「全身全霊」とは体力と精神力のすべてをあらわす言葉
「全身全霊」は「ぜんしんぜんれい」と読み、持っている体力や精神力のすべてを意味する言葉です。体力や精神力のすべてを注ぎ込み、一生懸命取り組むさまをあらわします。仕事や研究などに全力で取り組むことを宣言する場面で「全身全霊で取り組む所存です」あるいは「全身全霊をささげて頑張ります」などというように使います。
さっそく、「全身全霊」の意味が辞書にどのように記載されているかを確認してみましょう。
【全身全霊:ぜんしんぜんれい】からだと心のすべて。体力と精神力のすべて。「研究に全身全霊をささげる」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「霊」は魂を意味する
「全身全霊」の言葉のなかの「霊」とは、魂や精神を意味します。一般的に霊というと、幽霊やおばけといったオカルト的なものを意味するケースが多いですが、ここでは生きている人に宿る魂、精神という意味だと理解しましょう。
「全」はすべてという意味であり、「身」すなわち体と、精神の両方にかかっています。そのためストレートに解釈すると「全部の体と全部の精神」となり、そこからその人が持っている体力や気力のすべてという意味で使われるようになりました。
和製四字熟語といわれている
「全身全霊」は、ほかのことわざや四字熟語にみられるような、語源となる故事成語は存在しません。日本で生まれた和製四字熟語だといわれています。
現在わかっているなかで、「全身全霊」という言葉がはじめて使用されたのは1919年に書かれた有島武郎(ありしまたけお)の小説「或る女」であるという説が有力です。「或る女」には「木部の全身全霊を爪の先き想ひの果てまで自分のものにしなければ」という一節があります。
【例文付き】「全身全霊」の使い方
「全身全霊」は、その人が持つ体力と精神力をすべてかけて何かに取り組む際に使われる言葉です。全力で頑張らなければならない仕事や研究、スポーツの試合などにおいて用いられる頻度が高いといえるでしょう。
「全身全霊をかける」「全身全霊を注ぐ」「全身全霊を傾ける」といった言い回しが一般的です。また、「全身全霊で」「全身全霊をもって」というように副詞的な活用をすることも多いといえます。ここからは、実際に「全身全霊」を使った例文を確認してみましょう。
・夢を実現するために、【全身全霊】をかけて勉学に励んだ
・彼女はそのプロジェクトを【全身全霊】を注いで成功させた
・彼は何事も一生懸命な人だ。たとえゲームであっても【全身全霊】を傾けるだろう
・ライバルとの昇進争いに勝利するよう、【全身全霊】で仕事に取り組んだ
・私の【全身全霊】をもって、戦わせていただきましょう
「全身全霊」の類語3つ
その人の心血すべてを注ぎ込んで取り組む意味をもつ「全身全霊」という言葉には、同じような意味を持つ言葉がいくつかあります。ここでは、次の3つの言葉を解説します。
1.粉骨砕身
2.全力投球
3.心血を注ぐ
いずれも全力で一生懸命に取り組むさまをあらわす言葉です。それぞれの意味や使い方を、簡単にご説明していきます。