伝家の宝刀ともいうべき
「伝家の宝刀」が、文字通り刀を指すことはあまりなく、刀以外のものを指すケースが大半でしょう。そのため、「伝家の宝刀」という表現ではなく、「伝家の宝刀ともいうべき」と表現することも多いです。次のように使ってみましょう。
・彼女は急に高圧的な態度を変えて、妙に腰が低くなった。これは彼女の【伝家の宝刀】ともいうべき技で、大抵の人間は彼女がどんなに無茶なお願いをしても聴いてしまうのだ。
・彼は転職先に提出する履歴書に、あえて【伝家の宝刀】ともいうべき国家資格について記載しなかった。資格なしに自分の価値を評価してほしいという算段のようだ。
・最後は【伝家の宝刀】ともいうべきスマッシュで決勝を決めた。
「伝家の宝刀」の類語を紹介
「伝家の宝刀」と似た意味で使う言葉として、次の2つが挙げられます。
例文を通してそれぞれの使い方をご紹介するので、ニュアンスの違いや使用するシーンの違いについて学んでいきましょう。
奥の手(おくのて)
「奥の手」とは、簡単には見せない奥義や腕前のことを指す言葉です。すぐに人に見せるものではないものである点、また、素晴らしいものである点も、「伝家の宝刀」と同じといえるでしょう。いくつか例文を紹介します。
【奥の手】おくのて
(1)奥義。極意。「―を授かる」
(2)容易に人に知らせない、とっておきの策。最後の手段。「―を使う」
(3)《古くは、左を右より大切に思い、尊んだところから》左のほうの手。一説に、二の腕。「我妹子(わぎもこ)は釧(くしろ)にあらなむ左手の我(あ)が―に巻きて去(い)なましを」〈万・一七六六〉
<小学館 デジタル大辞泉>より
・今回の選挙はさすがに厳しいのではという声の中、彼は【奥の手】である奥方を応援演説に引っ張り出してきた。地元への貢献度や人柄の良さで知られた奥方が全面的に応援している様子を見て、選挙区の人々の心を動かそうという魂胆だ。
・ゲームも終盤に近づいて、彼女はいよいよ【奥の手】を出した。急に強くなった彼女に、対戦者は歯が立たないようだ。
秘密兵器(ひみつへいき)
「秘密兵器」とは、いざというときのために残しておく人やモノを指す言葉です。本当に兵器を指すこともありますが、兵器以外のものを指すこともあります。次のように使ってみましょう。
・我が社の【秘密兵器】は彼女です。去年入社したばかりですが、才能と独創性で我が社を成功に導いてくれています。
・彼女の【秘密兵器】ともいうべきパソコンを見せてもらった。処理速度が非常に速く、これならストレスなく仕事ができそうだ。
ここぞというときの大切なシーンで適切に活用を
「伝家の宝刀」とは、大切にして普段は安易に見せないものを指す言葉です。頻繁に使うと「伝家の宝刀」の価値がなくなってしまうので、ここぞというべきときに抜くようにしましょう。
また、「伝家の宝刀」と似た意味の言葉として、「奥の手」や「秘密兵器」があります。いずれも本当に困ったときなどに用いるものなので、「伝家の宝刀」と同じく、安易に見せたり使ったりすると価値が落ちてしまうかもしれません。
タイミングやシチュエーションを見極めて、適切なときに使用しましょう。
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