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EDUCATION 教育現場より

2022.10.17

お受験全勝ママに聞く〝小学校受験を成功に導く母の心得〟5か条【お受験ママの相談室 vol.4 後編】

今回のVol.4後編では、前編に引き続き、長男は、英国「ドラゴン・スクール・オックスフォード」のボーディングスクールに8歳〜11歳半、次女はロンドン市内の幼稚園・小学校に2歳〜5歳半まで通い、現在は二人とも日本の私立小学校に通学中、イギリスと日本の両国での名門私立小学校受験を経験され、全て第一志望に合格されたMAYAさんに“小学校受験を成功に導く母の心得”について聞きました!

Text:
田口まさ美
Tags:

第4回〈後編〉:小学校受験の沼にハマるのは、母親のある心理が原因

<お話を伺った方>
経営者・オンラインコミュニティ「Bon Voyage」主宰 MAYAさん

聞き手:田口まさ美

 

インタビューを受ける女性

▶︎〈前編〉英国オックスフォードの名門小学校から、日本の私立小学校を選んだ理由 
▶︎〈後編〉お受験全勝ママに聞く〝小学校受験を成功に導く母の心得〟5か条 ← この記事

——これまでこの連載では、小学校受験をするか・しないか、迷っているお母様向けにあらゆる角度から“お受験”について見つめてきましたが、今回は、“受験をする”と決意されたお母様のために、その決意に必要な心構えを、インスタでも子育てネタが大人気のMAYAさんにお聞きします。長男の幼稚園受験、小学校受験、長女の幼稚園受験、小学校受験、海外での受験も4回。その全てを第一志望の名門校へ合格させたMAYAさんに、受験に成功するための心構え、ズバリ「5箇条」をお伺させてください!

MAYA:小学校受験は、付属学校であれば子供が大学卒業までの16年間をそこで過ごしたいかどうかを見極める大きな選択となりますよね。私立小学校といえば、キラキラした世界に見えて、憧れもあるかもしれません。きれいな校舎、縦にも横にも繋がれるコミュニティ、“ブランド力“のある学校名…など親から見た魅力的な要素もたくさんあります。ですがそれは、同時に関東(東京)を中心に、中部・関西・のごく一部のみに繰り広げられる特殊かつ極めて狭い世界であり、11月の受験日までの道のりは想像以上に過酷です。

「私だけは大丈夫!」と思っていても、最愛の子のためと目の色が変わり、他人を羨み、我が子を責め立て、夫婦喧嘩が始まるのがデフォルトです。実際にそんな母親たちを目にしたことがありますし、私自身も何度か冷静さを失いかけました。

なぜって、それは母親にとって「自分の子供が誰よりも可愛くて、輝いていて、選ばれて当然だと思っている」からです。ですが、相手は子供。実際には親の計画通りにはいきません。それが受験の難しいところです。だからこそ、お受験は「冷静な分析力」が大事だと思うのです。私は公立出身で、学校に対していわゆる縁故があるわけではありません。それでも二人の子供たちの受験、全てに第一志望からご縁をいただけました。その経験から私なりに導き出した、5つの心得をお伝えしたいと思います。

お受験を成功に導く心得は、この5つ!

1つ.一匹狼のススメ
〜ママ友と群れずに、ノイズを断ち切れ〜

受験に取り組むとなると、まず膨大な情報収集が始まります。そこで必ず耳に入ってくるのが「噂話」、「〜らしい」という話。小学校受験の情報は、そのマーケットの小ささゆえ、公にされていません。ですから頼りは、ネット上の掲示板、受験生の親同士の情報交換、インスタ上の情報などに偏ってしまいがちです。ですが、それらは根拠のない情報に溢れています。

・A校には、緑のチェックのスーツで行った方がいいらしい。
・B校の試験には、みんな“おさげ”で行くらしい。
・C校の早生まれには絵画しか試験が出ないらしい。
・あの家のお父様は、D校出身らしい。
・あの子は鉛筆を落としたから、不合格になったらしい。
・今年は例年より受験者が多いので、難しいらしい。
・待ち時間に親が読んでいる本は、その学校に関連したものがいいらしい。

