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「有耶無耶」の意味や読み⽅とは?
読み⽅と意味
「有耶無耶」は「うやむや」と読み、漢字を使わず、ひらがなで「うやむや」と表されることも多い言葉です。「有耶無耶」の意味は、はっきりしないこと、あいまいな様子です。はっきりしない態度のことを、「有耶無耶な態度」と言いますよね。また、自分にとって都合の悪いことを明白にしないことを「有耶無耶にしておく」とも言います。
ビジネスにおいては、戦略的に「有耶無耶」な態度がとられることもあるかとは思いますが、「有耶無耶」は、時に、相手に不信感や決断力のなさを感じさせるもので、あまり良い意味で使われる言葉ではありません。
由来・語源
「有耶無耶」は、「有」「無」に、疑問の助詞「耶(や)」を加えた言葉で、「有りや無しや」という疑問から生まれたという説があります。
「有耶無耶」は、現在の宮城県と山形県の県境で、昔から山越えの難所として知られる笹谷峠の「有耶無耶の関」が語源とされています。この「有耶無耶の関」には、人を喰う鬼が住んでいて、峠を越える旅人を捕らえては喰っていました。ところが、この峠の山形県側には「有耶の観音」、宮城県側には「無耶の観音」が姿を変えた2羽の霊鳥がいて、鬼がいると「うや(有耶)」、いないと「むや(無耶)」と鳴き、鬼の存在を旅人に知らせたという伝説が残っています。
また、秋田県と山形県の県境にも「有耶無耶の関」が存在し、こちらが「有耶無耶」の語源であるという説も。伝説は笹谷峠の内容と似通っていて、手長足長という人喰い鬼が、旅人を喰っていたと伝わっています。こちらでは、神様が遣わせたカラスが、「うや(有耶)」、「むや(無耶)」と鳴き、人喰い鬼の存在を旅人に知らせていたというものです。
場所の違いはさておき、これらのことから、「有耶」と「無耶」の言葉が使われた「有耶無耶」は、(有り無しの)はっきりしないこと、曖昧な様子を表す言葉となったとされています。
「有耶無耶」の使い⽅を例⽂でチェック
実際に「有耶無耶」の使い方を、例文でチェックしていきましょう。具体的な例文で学ぶと、「有耶無耶」の使い方をはっきりと理解できるしょう。
夫は親の入院を口実に、浮気疑惑を有耶無耶にした
浮気のしっぽを掴んで追及している最中に、親が入院することに。親の大事にかこつけて、「今はそれどころではない」と、問題をあいまいに終わらせようとする夫。このような場合に、「夫は親の入院を口実に、浮気疑惑を有耶無耶にした」という表現が使えます。
このままでは、責任の所在が有耶無耶になる
「全体責任は無責任」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。責任に対するそれぞれの意識が低くなり、結局は無責任に終わる(誰の責任かはっきりせず、結果、誰も責任を取らない)ということは、日常でもよく見られることです。このような場合に、「このままでは、責任の所在が有耶無耶になる」という心配が生じます。
部長の横領を告発したのに、有耶無耶にされた
勇気を振り絞って不正を告発しても、古い体質の企業では、問題を大事(おおごと)にしたくない、企業イメージを損ないたくないという理由から、その事実が有耶無耶にされるということもあるかもしれません。
「有耶無耶」の類語や⾔い換え表現は?
より理解を深めるために、「有耶無耶」と同じような意味を持つ言葉を紹介しておきます。
曖昧模糊
「曖昧模糊」は、「あいまいもこ」と読みます。「有耶無耶」と同じく「曖昧模糊」も、物事がはっきりしない様子を表す時に使う言葉です。「曖昧模糊」の「曖昧」も「模糊」も、はっきりしない様を表す言葉。同じ意味を持つ2つの言葉を重ねることによって、不明確さを強調しています。