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2022.08.23

今さら聞けない!【苦肉の策】ってどういう意味?

 

「苦肉の策」とは一般的に、苦し紛れの作戦という意味で使われています。しかし本来は、三国志演義でも使われた「苦肉計」という戦術が由来の、敵を欺くために自分や身内を苦しめて行うはかりごとをあらわす言葉です。今回は「苦肉の策」の意味と由来、使い方を解説します。

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「苦肉の策」の意味と由来

「苦肉の策」は「くにくのさく」と読み、本来は敵を欺くために、自分や味方を苦しめておこなう策略を意味する言葉です。そこから転じて、苦しまぎれにあみ出した作戦という意味でも使われるようになりました。ビジネスシーンでも使われる言葉であるため、覚えておいて損はないでしょう。辞書には次のように意味が記載されています。

苦肉の策

【苦肉の策:くにくのさく】敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀。「苦肉の策を講じる」

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

ここからは、「苦肉の策」の由来といわれる戦術である「苦肉計」や、関連語の一つである「反間苦肉の策(はんかんくにくのさく)」について解説します。

由来は三国志演義でも使われた「苦肉計」

「苦肉の策」の由来は、三国志演義でも用いられる苦肉計(くにくけい)だといわれています。苦肉計は自軍が劣勢の場合に使う、「敗戦の計(はいせんのけい」)の1つです。相手の「人は自分のことを故意には傷つけない、もし害を受けていたらそれは他人から受けたものだ」という思い込みの裏をかき、あえて自分や味方を傷つけ、相手を騙す戦法です。

なお、苦肉計は17世紀の清の時代のはじめにできた兵法書「兵法三十六計(へいほうさんじゅうろっけい)」にも登場する、古い戦術です。

「兵法三十六計」は「孫子」などのいわゆる「武経七書」と呼ばれる兵法書と比べると粗雑な面があり、また兵法とはいえないような戦術も記載されています。そのため、兵法書としての評価が高いわけではないのですが、さまざまな故事や教訓が盛り込まれているため、民間を中心に普及したといわれています。

知られている意味と本来の意味は異なる

言葉の由来からもわかるように、「苦肉の策」のもともとの意味は、敵を欺くために自分や味方を傷つけるはかりごとでした。そのうち誤って、苦しまぎれに考えた手段という意味で使われるようになりました。現在では誤った使い方が浸透し、一般的に使われるようになったと考えられます。

「反間苦肉の策」という言葉もある

「苦肉の策」と似た言葉として、「反間苦肉の策」という言葉があります。わざと自分の身を傷つけるなどして欺き、敵の仲を引き裂いて混乱に陥らせる策略という意味です。

「反間」には、敵国に内通者として入り敵情を仲間に知らせたり、混乱させることという意味があります。「【反間苦肉の策】のような卑怯な手は使わず、真っ向勝負をしよう」という使い方をします。

【例文付き】「苦肉の策」の使い方

「苦肉の策」は、もともと敵を欺くために自分や味方を傷つける作戦を意味する言葉であり、そこから転じて、苦しまぎれの策という意味でも使われます。

苦肉の策

一般的に、「苦肉の策として」または「苦肉の策を講じる」といったフレーズで使用することが多いでしょう。「苦肉の策」を使った例文には以下のようなものがあります。

・【苦肉の策】だが、疎遠にしていた彼にもお願いするしかないようだ
・ホテルで箸が見つからなかったので、【苦肉の策】で歯ブラシ2本でカップラーメンを食べた。
・こちらにサポートを依頼してくるなんて、【苦肉の策】だったに違いない
・当面のピンチを脱するため、こちらの利益は度外視する【苦肉の策】を講じた

「苦肉の策」の類語3つ

「苦肉の策」には、同じような意味の類語がいくつかあります。いずれも「苦肉の策」と同様に、ビジネスシーンで使うことができるものばかりであり、苦しまぎれの策、あるいは最後の手段というニュアンスを持つ言葉です。ここでは、「窮策」「苦渋の決断」「窮余の一策」の3つの類語の意味や使い方を解説していきます。

苦肉の策

【類語1】窮策(きゅうさく)

「窮策」は「きゅうさく」と読み、追い詰められた結果、苦しまぎれに考えだした方法や作戦を意味する言葉です。「窮(きゅう)」という言葉には、困難にぶつかってどう処置したらよいかわからず苦しむ、困り切るといった意味があります。「窮策ではあるが、何もやらないよりはましだ」というように使います。

なお、言葉のニュアンスが似ていることから「万事窮す」と間違えやすいですが、混同しないように注意しましょう。正しくは「万事休す(ばんじきゅうす)」です。

【類語2】苦渋の決断(くじゅうのけつだん)

「苦渋の決断」は「くじゅうのけつだん」と読み、苦しくて辛い思いで決めたこと、という意味です。物事がうまくいかず苦しむという意味の「苦渋」と、潔く決めてほかのことは断ち切るという意味である「決断」の組み合わせにより成り立っています。

重要な局面で真剣に、どれを取ってもデメリットや痛みを伴う選択に使うことが一般的であり、どちらでも良いような軽い決断には使わない点に注意しましょう。「【苦渋の決断】だったが、決別の道を選んだ」というように使います。

【類語3】窮余の一策(きゅうよのいっさく)

「窮余の一策」は「きゅうよのいっさく」と読み、「苦肉の策」と同じように、苦しまぎれの作戦のことを意味する言葉です。

窮余」は苦しまぎれや困りきった結果という意味であり、「一策」は1つの策という意味ですが、たった1つの最後の手段というニュアンスを含みます。そのため、さまざまな策を講じてきたものの失敗に終わり、もうこれしかないということでおこなう、一か八かの掛けのような作戦をあらわすと考えてよいでしょう。

「会社の存亡の危機に、【窮余】の一策で講じた対策が功を奏した」というような使い方をします。

まとめ

「苦肉の策」は、現在は苦しまぎれの作戦といった意味で使われることが一般的です。しかしもともとは、敵を欺くために、自分や味方を苦しめておこなう策略という意味の言葉でした。「人は自分や身内を傷つけることはしない、もし害を受けていたらそれは他人から受けたものだ」という思い込みの裏をかいた作戦のことです。

「苦肉の策」の由来は、清の時代の兵法書「兵法三十六計」にあるといわれています。類語には「窮策」「苦渋の決断」「窮余の一策」などがあります。

「苦肉の策」の由来や本来の意味も抑えることで、さらに深い理解につながるでしょう。「苦肉の策」を正しく使いこなせるようにしましょう。

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