言い出せばキリがないほど、お受験に取り組み始めると、「本当なの?」というたくさんの噂話を耳にすることでしょう。それらは全て親たちの焦りや苛立ち、不安を煽るだけのノイズです。全てをまともに受け取っていたら、誰でもメンタルが弱ってしまいます。

そうならず、最後まで笑顔で乗り切るためには、ノイズはノイズとして綺麗に心から排除し「私は聞かないぞ!」と、その噂話の輪からスッと抜けることです。

私は、最終的に全てのノイズを絶ちました。聞く必要のないLINEには既読スルー、ママ友の集まりには顔を出さず“変人”を演じました(笑)。嫌われる必要はありませんが、無駄な時間を費やす必要もありません。その時間に代わりにできることが、たくさんあります。ですから、この時期ばかりは、一匹オオカミを演じてみても悪くないと思うのです。

それよりも、実際に説明会に足を運び、在校生の親から話を聞き、お教室の先生や幼稚園の先生に質問し、ネット上なら情報の確かそうな老舗お教室のサイトを選んで見るなど、なるべくネットに頼らず、自分自身の目で、耳で、情報源の確かな知識を得るべく、現実的に行動することを強くお勧めします。

2つ. 願書添削は、ラブレターと心得よ 
〜添削するのは、誤字脱字だけ〜

年長さんの夏頃には願書の準備が始まります。大手のお教室なら、志望校の過去の雛形のコピーをとってくれるはずです。願書はとても大切です。ですが、これがまた苦行のように、書いても書いてもダメ出しされて自信喪失…ということもよくあることです。

確かにこの作業、ほとんど苦行なのですが(笑)。それでも、私は夫婦で真夜中まで向き合い、子供の長所、短所、遠い未来、どんな小学生に育ってほしいのか、本当にこの学校が合うのかなどをたくさん話すことができて、長男の願書が出来上がった時には爽快な気分にすらなりました。

お教室には、必ずと言っていいほど願書添削の有料サービスを提示されます。その額は数万円にも。ですが、この添削、例えば教室を3つ掛け持ちしていれば、その3つとも全く違う形に直されるのが現実です。つまりそれは、添削する先生の主観だということです。

ですから、願書添削は参考にしつつも、言われた通りに直す必要は無いと思います。結局、夫婦でしっかりと話し合い自信を持てた願書であれば、それが一番。願書で嘘をついたり、取り繕っても意味がありません。

父親が書くか、母親が書くかで言えば、一般的には父親が書くのが主流かと思います。父親が書いた方が育児に参加している感が出るからです。気になる“自由記入欄”には、面接でアピールしたい話のネタになるような内容を、できるだけ散りばめましょう。

あらゆる願書の基本ですが、「第一志望アピール」は大切です。学校側の気持ちになればわかることですよね。全ての記入欄の内容が、「だから、うちの子は御校に合います」「だから、御校が大好きなのです」と繋がるように筋を通して書きましょう。願書は、学校へのラブレターですから。

もちろん誤字脱字、訂正線と訂正印、小さすぎる字、ギャル文字、読みにくい字、は全てNGです。読む人の気持ちになって、読みたくなる願書を心がけましょう。自分たちの思いを丁寧に綴れば、その想いはきっと伝わると思います。

教育について女性が二人で対談している

3つ. 「不幸な合格」を見極めよ
〜その合格、見栄や嘘で手に入れるものではありません〜

小学校受験に偏差値は存在しません。これは中学受験とは大きく異なるところです。偏差値表の上から制覇するぞ〜!というような考え方は、少なくとも小学校受験ではやめた方が良いでしょう。小学校は、学校と家庭の連携を強く求められる環境。つまり小学校受験は、学校の理念と子供(ご家庭)との「ご縁・相性・適正」の世界です。筆記試験の結果だけで合否が決まるわけではありません。

小学校受験は、ある意味「絶対評価」です。ペーパー重視の学校でも、ペーパーのミスを補うだけのその子の魅力があれば挽回のチャンスがあるのです。小学校・中学校・高校・そして大学までと長い年月をと共にする者同士のご縁を繋ぐものですから、受験者も学校側も相思相愛で結ばれるのが幸せなのです。

もしも、我が子が、ご家庭で話し合って「ここがいい!」と決めた第一志望の学校より、難易度の高いとされる(知名度の高い・倍率の高い)学校に受かってしまった時。

あなたならどうしますか? 

