「公私混同」の意味とは?
公私混同は「こうしこんどう」と読みます。業務上、もしくは公的に携わっている事柄と私的な事情を区別せずに扱うことです。また、業務に私情を持ち込むことを指す場合もあります。
公私混同は基本的にネガティブな意味で使われる言葉です。特にビジネスシーンで起こりやすく、犯罪に関わることもあります。
ここでは、公私混同の具体例や、公私混同が悪い理由について解説します。
■「公私混同」の具体例
公私混同が起きやすいのは、主にビジネスシーンです。仕事上では経費の私的利用や依怙贔屓、パワハラなどがあげられます。また、社内恋愛も公私混同になる場合があります。
ここでは公私混同の具体例をみてみましょう。
仕事のシーン
仕事のシーンで公私混同になる代表例は、経費の私的利用です。プライベートに使った費用を交際費として経費に計上したり、交通費や出張費を過大請求したりする例があげられます。このような経費の不正使用は横領罪や背任罪などの犯罪に該当する可能性もあり、許されません。
また、業務に私情を持ち込む例として“えこひいき”や“パワハラ・モラハラ”があげられます。依怙贔屓は、自分の気に入っている部下などを有利に扱い、良い評価をつけるといった行動です。そのような私情に基づく評価は社員の会社に対する信頼や仕事へのモチベーションを下げ、生産性を低下させる可能性があります。会社の不利益につながるでしょう。
依怙贔屓とは反対に、気に入らない部下や同僚をパワハラ・モラハラするケースもあります。このような行為は、パワハラ・モラハラを受けた社員の離職を招く結果にもなりかねません。
また、職場のパソコンで私的にインターネットを検索したり、会社の備品を家に持ち帰ったりする行為も公私混同にあたります。
恋愛のシーン
社内恋愛はよくあることで、それ自体は公私混同にあたりません。しかし、業務に恋愛問題を持ち込むと公私混同にあたります。
職場で必要以上に親密な様子を見せたり、痴話喧嘩を始めたりといったことがあげられます。社内風紀を見出す原因にもなり、他の社員の業務にも影響を与えかねません。
公私混同として目に余るような状態になれば、上司から注意を受けることにもなるでしょう。
公私混同はなぜ悪い?
公私混同は最悪の場合、犯罪になります。社員が経費を不正利用した場合は業務上横領罪や詐欺罪に問われるでしょう。
経営者が私的な費用を経費に計上すると、税務調査で否認されることもあります。経営者の公私混同は社員のモラルにも影響し、社内風土を乱す原因になります。公私混同が横行し、不正が起こりやすい職場になりかねません。
「公私混同」の例文
公私混同という言葉を具体的にイメージするために、いくつかの例文をご紹介します。
・全国の企業を調査した結果、1割の企業に公私混同による問題が発生していたことがわかった
・係長の〇〇氏は出張に妻を同伴してホテルや飲食代を経費として請求していたことが発覚し、公私混同だと問題になっている
・総務部の〇〇さんは交際している同僚の女性と業務中も会話をしており、部長から公私混同だと厳重注意を受けた
「公私混同」の類義語
公私混同には、次のような類義語があります。
公私混交は、公的な事柄と私的なことの区別をつけずに一緒にすることで、公私混同とほぼ同じ意味です。職権濫用は職務上の権限を越えたり悪用したりすることであり、公私混同にも通じる行為といえます。
類義語も一緒に覚えておけば、語彙力を増やすことができます。
ここでは、それぞれの内容や例文を詳しくみていきましょう。
「公私混交」
公私混交は、「こうしこんこう」と読みます。同じ読みで「公私混淆」という言葉もあり、意味も同じです。「混交」と「混淆」は、異なるものが一緒になるという意味で、公私混同とほぼ同じ意味で使われます。
(例文)
・彼は友人と食事に行った費用を経費に計上しており、公私混交だと噂されている
・政治家が公用車をプライベートで使うことは、立派な公私混交といえる