「燕子花」の読み方とは?
「燕子花」の読み方は「かきつばた」です。「燕子花」を辞書で調べてみると以下のようにあります。
アヤメ科の多年草。湿地に群生。葉は剣状で幅広く、基部は鞘(さや)になり茎を挟む。初夏、濃紫色の花を開く。外花被3枚は垂れ、中央に黄や白の斑紋がある。内花被3枚は小さく、直立する。園芸種には白花もある。古くは花汁で布を染めて、「書き付け花」とよばれたという。かおよぐさ。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
「燕子花」の由来
「燕子花」は平安時代の和歌にも登場し、日本で古くから親しまれてきた花です。「燕子花」の明確な由来は不明ですが、「燕子花」の花は、古くは衣服の染料として使われており「書き付け花(カキツケハナ)」といわれていました。そこから転じて「燕子花」となったとされています。垣根の端に生えることから、その昔は「カキツハタ」と呼ばれ、そのことから由来するという説もあります。
また「燕子花」という漢字の由来については、燕の子が羽を広げて飛んでいる姿をイメージされることからだ、という説も。
「燕子花」と「杜若」に違いとは?
「燕子花」には「杜若」という漢字表記があります。それらの違いをみていきましょう。「杜若」は、中国から由来したもの。中国では「杜若」はツユクサ科のヤブミョウガを意味し、一方で「燕子花」はキンポウゲ科のヒエンソウ属のものを表します。しかし現在日本では、「燕子花」と「杜若」の2通りの漢字が使われています。
「燕子花」はどんな花?
「燕子花」は5~6月にかけて花を咲かせる、アヤメ科の多年草。学名は「Iris laevigata」です。日本や中国、朝鮮島から東シベリアに分布し、主に川辺などの湿地に群生します。「燕子花」の背丈は50cm~80cmほどあり、花の大きさは中輪、色は青や青紫、白。花の真ん中あたりに白い筋が入っているのが特徴です。
また葉は細長く剣のような形をしており、葉脈はあまり目立ちません。日本では平安時代よりも前から栽培が行われており、園芸用の品種が多く作られたのは江戸時代の前半です。俳句では夏の季語として用いられます。
「燕子花」・「菖蒲」・「あやめ」の違いとは?
「燕子花」や「菖蒲」、「あやめ」はとても似ている植物です。これらを見分けるには、花びら、育つ環境、開花時期の3つのポイントがあげられます。1つ目の花びらの違いをみていくと、「燕子花」の花の付け根には白い筋があるのが特徴。一方で花の付け根に黄色の模様があれば「菖蒲」、花に網目状の模様があれば「あやめ」です。
2つ目は、育つ環境に違いがみられること。水を好む「燕子花」と「菖蒲」は川や池、沼地などの水がある場所に生息します。それに対して、「あやめ」は草原や乾燥した土地でしか育ちません。3つ目は開花時期が異なる点です。「燕子花」と「あやめ」は5月中旬ごろから花を咲かせます。対して「菖蒲」は6月~7月の中頃に花を咲かせるのが特徴です。
「燕子花」の別名は?
・「顔佳花/容佳花/貌佳花(かおよばな)」
「燕子花」の別名、古くは「顔佳花」「容佳花」「貌佳花」と呼ばれていたことも。「オモダカ」や「ヒルガオ」をいったものだとする説もあります。
・「顔花(かおばな)」
諸説ありますが、「燕子花」のほか、「ヒルガオ」や「シャクヤク」など美しい花を意味するとされています。
・「Iris」
「Iris」は英語でアヤメ属の多年草の総称です。「燕子花」は英語で「Japanese iris」、「Water iris」、「Rabbitear iris」と表現されることがあります。
「燕子花」の花言葉は?
「燕子花」には以下のような花言葉があります。由来も併せてみていきましょう。
「高貴」
「燕子花」は鮮やかな紫色の花が特徴的です。位の高い僧侶の袈裟が紫色だったりと、その昔、紫色は高貴な人のみ身に付けることが許された色でした。そのことから「高貴」という花言葉がつけられたとされています。