私なら、間違いなく最初に決めた学校へ行くべきだとアドバイスします。「難易度が高い学校が良い学校」という考え方では、長い目で見て子供が幸せな合格にならないと思うのです。学校の選ぶ目もありますが、まずは親の責任でしっかりと見極め、最愛の我が子を、“名門校に合格した不幸な子”にしない、という強い信念を持ってください。

4つ. 舵取りは、母親の手に
〜子供は親のために受験する〜

お教室にも通い始め、年長にもなると週に4〜5日ペースで受験準備をすることになります。母親も大変ですが、それ以上にたった5、6歳の子供の気持ちになると、それはもう残酷なことです!毎日好きなことはやれず、ペーパーや運動や絵画やらをやらされ、お母さんは鬼になって毎日ピリピリ。そんな中で、どうやって子供のモチベーションをキープし、二人三脚でゴールを目指せばよいのでしょうか。

受験は大切なことだ、お勉強できるのは有り難いことだ、あの学校は素敵だ、この学校が合っている… そんなことは結局のところ5、6歳の子供にはよくわからないのだと思います。よくわからないので、親が選んだ学校に入ろうと精一杯頑張るのです。本当は、泥団子を作ったり、ゲームしたり、ぼんやりしていたいのだけど、それでも毎日言われたことに従い、努力するのはなぜでしょうか?

それは、紛れもなく“お母さんのため”です。

子供は、大好きな母親を喜ばせたくて頑張るのです。だから受験するのです。お母さんのため以上の動機なんて子供にはありません。“お母さん”が、この年齢の子供にとっての全世界なのですから。お母さんの笑顔が見たくて、お母さんに怒られるのが嫌なのです。ですから時々言ってあげてください。「ママと一緒に頑張ろう!」と。

そして、うまくできなくても子供が頑張ったことを心からの笑顔で褒めてあげてください。子供にとって、お母さんの笑顔に勝るご褒美はありません。また、ひとつ覚えていていただきたいこと。それは子供は自分とは違うということです。別の人格ですから、自分と同じように考えたり、感じたり、動いたりはできませんし、得手不得手も違います。

“小学校受験は、親の受験”というのは、8割がた言い得ているでしょう。でも、残りの2割は、子供の伸びです。最愛の存在である我が子の長所を伸ばし、短所を認め、上手に伸ばしていくことです。すると、その子はすごいパワーを発揮するのです。

そのためには、自分と切り離して冷静な目で子供の進む方向性を見定め、客観的な視点から舵取りをすることも重要なポイントではないでしょうか。自分と一体化してしまっていては、上手に子供の特性を認め、伸ばすことができません。

何にせよ人生がここで決まるわけではありません。イライラしてしまったり、焦っている時は、深呼吸をして、これらのことを思い出してください。「舵を取っているのは自分、自分のために頑張ってくれている子供、そして、子供と自分は違う存在」。

教育について語る女性

5つ. 博士を育てよう 
〜好きなことをキラキラした目で語れる子に〜

合格を目指すとき、最終的には原点に帰り「小学校の先生が、どういう子供に合格の2文字をあげたいのか?」を、親が自分の頭で考えて行動すべきだと思います。学校側が、果たして本当に何もかもを仕込まれて調教された笑顔のない子を欲しいのかどうか…。

私が学長だったら、自分の好きなことに目をキラキラさせる子が欲しいと思います。博士のように、他の子に負けない好きなことや詳しいことがあるような子です。

運動会のかけっこで1位を取ることは、よほど運動神経に恵まれないと難しいですよね。でも何か一つ、誰にも負けない自分しか知らないような知識をつけることは、今日からでもできると思うのです。

