将棋で身につけたい「自分で考え、決断する力」
子供の習い事として年々増えている将棋。「分からないことがあるとすぐに人に聞いてしまう」「優柔不断でなかなか決められない」そんな悩みを解決するために、子供に将棋を習わせる親が増えているようです。また、子供自身が将棋好きで習い始めることも! そこで今回は、将棋を習うことで伸びる能力や家で楽しむ時に注意すべき点について、「ねこまど将棋教室」講師、公益社団法人日本将棋連盟公認将棋普及指導員の池田奈那子さんにお話しをうかがいました。
子供が夢中になる将棋の魅力とは!?
子供の習い事として近年、将棋が人気を高めている理由を教えてください。
「やはり藤井聡太五冠の存在が大きいと思っています。デビュー当時から藤井聡太五冠の活躍が各メディアに取り上げられることが多く、それによって将棋の知名度がアップしています。また、将棋に対しても知的であるとか、かっこいいとか、好印象をもつ方が増え、習い事としての人気も高めてくれていると感じています。
また弊社代表の北尾まどかがルール考案し、小学館より発売中の『新装版どうぶつしょうぎ』の影響も大きいと感じています。これは、将棋のルールを簡略化し小さな子供でも楽しめるようにしたゲームです。
各地の児童館や学童、保育園などにおいていただいていることが多く、『どうぶつしょうぎ』で遊んだことがあるお子さんがたくさんいます。『どうぶつしょうぎ』ができるようになると、将棋とも基本的なルール部分は共通ですので、本将棋にステップアップしやすい、というメリットがあります。
そういった影響もあってか最近は日本各地の小学校、学童や児童館で将棋がブームになっているようで、『お友だちがやっているから習いたい』『どうしても勝てない友だちがいるから習って強くなりたい』とお問合せいただくことも多いです。また、保護者の方からは将棋を通じて集中力やマナーを身につけてほしいというお話も聞きます」(池田さん 以下同)
運の要素は一切なし!負けた時の悔しさを味わうのも良い経験に
幼少期に将棋を習うことで、どのようなメリットがありますか?
「一般的に将棋を習うメリットということで語られるのは「先を読む力」、「集中力」、「決断力」が身につくという点です。そして、将棋には運の要素は一切ありませんから、負けた時は自分が決断して指した手に全て責任があるということになります。
ですので、将棋で負けた時は本当に悔しい思いを経験します。将棋を続けることでこの悔しさに耐える心の強さも身につくと思います。その分勝った時の喜びが大きいのも将棋の魅力です。将棋は日本の伝統文化でもありますから、対戦相手に敬意を払うことも大切。そういった礼儀作法が身につくというメリットもありますね」
「わからない」ことへ立ち向かう「粘り強さ」が身につくのも魅力
頭を使うゲームなので、学校の勉強にも役立つことはありそうですね。
「将棋は状況の判断などを頭の中でしながら相手の指し手も読んで対局しなければ勝利に結びつかないため、結果として集中力がつきます。これは学校の勉強にも役に立つと思います。
また、将棋は『どの手が正解かわからない』場面がほとんどですが、対局中に人に聞いたり、調べたりすることができません。そのためすべて自分の力で考える必要があります。わからないなりに一生懸命考え、かつ自分なりの答えを出すという過程を将棋で経験することで、『わからない』ことへ立ち向かう粘り強さと、決断力を養うことができます。これは学校の勉強だけでなく、精神面での成長にもつながるかと思っています」
将棋をはじめる目安は5歳ごろ
将棋の駒には漢字が書かれているので、小さい子供には難しいでしょうか?
「将棋を覚えるにはある程度理解力も必要ですので、目安としては5歳くらいからですね。ただし、お問い合わせをいただき4歳から通っている生徒さんもいます。先にご紹介した『どうぶつしょうぎ』は早ければ3歳くらいから遊べます」
親子で将棋を楽しむとき、気をつけるべきことはありますか?
「将棋をはじめたばかりのお子さんと対局する場合は、勝たせてあげてください。『勝てた』という気持ちが自信につながり、その成功体験が『またやりたい、次も頑張りたい』という原動力になるからです」
わからないことを人に聞いたり、調べたりすることも大切ですが、親としては自分で考える力も身につけてほしいもの。それをゲーム感覚で楽しみながら習得できるなんて、うれしいですよね。親子で対戦できるのも大きな魅力。家族のコミュニケーションツールとしても活躍してくれそうです!