度を越さない程度に慎む「節制」
「中庸」の類義語1つ目は、度を越さない程度に慎む意味がある「節制(せっせい)」です。辞書では以下のような解説がされています。
【節制】
度を越さないよう控えめにすること。ほどよくすること。
「中庸」にも同様に適度に慎む意味が含まれているため、類語と判断できます。ただし、「節制」は欲望に対して慎むことが要求されていますが、「中庸」では求められません。微妙なニュアンスの違いを覚えておきましょう。
以下で例文を紹介するので、参考にしてみてください。
【例文】
・100万円貯金するため、お金をあまり使わないように【節制】する。
一方に偏らない「中道」
「中庸」の2つ目の類義語は、一方に偏らない意味がある「中道(ちゅうどう)」です。辞書では、以下のように解説されています。
【中道】
一方にかたよらない穏当な考え方・やり方。中正な道。
(引用すべて〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「中道」は、仏教用語とされています。一方に偏らない意味で「中庸」と似ていますが、「中道」は政治的立場を示す際に使われます。さらに「中道」は中間的な意味ではなく、ベストな選択をするという意味もあるのです。
以下で例文を紹介するので、参考にしてみてください。
【例文】
・【中道】左派は、社会民主主義的な考え方を持っている。
【目次】
まとめ
「中庸」とは、「偏りがなく中立的である」ことを指します。孔子が考えた教えが由来です。その後儒学では、「中庸」の考え方は重要とされてきました。
また「中庸」にはアリストテレスの考え方も存在します。アリストテレスは、中間を示すと説いています。アリストテレスの教えでは、過剰と不足の中間の状態がバランスの良く、好ましいとされているのです。
「中庸」の使い方は、名詞・形容詞で微妙に違うため注意しましょう。さらに「中庸」には「節制」と「中道」という類語もありますが、どちらも中庸とは違ったニュアンスを含んでいるため、使う際には十分注意してください。「中庸」の教えを知って日常生活に活かしましょう。
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