「肌理」とは?
では「肌理」とは、何のことなのか、読み方などをみていきましょう。
■「肌理」の読み方や意味
「肌理」は、「きめ」や「きり」と読みます。意味は以下の通りです。
1.皮膚のきめ。2.木目。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
「肌理」は、一般的に読まれているのは「きめ」。カタカナやひらがなでも多く表記されています。
■木材は「木目」
木材の年輪など、成長する過程で生じる模様のことも「きめ」といい、その際は「木目」と表記されます。
■美容用語での「肌理」とは?
美容用語では「肌の肌理(きめ)」ということが多いでしょう。皮膚の表面には「皮溝(ひこう)」と呼ばれる溝があり、細かい網目状になっています。また溝が盛り上がっているところを「皮丘(ひきゅう)」といい、「皮溝」と「皮丘」からなる形が「肌理」です。「肌理」の整った肌は、皮膚の表面にある「皮溝」と「皮丘」が、規則的で綺麗な三角形をつくっている状態のこと。肌の水分バランスが保たれ、正常にターンオーバーがなされているため、皮膚は艶やかで透明感があるのが特徴です。
反対に「肌理」が整っていない肌を「肌理が荒い肌」や「肌理が乱れた肌」といいます。皮膚の表面の網目が不規則に並んでいる状態のこと。紫外線や乾燥した空気の中にさらされると、肌は乾燥し、くすみ、皮膚の弾力性を失ってしまいます。また食生活の乱れや寝不足、ストレスなども「肌理」が乱れる原因だとされています。
■「肌理の勾配」とは?
「肌理の勾配(こうばい)」とは、奥行きを知る手がかりのことをいいます。「勾配」とは、傾きの度合いや傾斜を表す言葉。肌や木目、生地などにはそれぞれ肌理があります。その肌理の面がみえたとき、細かい肌理の方が遠くに感じられますよね。
例えば、砂漠などの砂地を描いた絵や、写真を想像してみてください。手前にある砂の粒子は比較的大きく、遠くなるにつれ細かくなっているのではないでしょうか。肌理の密度の変化などが、奥行きを感じるために重要であるとされています。
■「肌理」の語源とは?
「肌」という字は「き」と読むことができますが、「理」は「め」と読みません。ではなぜ「肌理」と表現するのでしょうか。それは熟字訓(じゅくじくん)によるものです。
まず熟字訓とは何か、みていきましょう。
2字以上の漢字からなる熟字を訓読みすること。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
わかりやすくいうと、熟字訓は当て字の1つ。当て字には大きく分けて、2つの種類があります。1つ目は、その漢字が持つ本来の意味とは全く関係のない漢字を用いるもの。例えば「滅茶苦茶(めちゃくちゃ)」や「亜細亜(アジア)」などです。
2つ目は、漢字が持つ本来の意味を残して、あまり読まれない読み方で、漢字を使うもの。例えば、「小豆(あずき)」や「相撲(すもう)」、「足袋(たび)」など。熟字訓は2つ目の漢字の持つ意味を優先にしたものだと考えるのが一般的です。
「肌理」の使い方を例文でチェック
「肌理」は「肌理細かい」などと、使われることが多いでしょう。「肌理」の使い方を例文でチェックしていきましょう。
「あの旅館の肌理細かいおもてなしには、とても感動した」
「肌理細かい」とは、「表面が滑らかである」ことや「細かいところまで心配りが行き渡る」ことを表します。この例文の場合は、後者。旅館のおもてなしが、隅々まで行き届いていたことをいっています。
「彼はいつも肌理細かい仕事をすることで有名だ」
「肌理細かい」は「繊細」や「細部まで丁寧」というニュアンスを含んだ言い回し。「肌理細かい仕事」ということで、「丁寧で細かいところまで手を抜かない仕事」という意味合いになります。
「彼女は肌理の細かい透き通った綺麗な肌の持ち主だ」
「肌理の細かい肌」とは、「表面に凹凸がなく、滑らかな肌」をいい、肌の綺麗な人に対して用いる表現です。また、「肌理の整った肌」ということもあります。
「あの鉱物は大理石のような肌理を持っている」
「肌理」は、物の表面の様子をいう際にも用いられる言葉。この例文の場合、大理石のような表面を持っていることをいっています。
「肌理」の類語・言い換え表現とは?
「肌理」の類語・言い換え表現には、「風合い」「肌目」「肌ざわり」があげられます。それぞれの意味や使い方をチェックしていきましょう。
「風合い」
「風合い(ふうあい)」は、見た目の美しさや手ざわり、肌ざわりの良し悪しを表すもの。主に繊維製品などに用いられることが多い言葉です。
(例)そのセーターは手編みならではの風合いがある。
「肌目」
「肌目(はだめ)」は建築用語で木材の表面にある模様のことをいいます。「肌理」や「木目」よりもさらに細かい表面のこと。製材した際に出る表面の模様や凹凸、色などを表します。
(例)檜は緻密な肌目を持ち、表面は白く滑らかだ。