例えば、ポケモンのある1つのキャラにすっごく詳しくて目が輝いている子、それも素敵ですよね。大人の目から見て立派なことである必要はありません。何であっても、子供の方が知識が多いことを私はリスペクトします。

例えば、絵を描くことが好きなうちの娘なら、「青い色のオタク」で、青い色の名前をたくさん言えるんです。ロイヤルブルー、ロシアンブルー、エメラルドブルー。彼女の目には、たくさんの青色が見えている。それらを「すごいね!私が学びたい!ママも習う!」というマインドで育ててきました。娘が帰り道にカエルに興味を示していたら、一緒にしゃがんで眺める、生まれた時からそんな感じで子供の興味関心を大切にしてきたのです。

絵を描く子供

好きなものは、特別なものでも、たくさんある必要もなく、何でもいいのでカッコつけず何か一つ発見すればいいと思います。他の子と同じでなく、マニアックであればあるほど面白くないですか? 小学校受験のためにと色々と仕込む必要はなくて、子供の子供らしさを楽しく伸ばしたほうが、ずっと有効で子供も自分も楽しいと思うのです。

うちの息子は、面接で「お母さんの作った料理で何が好き?」と聞かれて「まあ、、パスタ系?」と答えて面接官の笑いを誘っていました。それでも通過しましたので、意図的に「筑前煮です!」などと、答えさせる必要って本当にあるのかな?と思います。少し笑いが起こるくらい子供らしさがある子の方が、面接官にも魅力的に映るのではないでしょうか。

——ありがとうございました。MAYAさんのおっしゃるように過剰な準備をするよりも、大切なこと、本質的なことを見失わないことが、結局は合格への近道なのかもしれません。

女性が笑顔で並んで座っている

「この子はどういう子で、どういうふうに育てたら伸びるだろうか」「何が、この子の目を輝かせられるだろうか」それらを見つけられたのは、MAYAさんの「親としての力」だと思います。舵取りの責任者として、この過酷なお受験という航海を成功させるには、感情やノイズに流されることなく、我が子に何が向いているか、どんな学校であれば幸せに伸びていけるのかを、客観的に観察し、冷静に分析し、戦略的に指揮していくことが必要、というお話でした。

そういう意味で、お受験はやはり親の受験、「親の考える力」が試されていると言えるのかもしれません。我が子可愛さゆえの盲目を排除しつつ、一方で子供と同じ目線で喜んだり、楽しんだりもしていく。この双方のバランス感覚を保つのは、なかなか容易ではありませんが、まさに“子育ては親育て”のマインドで、歩んでいきたいものですね。

〈前編〉英国オックスフォードの名門小学校から、日本の私立小学校を選んだ理由」に続き、今回は受験本番直前シーズンということで、お受験のリアルに突っ込んでみました!

ご参考ください。

教えてくれたのは…

MAYAさん

経営者・投資家・二児の母。 国際的な文学一家に生まれ、14歳で英国、15歳〜カナダに留学。ブリティッシュコロンビア大学で、数学や計量経済学を学ぶ。外資系投資銀行のトレーダーとしてキャリアを積んだのち、2人の子供を出産し、2016年から3年間渡英。息子は8歳〜11歳までオックスフォードの名門校で寮生活、娘は6歳にして世界的絵画コンクールで最優秀賞を受賞。現在は東京在住、起業・マーケティング会社経営の他、インスタグラムも大人気。(Instagram▶︎@mayamaya411)noteのお受験記事の執筆・講演活動に続き、2022年秋より自らが主宰するオンラインコミュニティ「Bon Voyage」もスタート。

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Interview& Writing

田口まさ美

<教育エディター>
小学館で教育・ファッション・ビューティ関連の編集に20年以上携わり独立。現在Creative director、Brand producerとして活躍する傍ら教育編集者として本連載を担う。私立中学校に通う一人娘の母。Starflower inc.代表。▶︎Instagram: @masami_taguchi_edu


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