読書の際に気をつけなければならないのは、いい本ほど大量に付箋を貼ったりハイライトをつけたりをしたくなるが、「チェックの量が多すぎると、あとでまとめてコピペするのが逆に面倒になってしまう」というジレンマだ。
【5】「保存作業」は「持続しない集中力」を利用する
そこでわたしが実践しているのは、「付箋やハイライトの内容を保存しつつ、同時に本も読み進める」というスタイルである。
15分ほど読み進めて、ちょっと飽きてきたり疲れてきたりしたら、いったんページをめくるのをやめ、付箋を貼った文章をパソコンやスマホで「整理・保存」するのだ。
「自分は集中力がなく、いつも注意散漫だ」と自己嫌悪になっている人も多いと思うが、たいていの人には集中力なんてそもそも備わっていないのである。「持続しない集中力」を逆利用してしまえば、「読書」も「整理・保存」も無理なく進められるだろう。
読書で得た知識を「知肉」に変えていく
「いい本を読む」ということは、自分の「知肉」にしていくということだ。つねに「この本は、どのように自分の知肉になるだろうか」ということを意識しながら読んでいく。
とはいえ、慣れないと、そこまで考えながら読むのは難しいだろう。いまでこそ「佐々木さんの読み方は、すごいですね」と言われることもあるが、わたし自身も「知」と無縁の半生を送ってきた。しかし、そういう「知」と縁遠い人間でも、このぐらいまでは到達できるのだ。
「『知肉』になる本の読み方」をうまく使いこなすことができれば、読書で得た知識を「知肉」に変えていけるはずだ。ぜひ、みなさんも「読む力」を磨いてほしいと思う。
現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全: 脳が超スピード化し、しかもクリエイティブに動き出す!(東洋経済新報社)
ジャーナリスト
佐々木 俊尚(ささき としなお)
1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、『月刊アスキー』編集部を経て、2003年よりフリージャーナリストとして活躍。ITから政治、経済、社会まで、幅広い分野で発言を続ける。最近は、東京、軽井沢、福井の3拠点で、ミニマリストとしての暮らしを実践。『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『そして、暮らしは共同体になる。』(アノニマ・スタジオ)、『時間とテクノロジー』(光文社)など著書多数。
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