衣食足りて礼節を知る(いしょくたりてれいせつをしる)
「衣食足りて礼節を知る」の意味は以下の通りです。
人は、物質的に不自由がなくなって、初めて礼儀に心を向ける余裕ができてくる。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
人間は生活にゆとりができると、礼儀を気にする余裕が生まれるという意味のことわざです。一見「貧すれば鈍する」と反対の意味にも思えますが、裏を返せば「貧乏だと礼儀を気にする余裕がなくなる」とも捉えられます。
貧乏暇なし(びんぼうひまなし)
「貧乏暇なし」の意味は以下の通りです。
貧乏で生活に追われ、少しも時間のゆとりがない。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「貧乏暇なし」は言葉の通り、貧しいとお金を稼ぐために日夜働くため、自由な時間がとれないという意味です。会話の中では、「貧乏暇なしで働いているよ」とやや自嘲気味に使われます。食べていくだけで精一杯な様子が伝わってくる表現です。
対義語は?
「貧すれば鈍する」の対義語には、貧乏であるけれども、それを前向きに捉えるというポジティブな意味合いをもつ言葉が当てはまります。さっそくチェックしてみましょう。
貧にして楽しむ(ひんにしてたのしむ)
「貧にして楽しむ」は、「貧乏であることを楽しむこと」です。たとえ生活が貧しくても、前向きに楽しむ様子を表します。「貧すれば鈍する」は、貧乏になると心も貧相になっていくことですが、「貧にして楽しむ」は、むしろ貧乏な状況をも楽しんでいるような心の余裕が感じられます。
貧乏難儀は時の回り(びんぼうなんぎはときのまわり)
「貧乏難儀は時の回り」とは、「貧乏することや難儀することは、時の巡り合わせなので悲観する必要はない」という意味です。お金がなかったり、苦労したりすることは誰の人生にもあるもの。そんな時ほど、くよくよせず前向きに過ごしていれば、やがて良い運気が巡ってくるものだという考え方です。
貧は世界の福の神(ひんはせかいのふくのかみ)
「貧は世界の福の神」の意味は以下の通りです。
貧乏は、かえって人を発憤・努力させ、後の幸福をもたらすもととなる。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
誰にも認められず、不遇な生活を送っている時ほど、「今に見てろよ」という気持ちで一生懸命努力することもあるはず。貧乏なことがかえって、その人のエネルギーを湧き上がらせる場合もあるのかもしれません。その時の努力が身を結び、幸福がやってくることを「貧は世界の福の神」と表現します。
英語表現とは?
「貧すれば鈍する」と同じ意味をもつ英語表現を紹介します。
「Poverty dull the wit.(貧乏は知力を鈍らせる)」
直訳すると「貧乏は知力を鈍らせる」ですが、「貧すれば鈍する」に通じるところがあります。「Poverty dull the wit.」もことわざになります。
最後に
「貧すれば鈍する」とは、「貧乏すると、生活の苦しさのために精神の働きまで愚鈍になる」という意味です。類語と対義語を紹介したように、同じ貧乏でもそれを気に病んでしまい愚かな行動をとってしまう場合と、それをバネに努力する場合があります。貧しい時期ほど、楽観的に考えることも必要なのかもしれませんね。
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