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EDUCATION 教育現場より

2022.11.22

コロンビア大学生の母【ボーク重子】式・7つの自己肯定感UPスキルでお受験のお悩みを解決!【お受験ママの相談室vol.6 後編】

親にとって、最も大切な非認知能力は「自制心」

田口:7つのお悩みに対するアプローチ、全て深く納得しました。非認知能力は、どれも大切な力ですが、今回のお話の結論として、重子コーチが考える、親がお受験を取り組む際に最も重要だと思う非認知能力って何ですか?

ボーク:親にとって一番必要な非認知能力、それは「自制心」だと思います。よく聞かれるんです。「子供をやる気のある子にするにはどうしたらいいですか?」「自主性を育むにはどうしたらいいですか?」と。

私はいつも、「今自分がやっていることを、やめること」と、答えます。

『〜しなさい』『なんでできないの』と、“言わない”力。

それが自制心です。口を出さない、手助けしないで子供をただ見守る。すると、子供は自然とやりたいことやっていく。それが主体性です。子供は誰でも必ず自分で伸びていく力を持っています。ですから子供の力を信じて、どれだけ「自制して」自分がやめられるか。「何をやるか」ではなく、「やめる」ことの方が大事です。

田口:「見守る」と言うのは、子供を細やかによく見てはいるけど口は出さないという相反することを同時に行うものなので、言うは易しでなかなか高度な技ですよね。

ボーク:その通りですよね。塾では、母親たちによくこう言われますよね。

「応援してください」
「声かけしてください」
「見守ってください」
「お母さんが幸せでいてください」

これらは全て、言われて頭で理解できても、なかなか実行できることではありません。誰も母親を見守ってくれませんし、母親がうまくできなくても誰もケアをしてくれません。

でも、それをコーチングでできるようにすることができます。必ずしも合格だけにコミットするのではなく、親子関係を健康な状態に保ち、子供にとって安心安全な環境を作り、子供を最大限に応援できる環境を作ることができる。私のコーチングは、まさに塾や学校での学びを最大化するサプリメント的な存在と考えています。トレーニングで母親が変われば、必ず子供にも変化が現れます。

言ってはいけない、とされる言葉も、実は親が子を思う愛の気持ちから生まれていますよね。では、どうすればうまく伝えられるのか。それには、簡単なスキルを実践するだけでいいのです。人間の行動パターンは単なる癖なので、それを変えていくのです。

偏差値40?それの何が悪いのかしら?

ボーク:私は、地元から東京の大学に出てきました。元々親に上京を反対されていて、東京の大学に受かったことで許しが出て、晴れて上京できたので、自分としては夢が叶ってすごく嬉しかったんです。偏差値で自分の価値が決まるとは思ってもいませんでした。私にとっては「東京の大学に受かった!」ことが成功でしたから。

ですが、大学名で世間から下に見られる経験をしました。そこで初めて「私の価値そこなの?」と思って自信をなくしたのです。「私程度の人間は、そんな成功を夢見ちゃいけないんだ」とか「私ごときが大それたことを言ったらいけない」と思い込んだんですね。

そして、「どうせ私レベルではまともな就職ができない」と思ったので、結婚するしかない!と、20代はひたすら結婚相手を探しました。そしてやっと見つけたと思ったらフラれたんです。絶望しましたが、お金だけ貯まっていましたので、思い切ってイギリスへ留学し、留学先で今の夫に出会いました。

夫は当時から私のことを「君はやりたいことがあったらきっと何でもできるね」と言ってくれる人でした。そしてその後、夫と共にアメリカに渡ったら、そこでは学歴など全く関係なく、自分の可能性に限界をつけることなく生きている人たちが、たくさんいる世界でした。高校も出ていなかったり、コミュニティカレッジ出身だけれどものすごく活躍していたり、逆に親が二人とも弁護士だけど、自分は売れないアーティストをやっていたり、イエール大学を出ているけれどビデオショップ店員など。みなさん学歴や出自にとらわれることなく、自由に自分らしく輝いて生きていたのです!

