ビジネスシーンでの「マスト」の使い方
ビジネスシーンでの「マスト」は、重要事項や絶対に外せない要件に対して使用します。
「この会議の録画はマストだ」と言われたら、「この会議は必ず録画する必要がある」「録画しないという選択肢はない」といった強制力のある意味となるのです。また、「マスト事項」や「マスト項目」は、「絶対に外せない事柄」を表します。
《例文》
●業績好調で人手不足のため、人員の増強はマストです
●マスト事項から優先して進めてください
「マスト」は、「こうしてほしい」という意向を表現するのに便利な言葉なので、多用してしまう人も多いよう。頻繁に使用すると、本当に重要なこととそうでないことの区別がつかなくなるため、適切に使用するよう心掛けましょう。
また、マーケティング業界で使われる「マストバイキャンペーン」という言葉は、これまで説明した「マスト」とは意味が変わってきます。基本的には「商品を購入することで応募可能なキャンペーン」を指すため、業務内容や前後の文脈によって判断しましょう。
「マスト」と関連するビジネス用語は?
「マスト」に関連するビジネス用語には、「ベター」「ベスト」「ウォント」「ニード」などがあります。言葉の意味をそれぞれ理解し、「マスト」との使い分けの参考にしましょう。
ベター
「ベター」は「ほかと比較して、ほかよりもよい」「〇〇の方がまだよい(マシ)」という意味で、英語の「better」をカタカナ語として使用している言葉です。
いくつかの選択肢があり、その中でよりよい事柄を選択する場面で用いられます。
《例文》
●A案よりはB案の方がベター
●会場は駅から近い方がベター
マストは「必須の義務」を示す場合に使用し、ベターは「比較して選択」する場面で使用するため、使い分けはそれほど難しくないでしょう。
ベスト
ビジネスシーンでの「ベスト」は、「一番よい」「最も優れている」という意味で、英語の「best」をカタカナ語にしたものです。
《例文》
●資料は今日中に仕上がればベストです
●結果を見ると、今回の人選はベストだったといえるでしょう
また、「ベスト」には「最善」「全力」という意味合いもあります。
《例文》
●ベストを尽くして明日を迎えよう
ベターは「複数を比較してマシなものを選択」する場合に使用するのに対し、ベストは「最も望ましい状態・事柄」を指すときに使用します。
ウォント
ビジネスの場で使われる「ウォント」は、英語の「want」をカタカナ語にしたもので、「希望する」「望む」という意味です。「必須ではないけれど、できるならお願いしたい」という、要望を表現するニュアンスになります。
《例文》
●会場はエレベーター有りがマスト条件だけど、ホワイトボードはウォントね
●中途採用の人のセミナー参加はウォントです
ビジネスで使われる「マスト」が、絶対にやらなければならない「義務」であったのに対し、ウォントは強制力のない「希望」「要望」です。
ニード
「ニード」は英語の「need」からきていて、「必要がある」という意味で使われます。
《例文》
●受付には英語が話せる人の配置がニードです
●このコンペには斬新なアイデアがニードである
「マスト(必須)」「ウォント(希望)」「ニード(必要)」を重要度で並べると、強い方から順に「マスト>ニード>ウォント」です。
「マスト」は「必ずやる」「やらなければならない」という義務を意味し、「ウォント」はあくまで「こうだったらいいな」という希望を表現します。「ニード」はその中間のニュアンスで、「ウォント」よりは強い要望ですが、「マスト」ほどの強さはありません。
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