「帯に短し、襷に長し」の意味と由来
「帯に短し襷に長し」の読み方は「おびにみじかしたすきにながし」。中途半端で役に立たないことを意味する言葉で、帯と襷の長さが由来となっています。
今回は、普段あまり耳慣れない、「帯に短し襷に長し」という表現の意味と由来をご紹介します。詳しい言葉の意味や成り立ちを知ることで、知識を定着させていきましょう。
意味は中途半端なこと
中途半端で役立たずというマイナスな状態を例えた言葉が「帯に短し襷に長し」です。辞書をひくと、下記の通り解説されています。
【帯に短し襷に長し】おびにみじかしたすきにながし
中途半端で役に立たないことのたとえ。
(引用〈小学舘 デジタル大辞泉〉より)
帯とは、和服の左右の重なりを押さえ、身幅や袖の長さを整えるために身に付ける衣服の一種です。着物を美しく整えるために欠かせないもので、実用性と装飾性を兼ね備えています。一方の襷(たすき)は、和服の動きやすさを確保するために、袖をからげる紐のことです。
この帯と襷がどのように言葉の成り立ちに関わっているかは、次にご紹介します。
言葉の由来は帯と襷の長さ
帯は襷より長いということは想像がつくでしょう。一般的な帯と襷の長さは以下のとおりです。
・一般的な帯の長さ:約3.6~4.3m
・一般的な襷の長さ:約2.1~2.4m
両者の長さには1m以上の差があることが分かります。つまり、用意されていた布が帯にするには短すぎ、襷にするには長すぎて使えない様子をたとえ、「帯に短し襷に長し」は中途半端で役に立たないことを表すようになりました。
「帯に短し、襷に長し」はビジネスシーンでも活用できる
「帯に短し襷に長し」は、ビジネスシーンでも出会うことのある言葉です。どのように活用されるかを見ていきましょう。
知識や能力不足の状況を表す
「帯に短し襷に長し」は、知識や能力が充分ではないことを指しても使われます。仕事を上手くこなすためには、状況判断能力やコミュニケーション能力などさまざまなスキルが必要とされます。そこで、知識や技能が必要なレベルに達しておらず中途半端な様子を指して、「帯に短し襷に長し」が使えるのです。形あるもの以外にも使える点は、押さえておくとよいでしょう。
「帯に短し、襷に長し」の類義語
「帯に短し襷に長し」の類義語として3つの言葉をご紹介します。最も意味が似ている類似表現は、「褌には短し手拭には長し」で、そのまま言い換え表現として使用できます。
それぞれの言葉の意味や微妙なニュアンスの違いに注目して解説します。
褌には短し、手拭には長し(ふんどしにはみじかし、てぬぐいにはながし)
「帯に短し襷に長し」とほぼ同じ意味で使えるのが、「褌には短し手拭には長し」です。言葉の成り立ちも同様に、褌にするには短すぎ、手拭にするには長すぎる布が使い物にならなかったことからできた言葉です。
ちなみに一般的な褌の長さは2m程度、手拭の長さは1ⅿ前後とされています。中途半端でどっちつかずな状況を指して利用できるでしょう。