「歯に衣着せぬ」の意味や読み⽅とは?
「歯に衣着せぬ」という言い回しを聞いたことはありますか? 発言や意見の仕方に装飾される「歯に衣着せぬ」ですが、どんな言い方を指すのでしょうか。褒め言葉なのか、それとも卑下している言葉なのか… 。例文・類語・英語表現を含めて紹介しますので、一緒に確認しましょう。
読み⽅と意味
「歯に衣着せぬ」は「はにきぬきせぬ」と読みます。「衣」は「ころも」ではなく、「きぬ」と読み、また漢字を「絹」と書かないように気をつけましょう。意味は「はっきりと率直に意見をいうこと」です。
「歯に衣着せぬ」の語源は、現実的に歯に衣を着せることはできないものの比喩として使われていて、「歯を隠さない」ことを指しています。「歯を隠さない」ということは、口を開けてしっかりと物を言うイメージが連想されます。したがって、「率直に物申す」ことを「歯に衣着せぬ」となったようです。
ビジネス等で使う時の注意点
「歯に衣着せぬ」は古くからの慣用句ですが、現在でも日常生活やビジネスシーンで使うことができます。現代風に語尾を変えた「歯に衣着せない」や「歯に衣着せず」も間違いではありません。
また、「ずけずけ物を言う人」が不快だから使うというよりは、なかなか普通の人は言えないことを、よくぞ言ってくれたと褒め言葉として使います。
使い⽅を例⽂でチェック
それでは、「歯に衣着せぬ」の使い方を例文で3つ紹介します。一緒に見ていきましょう。
「彼は正々堂々と歯に衣着せない論法で、相手を論破した」
この例文は、「歯に衣着せぬ」の現代版にした「歯に衣着せない」を使ったもの。語尾が変わっても使い方は変わらないので、この例文もポジティブな意味になります。ストレートに普通の人が言いにくいことを相手に伝える場面で、相手を賞賛して使うのが一般的です。
「彼女はいつだって歯に衣着せぬ言い方で、ファンを増やしている」
この例文のように、最近は毒舌キャラでブレイクする芸能人の方もいますが、その大半は本当の毒舌というよりは、「歯に衣着せぬ」人なのかもしれません。単刀直入に言いにくいことを、言ってくれている人であったりします。「歯に衣着せぬ」言い方は、相手の気持ちや周囲の反応をきちんと見た上での率直な意見なので、人気が出るといえるでしょう。
「歯に衣着せぬ物言いに、心の中で拍手喝采だった」
この例文で使われている「歯に衣着せぬ物言い」は、「歯に衣着せぬ」の定型句の1つ。「歯に衣着せない物言い」とも置き換えることもできるので覚えておきましょう。日常では「物言い」はあまり使わないかもしれませんが、「歯に衣着せぬ」とあわせて覚えておくと便利です。
類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?
次に、「歯に衣着せぬ」の類語や言い換え表現を、3つ紹介します。一緒に確認しましょう。
「忌憚なく」
「忌憚なく」は「きたんなく」と読み、「忌憚」は「遠慮」を意味するので、「遠慮なく」という意味になります。ビジネスシーンでは、「遠慮なく」をあえて、「忌憚なく」と使用することも珍しくないので、覚えておくと便利です。
「忌憚」は「なく」「のない」などを後ろに否定形をつけて使います。「忌憚」の意味が「遠慮」だからといって、「忌憚します」とは使用できませんので、気をつけましょう。