粉骨砕身(ふんこつさいしん)
「粉骨砕身」は「ふんこつさいしん」と読み、骨を粉にし身を砕くほど力を惜しまずに賢明に努力することをあらわす言葉です。
体力や気力をすべてかけて頑張るという意味の「全身全霊」と似たような意味であり、同じように決意表明や就任挨拶などで使われることが多い言葉です。「粉骨砕身の思いで努力する」というように使います。
全力投球(ぜんりょくとうきゅう)
「全力投球」は「ぜんりょくとうきゅう」と読み、全部の力をかけて物事に対処することを意味する言葉です。野球で、投手が全力を尽くしてボールを投げることが由来といわれています。
「彼はどんな些細なことでも全力投球で取り組む」というように、ポジティブな意味で使われることが多い言葉です。「全身全霊」と似たような意味の類語の一つといえるでしょう。
心血を注ぐ(しんけつをそそぐ)
「心血を注ぐ」は「しんけつをそそぐ」と読み、心身のありったけを尽くしておこなう様子をあらわします。文字通り、心や血をすべて注ぎ込むように全力で取り組むという意味であり、「全身全霊」と同じようなニュアンスを持つ言葉です。
「心血を注いだ作品」というような使い方をします。なお、心血を傾けるという使い方は誤用であるため、間違えないように注意しましょう。
【目次】
「全身全霊」の対義語3つ
ここまで「全身全霊」と同じような意味を持つ類語を解説してきましたが、反対の意味である対義語もご紹介していきましょう。対義語は、体力や魂をかけて真摯に取り組むことを意味する「全身全霊」とは対照的な意味を持つ次の3つの言葉です。
1.手抜き
2.手心を加える
3.怠慢
それでは、一つずつ意味や使い方を確認していきましょう。
手抜き
「手抜き」とは、本来ならしなければならない手間や手続きなどを意図的に省いておこなわないことです。「手抜き工事」「仕事を手抜きする」など、それによって何らかのトラブルなどが発生している場面で使われることも多いといえます。
心血を注いで全力で取り組むというニュアンスの「全身全霊」とは反対の、ネガティブな意味で使われるケースがほとんどです。
手心を加える
手心を加えるとは「てごころをくわえる」と読み、手加減をする、寛大に扱うという意味です。「手心」は、経験を通して得た感触が手先などに残っていることや身についた技をあらわします。
そこから転じて、事情を考慮して物事をほどよく取りはからうという意味で使われるようになりました。「試験の結果に手心を加えることはない」というように使います。
怠慢(たいまん)
「怠慢」とは「たいまん」と読み、当然しなければならないことをおろそかにすること、またそのさまをあらわす言葉です。「職務怠慢」という表現を耳にしたことがある人も多いでしょう。仕事や勉強など、本来しなければいけない大切なことを怠ることに対して使われる傾向にあります。
なまけるという意味の「怠」と、心がゆるんでいて締まりがないという意味の「慢」の2つの文字を組みあわせた言葉です。
まとめ
「全身全霊」は、その人がもつ体力や精神力のすべてを意味し、全力で物事に取り組むようなときに使われることが多い言葉です。「霊」は精神、魂などをあらわします。就任挨拶や決意を表明する場面で、「全身全霊をささげます」というように使います。
同じような意味を持つ類語には、「粉骨砕身」、「全力投球」、「心血を注ぐ」などがあります。対義語は「手抜き」、「手心を加える」、「怠慢」などです。簡単にできることではありませんが、ここぞという場面では「全身全霊」で物事に取り組みたいものですね。
写真・イラスト/(C) Shutterstock.com