「思慕」
「思慕(しぼ)」という花言葉の明確な由来は不明ですが、由来には2つの説があります。まず1つめは、「燕子花」が、片思いの相手を恋しく想って水辺にたたずんでいる女性の姿にみえたことから、という説。
もう1つは、在原業平が詠んだ歌に由来するという説です。「唐衣 きつつ馴れにし つましあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ」。都にいる愛する人を恋しく思う気持ちを詠んだ歌です。この歌には折句という技法が用いられており、5音の頭の文字を読んでみると「かきつはた」に。そのことから「思慕」という花言葉がつけられたとされています。
「幸せは必ず来る」
燕の子の姿に似ていることに由来する「燕子花」。「燕」は幸運を運んでくる縁起の良い鳥であることから、「幸せは必ず来る」という花言葉になったといわれています。
「燕子花図屏風」とは?
国宝「燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)」は、江戸時代に活躍した画家、尾形光琳の代表作の1つ。大きな画面には金箔が押され、その中に「群青(ぐんじょう)」と「緑青(ろくしょう)」の2色の絵具だけを用いて「燕子花」の群生を描いたもの。縦151.2cm横358.8cmの6曲1双の作品です。国宝に指定され、根津美術館に所蔵されています。
また、『伊勢物語』第9段「東下り」に登場する「燕子花」の名所、「八つ橋」が背景となった作品であるとされています。
「いずれあやめか燕子花」とは?
「いずれあやめか燕子花」という慣用句があります。この言葉の意味を辞書で調べてみましょう。
あやめと燕子花は似ていて区別がつきにくいところから、どちらも優れていて優劣つけにくいこと。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
<例文>最終選考に残った2人は、いずれあやめか燕子花、どちらも優秀で甲乙つけがたい
最後に
日本人に古来より愛されている花、「燕子花」。初夏には鮮やかな青色や青紫、白の花を咲かせます。そんな姿を描いた「燕子花図屏風」はとても有名なので、知っている人も多いはず。作品は知っているけれど、作品名の読み方に自信がなかった方もいるのではないでしょうか。これを機に、作品について知識を深めるのもよいでしょう。
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