■「お伺いします」などの誤用表現に注意
以下の3つは、伺いますのよくある誤用表現です。
・お伺いします
・お伺いいたします
・お伺いさせていただきます
上記はすべて二重敬語にあたります。たとえば“お伺いします”は、謙譲語の「伺う」に謙譲表現の「お〜します」が組み合わさっています。
同様に、“お伺いいたします”は「伺う」と「いたす」の二重敬語、“お伺いさせていただきます”は「伺う」と「させていただく」の二重敬語です。二重敬語は慣習的に用いられるケースもありますが、厳密には誤りのため使わないほうが無難といえるでしょう。
なお、伺いますと混同されやすい表現として、「窺う(うかがう)」が挙げられます。どちらも読み方は同じですが、窺うには聞く・尋ねる・訪れるという意味はありません。
窺うは、「機会を窺う」「顔色を窺う」のように密かに探るといった意味を持つ言葉です。伺うとは別の動詞であると理解し、きちんと使い分けることが大切です。
「伺います」の類語・言い換え表現3つ
伺いますには類語や言い換え表現がいくつかあります。ここでは、主な3つの表現をご紹介します。
1.お聞きする
2.お尋ねする
3.拝聴する
1.お聞きする
お聞きするは、伺いますの類語のひとつです。「聞く」に敬意を表す「お」をつけた謙譲語のため、自分を下げて相手を立てる際に使えます。実際の会話では、「お聞きします」「お聞きしたいのですが」といった形で使うケースが多いです。
ただし、伺いますに比べてカジュアルな印象を与えやすい点には注意が必要です。日頃から接する機会の多い先輩などには使えますが、社外の人などには使用を控えるほうがいいでしょう。
お聞きするの具体的な使い方は、以下の例文を参考にしてみてください。
・〇〇さんが異動されるとお聞きしました。
・ご意見をお聞きしたいのですが、少しだけお時間をいただけますか。
・新規プロジェクトについてお話をお聞きしてもよろしいでしょうか。
2.お尋ねする
お尋ねするは、「尋ねる」に敬意を示す「お」をつけた謙譲語です。相手に何か質問したいことがある場合に、自分自身がへりくだることで敬意を込められます。
ただし、お聞きすると同様に、お尋ねするもカジュアルなニュアンスが強い表現です。社内で使う分には問題ないといえますが、社外の人には伺いますを使用するほうが無難です。
お尋ねするを使う際の参考として、例文をいくつかご紹介します。
・今後の方針について、ご意見をお尋ねしてもよろしいでしょうか。
・先日お尋ねした件に関して、ご進捗はいかがでしょうか。
3.拝聴する
聞くの謙譲語である拝聴するも、伺いますと同じように使える表現です。「拝」は頭を下げて礼をすることや、ありがたく受け取ることを意味します。相手に対する感謝の気持ちを込めたいときは、伺いますではなく拝聴するを使うといいでしょう。
拝聴するを使う際は、以下の例文を参考にしてみてください。
・貴重な講演を拝聴できましたこと、感謝しております。
・有名なオーケストラの演奏を拝聴することができ、とても感激した。
・ご高説を拝聴したく存じます。
「伺います」の使い方&誤用表現を覚えておこう
伺いますは、聞く・尋ねる・訪れるをへりくだって伝える際に使える謙譲語です。主にビジネスシーンで使われるほか、日常会話においても目上の人に対する表現として用いられます。
伺いますを使う際は、お伺いしますやお伺いさせていただきますなどの二重敬語を使わないように注意が必要です。伺いますの正しい使い方や誤用表現を理解し、適切な場面で使ってみてください。
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