲ぴしっとしたシャツは、あえて襟をもみほぐすことでこなれ感が。 同じく、カフスの折り返しもポイント。シャツの袖口を折り返すとき、ちょうどカフスの切り替え部分をペタッと折ってしまっている人、結構多いんです。袖まくりは抜け感を出すためには効果的なのに、大きく折り返すことで全体のバランスが悪くなってしまったり、立体感がなくなってのっぺりした印象になってしまいます。
そこで、おすすめのやり方としては、カフスと袖の切り替えよりも、1~2センチ下のところで折るんです。そうすると、空気が入ったように折り返すことが出来るので、ぐんとこなれて見えるんです。 ▲せっかく折り返しても、ぺたっとこなれていない印象のカフスが・・・ ▲途中から折り返すだけで、こなれ感たっぷりに!
あと、これはシャツだけの話ではないのですが、着替えた最後に、自分で襟ぐりの首の後ろ部分をちょっと引っ張って、服と体の間に空気を入れてあげてみてください。
▲着替えの最後に服と体の間に空気をはらませる。この動作だけで着こなしが変わる!
服って、ただ着るだけでは体になじみません。家を出る前に鏡を見たときや、昼休みに洗面所に立ったとき、この動きをちょっと入れてあげるだけで、服の着映えかたが変わってくるんです。こういった、最終調整ができると、もっと服をかっこよく着られるようになるので、ちょっとだけ気にしてみてくださいね」
【次回に続く】
スタイリスト
望月律子
Domaniを始め、Preciousなど女性誌を中心に幅広く活躍。上質な大人のベーシックスタイルに定評がある。著者に『望月律子のBASIC THEORY』(ワニブックス刊)。
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