子どもの読み方に文句をつけない
子どもが読書中は、読み方も本人に任せるべきです。親としては、最後までしっかり読んで、内容を理解してほしいと思うかもしれません。
しかし、読書のスタイルは人それぞれ。大人でも1冊の本を最後まで読めなかったり、面白そうな部分だけ読んだりすることはあるでしょう。子どもも同じで、自分のペースで読書を楽しんでいます。
また、子どもが最後まで読めなかった本は、内容が難しすぎたか、興味を持てなかった可能性があります。
「きちんと読みなさい」と叱るのではなく、「もう少し大きくなったら読んでみようか」「面白いところだけ読めばいいよ」などと、前向きな声掛けをしてあげましょう。
これは読んでおきたい定番人気の絵本4選
ロングセラーの絵本には、国や世代を超えた面白さがあります。小学生の間一度は読んでおきたい、定番人気の絵本を4冊紹介します。
「100万回生きたねこ」佐野洋子
1977年の発行以来、高い人気を維持し続けている絵本です。幼児から大人まで、誰がいつ読んでも、それぞれの解釈で楽しめます。
主人公は、立派なオスの「とらねこ」です。彼は100万人の飼い主にかわいがられ、100万回死にます。彼が死ぬたびに飼い主は悲しみましたが、彼はどの飼い主も嫌いだったので、悲しいと思ったことは一度もありませんでした。
ところが、野良ねことして生まれ変わった彼に、運命の出会いが訪れます。自分にしか興味のなかった彼が、初めて自分以外の存在を意識した瞬間でした。誰かを思うことの大切さや、素晴らしさに気付かされる作品です。
商品名:「100万回生きたねこ」佐野洋子 /講談社
「スイミー」レオ・レオニ
世界中で翻訳され、日本でも国語の教科書に採用されるほど、よく知られている絵本です。子どもの頃に読んだ経験がある人も多いでしょう。
主人公のスイミーは、小さな魚。大きな魚に兄弟を食べられ、独りぼっちになったスイミーは、広い海をさまよううちに生きるための知恵と勇気、仲間を手に入れます。そこに大きな魚が再び現れますが、スイミーは知恵を働かせ、仲間と一緒に見事にピンチを切り抜けます。
小さく弱い存在でも、力を合わせれば大きな力を出せることを、分かりやすく教えてくれる一冊です。
商品名:「スイミー」レオ・レオニ 谷川 俊太郎 訳 /好学社
「三びきのやぎのがらがらどん」マーシャ・ブラウン
「三びきのやぎのがらがらどん」は、ノルウェーの昔話絵本です。物語は、同じ「がらがらどん」の名を持つ3匹のやぎが、おなかいっぱい草を食べるために、橋を渡ろうとするシーンから始まります。
しかし、橋のかかる谷には恐ろしい鬼(トロル)がいて、やぎを捕まえて食べようとします。果たしてやぎたちは、無事に向こう岸の草にありつけるのでしょうか。
見どころは、3匹のやぎがそれぞれの個性を生かして橋を渡り、トロルに勝負を挑むシーンです。「もし自分がやぎだったら」と、思わず引き込まれてしまいます。
商品名:「三びきのやぎのがらがらどん」マーシャ・ブラウン 絵 せた ていじ 訳 /福音館書店
「モチモチの木」斎藤隆介
児童文学の分野で数々の受賞歴を持つ作家・斎藤隆介氏の作品。夜中に1人でトイレに行けないほど臆病な少年「豆太」が、大好きな祖父のために勇気を出すお話です。
豆太がトイレに行けない理由は、近代的な住宅で暮らす今の子どもたちには、分かりにくいかもしれません。しかし、切り絵を用いた独特の挿絵は迫力があり、豆太の恐怖が十分に伝わってきます。
昔の日本人の暮らしぶりがよく分かるのも、こちらの作品の特徴。本格的に社会科の授業が始まる前に、読んでおきたい絵本です。
商品名:「モチモチの木」斎藤隆介 作 滝平二郎 絵 /
楽しく学べる!勉強系の絵本3選
読書には子どもの好奇心を満たしながら、自然に知識が身につくことも期待できます。小学生の勉強に役立つ、おすすめ絵本を見ていきましょう。
「うちゅうひゃっかてん」黒岩まゆ
宇宙にある人気の百貨店を舞台にした、社会勉強ができる絵本です。
お客様が買い物を楽しむ様子をモニターで観察していた社長は、ある日ひどくつまらなそうにしている親子を見つけました。社長は店員に、親子を笑顔にできるような「おもてなし」を命じますが、店員がどう頑張っても親子は笑いません。なぜ彼らは笑わないのか、結末はどうなるのか、ストーリー展開がとても気になる作品です。
