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2022.02.08

中華粥と超マッチ!台湾通を魅了する【豆腐乳】って何!?|台湾の朝ごはん

 

台湾生活の中で私がいちばん衝撃と感銘を受けたのは何といっても “朝ごはん文化”。種類の豊富さ、グツグツモクモクが掻き立てる高揚感、そしてそれをお目当てにしてかしないでか朝早くからアクティブに活動する現地の人々。台湾という国が今のこの世の中でサバイバーとして経済活動を続けられている秘密はきっと「朝ごはん」にある、私にはそんな気がしてなりません。だから私も始めてみることにしました、朝ごはん屋さん。連載第92回目となる今回はそのきっかけとなった「お粥」についてお話しします。

Text:
有田 千幸
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元CAが台湾朝ごはん屋さんはじめました

私が中華粥に出合ったのは、今から約20年前のこと。ニュージーランドの大学に在籍していたときでした。

私が住んでいたオークランドという街には、アジア諸国から多くの移民や留学生が集まってきていて、ひとつの街でさまざまな食文化を体験することができました。中華料理、韓国料理、ベトナム料理、タイ料理、マレーシア料理、シンガポール料理、今思えば私の体はアジア料理でできているといっても過言でないほど。

中でも忘れられないのが、街の中心部のとある雑居ビルに入っている中華料理店のお粥。私がよく頼んでいたのは「皮蛋瘦肉粥 (Pídàn Shòu ròu Zhōu)」といってピータンとミンチがたっぷりと入ったもの。広い浅めの白いどんぶりになみなみ入ったお粥はきらきらつやつや輝いていて、ご飯粒が半分以上溶け出してしまったくらいのとろとろ具合。これにラー油をたっぷりと入れていただくのが最高に美味しいんです!

特に週末ひと晩しっかりと遊んだ明け方のお粥は格別。あたたかくて、心身に染みて、お腹も満たされて、留学させてくれた両親に感謝する気持ちも溢れてきて。

「これ、どうやってつくってるんだろう」、そんなことを考えながら毎度あっという間に平らげていたものです。

▲ 夜明けのオークランド。

台湾でお粥の “超マッチ”「豆腐乳」に出合う

大学を卒業しニュージーランドをあとにした私がお粥と再会を果たしたのは、台湾の航空会社に就職をした2年目のこと。初めてロサンゼルス便のビジネスクラスにオブザーバー (訓練生) として乗務したときでした。

この日の食事のチョイスは洋食と中華、中華の朝ごはんは台湾式お粥。長距離フライトのビジネスクラスには台湾朝粥があると知っていた私は前からこの日を楽しみにしていました。

フライトも後半に差し掛かったころ、いよいよ先輩CAが大きなシルバーの容器に入ったお粥をオーブンであたため始めました。途中でお湯を足したり、ぐるぐるかき混ぜたり。「ふむふむなるほど」、湯気が立ち始めるお粥をちらちら気にしながら、私はその隣で惣菜の準備。するとふと目に入ってきたのはチーズのような豆腐のような小さな塊。

私:「學姐 請問這是什麼? (先輩、これは何ですか?)」

先輩CA:「這叫做豆腐乳啊 放在粥裡面一起吃 很match啊 (これは豆腐乳というものよ。お粥の中に入れて一緒に食べるのよ。超マッチするのよ)」

「へぇ、超マッチか〜」、このとき私ははじめてこの「豆腐乳 (Dòufu rǔ)」というものを知りました。

無事この日のサービス業務を終えることができた私に待っていたご褒美はお粥の試食! 飛行機の窓から突き刺すように差し込むオレンジ色の朝日を浴びながら着陸準備前のほんの数分で急いでかき込んだ豆腐乳入りお粥は、味は違えどあのニュージーランドで食べたとろとろのお粥を思い出させてくれました。

思えば私はこのころからお粥や朝ごはん屋さんに憧れのような気持ちを抱くようになっていたような気がします。

▲ ガラス瓶に入った市販の豆腐乳。炒め物の味つけや唐揚げなどお肉の下味としても万能。左はスタンダードのもの、右はほんの少し辛味があるもの。

そして、週1で朝ごはん屋さんに!

「うちで台湾朝ごはんやりませんか?」と声をかけていただのは、それから13年経った去年の夏のこと。

以前から興味があった中医薬膳学の勉強を本格的に始め、台湾にもどこにも行けない想いを埋め合わせるように日々ひたすら台所に立つ私のことを知ったとあるカフェのオーナーからの突然のお誘いでした。

私の返答はもちろん「ぜひよろしくお願いします!」

その次の週から私は週1で朝ごはん屋さんになりました。

▲ きちんと分量などをメモに残すようにしたことで同じ味を再現できるように。

お粥、豆乳スープ、台湾風おにぎり、水餃子、汁なし麺や豆花など、朝ごはんのメニューはその週手に入る食材をメインにヴィーガンとノンヴィーガンの基本3〜4種類。台湾では「早餐吃素 (朝だけヴィーガン)」という人も多く、朝ごはん屋さんに行くと必ずといっていいほど動物性を使ったものと植物性のみでできたものの両方が置いてあります。

▲ とある週の試作は干し貝柱と干し海老で出汁をとった中華粥。“超マッチ” の「豆腐乳」はひと言でいうと旨味の塊!

育児とコロナが重なり、近年私の行動範囲はグンッと狭くなりました。人と自由に会ったり、旅行に出かけたり、今まで当たり前としていたことができない歯痒さに直面しているときにふと頭をよぎったのが異国の地で出合ったお粥でした。

「自分ができることをやってみよう」

1回でつくれる量は限られているけれど、あのとき感じたホッと心が解けるような和みを私も誰かに届けることができるならば、それはこの上ないよろこびなのだと思っています。

【続】

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ライター

有田 千幸

外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経てライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。プライベートでは一児の母。ワインエキスパート。中医薬膳師。家庭薬膳アドバイザー。@chiyuki_arita_official



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