「騙された!!」と思いましたね。「過去の自分はなんで単に偏差値とか、大学の名前だけで自分の能力を決めつけていたのか。もったいない、人生を棒に振っていた…」とショックを受けたのです。

そこから人生観が変わりました。その経験がなかったら、今の私はいません。偏差値は本当に一つの側面、評価軸の一つに過ぎないと肌身で実感したのです。すでにアメリカの学校や企業では、多角的な評価軸で学生を評価するのが一般的です。テストの点や運動能力だけではなく、共感力がある、土壇場で強い、想像力が豊か、など その子のあらゆる能力を見て評価します。多様な能力を取り入れた方が、企業も社会もうまくいくという考え方です。ですから、今の時代、子供を旧来の評価軸にはめて考えるのではなく、「あなたの強みってどれなのかな?」という目線で子供を見つめていくとよいのではないでしょうか。

人生のパッションを見つけるには、3日坊主も悪くない!

女性が笑顔で対談している

田口:では、最後にボークさんはいつも何より大切なのは「パッション」だとおっしゃっています。大人でも子供でも、心からやりたい!と思えることがある人生は幸せです。では、パッションはどうしたら見つかるのでしょうか?

ボーク:こればっかりは、やってみないとわからないですよね。私は、最初の仕事は秘書をやっていたのですが、秘書なんて全然向いてなかったです!(笑) だから、やってみて合わないとか失敗もOK!みなさん、最初からいきなり時間やお金などのリソースを大きく投資しちゃいがちなので、そうではなくて、まずは「3日坊主OK」という気持ちで、気軽にいろんなことをやってみるのが良いと思います。その中で「もうちょっとやってみたい」と思ったことを続けてみるんです。

コーチングもそうでした。私も、最初からコーチングをやろうと思ったわけではないんです。本当は本を出したいと思い、最初はいろんな出版社に営業をかけたんです。でもどこにも受けてもらえなくて。ある出版社で「どうしても出したいなら、ブログなら無料だから、やってみれば?」と言われて、そっか、じゃあブログやってみよう、と。そして書き始めたら、結構読者からの相談が来るようになったんです。

それでコーチングの教科書を一冊勉強してみよう、となりました。ですが私はデスクに向かう勉強が苦手。なので1日15分と決めて始めたら、これがなんと2年間も続いたんです。そこから本格的に周りのコーチングをやっている人の見よう見まねで仕事を始めました。そして、気がついたら今ここにいます。

ですから、皆さんも気になることにたくさん手をつけて、たくさん周り道をしてもいいので、粘り強く根気よく「これだ」、と思えるものを見つけてください。そうして自分で選んで、自分で決めたことは、きっとやる抜けるはずですよ!

––––––––ありがとうございました。明るいエネルギーを放っていらっしゃるボークさんとの会話で私もすっかり元気をいただきました。母親自身が自らの人生に向き合い、非認知能力を高め、パッションを持って生きることで、子供も確実に変わる。

今回は、子供の受験の悩みから、本質的な生き方の話までお聞きできました。ボークさんの言葉には、決して平坦ではない道のりを自分の足で乗り越え、望みを獲得したご経験からくる説得力と愛情、熱い想いが滲み出ます。記事を読んでいるみなさんにも、この輝くパッションが届き、伝播しますように。

教えてくれたのは…

ボーク重子さん

非認知能力育児のパイオニア Shigeko bork BYBS Coaching LLC代表。ICF会員ライフコーチ。米ワシントンDC在住。一人娘であるスカイは2017年「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝し、多くのメディアで取り上げられた。現在はコーチングや講演会、オンラインコミュニティなどで活躍。著書「人生100年ずっと幸せの最強ルール パッションの見つけ方」「非認知能力の育て方」(小学館)など多数。

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Interview& Writing

田口まさ美

<教育エディター>
小学館で教育・ファッション・ビューティ関連の編集に20年以上携わり独立。現在Creative director、Brand producerとして活躍する傍ら教育編集者として本連載を担う。私立中学校に通う一人娘の母。Starflower inc.代表。▶︎Instagram: @masami_taguchi_edu

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