挿絵が持つ独特の世界観も癖になり、繰り返し読みたくなるでしょう。
商品名:「うちゅうひゃっかてん」黒岩まゆ /小学館
「プログラムすごろく アベベのぼうけん おどろきの上巻」佐藤雅彦 石澤太祥 貝塚智子
小学校でのプログラミング教育に備え、準備しておきたい人におすすめの「すごろく」絵本です。「変数」や「条件分岐」といった、プログラミングの基本的な考え方が盛り込まれており、遊びながら「プログラミング的思考」を学べます。
読者はドドジ王国の王子「アベベ」になって、すごろくのゴールを目指します。サイコロの代わりに、物を数えたり簡単な計算をしたりする問題が出され、正解の数字に従って進むとゴールにたどり着く仕組みです。
一つでも間違えるとゴールできないため「どこが間違っていたのだろう」と検証する力や、やり直してみる粘り強さも養われます。
商品名:「プログラムすごろく アベベのぼうけん おどろきの上巻」佐藤雅彦 石澤太祥 貝塚智子 作 ダイスケ・ホンゴリアン 絵 /小学館
「1日10分でちずをおぼえる絵本 改訂版」 あきやまかぜさぶろう
小学校の社会科で必出の、都道府県について学べる絵本です。47都道府県のシルエットを、生き物の形に当てはめて解説しています。
例えば、北海道は魚の「えい」。「えいのかたちはほっかいどう」と声に出して読んでみることで、北海道の形を無理なく覚えられます。
同じページでその都道府県の位置や特徴、名産品なども紹介しており、大人が読んでも楽しめます。「〜県は何の形?」と、子どもと一緒にクイズを出し合ってみてもよいでしょう。
商品名:「1日10分でちずをおぼえる絵本」あきやまかぜさぶろう /白泉社
かわいいから読み進めたくなる!キャラクター絵本3選
子どもを読書好きにしたいなら、キャラクターに頼るのも手です。大好きなキャラクターに引かれて、興味を持ってくれるかもしれません。
読む手が進む、キャラクター絵本を3冊紹介します。
「ピカチュウとはじめてのともだち」まつおりかこ
赤ちゃんから大人まで、広い世代に愛されている「ポケットモンスター(ポケモン)」の絵本です。主人公のピカチュウが、旅の途中で見つけた「もんぽけじま」を冒険し、友達をつくるお話です。
島にはたくさんのポケモンが住んでいて、毒キノコを食べようとしたピカチュウを止めたり、ジュースやクッキーでもてなしてくれたりと、とても親切にしてくれます。
アニメやゲームとは違った、ほのぼのとした雰囲気のポケモンたちがとてもかわいらしく、ポケモンを知らない子どもでも楽しめます。
商品名:ピカチュウとはじめてのともだち まつおりかこ /小学館
「絵本 すみっコぐらし そらいろのまいにち」よこみぞ ゆり
「すみっコぐらし」は、文房具や雑貨で人気のキャラクター。すみっこにいると心が落ち着く「すみっコ」たちが、体を寄せ合っているイラストが印象的です。
絵本「そらいろのまいにち」では、主要なキャラクター5人の過去や、すみっこにやってきた事情などが、順番に明かされていきます。ほかの人にすみっこを譲ってしまうほど気弱なねこにも、正体を隠すためにとかげのふりをする恐竜にも、意外な過去が…。
どんな人でも、さまざまな困難やつらさを乗り越えて生きていることがよく分かり、素直に感動できる作品です。
商品名:「すみっコぐらし そらいろのまいにち」よこみぞ ゆり /主婦と生活社
「パウ・パトロール おはなし絵本 だいぼうけん編」小井詰昌之
少年とかわいい子犬たちが活躍するテレビアニメ「パウ・パトロール」の絵本です。第1弾の「だいぼうけん編」では、人気のタイトルを2話分収録しています。
最初のお話「でんせつの だいかいぞく あらわる」は、謎解き要素と驚きの「オチ」が盛り込まれた名作で、「パウ・パトロール」を見たことがない子どもでも楽しめます。
リーダーの少年「ケント」や個性的な子犬たちの活躍に自分の姿が重なり、一緒に冒険している気分になれるでしょう。
商品名:「パウ・パトロール おはなし絵本 だいぼうけん編」小井詰昌之 /小学館