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【目次】
ねずみの絵本が人気な理由とは?
ストーリーの中に、ねずみのキャラクターが登場する絵本は数多く存在します。子供向けの絵本でねずみが人気を誇る理由として、どんなものが考えられるでしょうか。
小さなねずみの挑戦を応援したくなる
ねずみは、人間と比べて非常に小さな動物です。絵本を通して、ねずみ視点になって世界を見てみると、普段よく見ているものがより大きく感じられます。ねずみの視点で物語が進んでいるからこそ、イラストのスケールが大きくなると、それぞれのシーンが壮大に感じられることも。
小さな姿だからこそ、ページの中でねずみが何かに挑戦したり苦労したりする姿が、よりドラマチックなことのように見えてくることはありませんか。絵本を読んでいる子供も、小さなねずみが頑張る姿をつい応援したくなってしまうはず。
愛らしく親しみやすいところもポイント
ねずみが登場する絵本は、日本国内に限らず、海外の作品にもよく見られます。生活の中でねずみを実際に目にする機会はなかなかなくとも、比較的身近な動物であるのも理由のひとつといえそうです。
多くの子供にとってねずみは、小さくかわいらしい動物でもあります。大きな耳とつぶらな瞳が印象的なねずみは、小動物ならではのかわいさが。
おなじみのミッキーマウスなど、ねずみをモチーフとした有名キャラクターも数多く存在します。ねずみは世界中で知られている動物なので、イラストにしても親しみやすさを感じやすいからだと考えられます。
ねずみが出てくるロングセラーの絵本
ロングセラーの絵本は、大人にとっても懐かしさを感じられるものです。古くから愛されている、ねずみのキャラクターが登場する作品を紹介します。
「ねずみくんのチョッキ」なかえよしを/上野紀子
ねずみくんがお母さんに編んでもらった赤いチョッキを、さまざまな動物たちが着ていくというストーリー。ほかの動物が試しに着ているうちに、チョッキはどんどん大きく伸びてしまいます。
大きなページに、ぽつんと描かれた小さなねずみくんと、動物たちとの楽しいやりとりも魅力を感じる作品です。大切なチョッキが着られなくなってしまった後の、意外な展開にも驚かされます。
続編となる「ねずみくん」シリーズも数多く刊行されているので、子供が気に入ったら何冊か集めてみるのもおすすめです。対象年齢は3~5歳とされています。
商品名:「ねずみくんのチョッキ」作:なかえよしを 絵:上野紀子/ポプラ社
「14ひきのあさごはん」いわむらかずお
14匹で暮らすねずみの大家族が、起床してから朝ごはんを囲むまでを描いた絵本。森に暮らすねずみたちが、まきを割ったりパンを焼いたりと、役割分担しながら家事をこなす姿が描かれています。
野いちごをつみに行ったり、どんぐりの粉でパンをつくったりと、おいしそうな食べものが出てくるのも特徴。美しい自然の風景と仲のよい家族が、ほのぼのとしたタッチで表現されています。
家族全員がテーブルを囲んで食べる、にぎやかで微笑ましい食卓が子供に人気です。『14ひきのひっこし』と同時に刊行されており、ほかにも作品が多数登場しているおなじみのシリーズです。
商品名:「14ひきのあさごはん」いわむらかずお/童心社
「ねずみのすもう」神沢利子/赤羽末吉
『ねずみのすもう』は、古くから語り継がれてきた昔話をモチーフにしています。貧しいおじいさんの家に住んでいるねずみは、やせているので、太ったねずみとの相撲に負けてばかりです。
その姿を気の毒に思ったおじいさんが、ねずみのためにおいしいお餅をつくって応援します。どちらが勝つのかどきどきしながら、次々とページをめくりたくなるストーリーが印象的な絵本です。
シンプルな線と、はっきりした色合いで描かれた、独特なタッチのイラストも子供の興味を引きつけます。対象年齢は4歳からと比較的高めなので、親子で物語について話しながら楽しむ、読み聞かせ用の絵本としてもぴったりです。
商品名:「ねずみのすもう」文:神沢利子 絵:赤羽末吉/偕成社
「ねむいねむいねずみ」佐々木マキ
旅を続けてすっかり眠くなったねずみが、1軒の家を見つけて眠りにつこうとするストーリーです。歩き疲れたねずみがベッドに入って眠ろうとすると、突然家の中の家具たちが踊り始めます。
次々と不思議な出来事が起こる中で、それでも一生懸命に眠ろうとするねずみの姿に思わず笑ってしまいます。コミカルな内容なので、子供の反応を見ながら、抑揚をつけて読み聞かせを盛り上げるのがおすすめです。
全32ページのため、読みごたえのある絵本を探している人にも適しています。まぶたが半分閉じかけた、眠そうなねずみの表情もユーモラスです。
商品名:「ねむいねむいねずみ」佐々木マキ/PHP研究所
ねずみが出てくる海外作家の絵本
国内の作品はもちろん、海外の絵本にもねずみのキャラクターはよく登場しています。独特な色使いも美しい、海外の作品を紹介します。
「番ねずみのヤカちゃん」リチャード・ウィルバー
アメリカの詩人でもあるリチャード・ウィルバー氏が手がけた絵本で、文章の美しい響きを感じられます。家主の人間に気づかれないよう、静かに暮らしていたねずみの家族が主人公です。
末っ子のヤカちゃんは声が大きく、ねずみの一家が住人のドドさんに見つかるきっかけになってしまいます。ドドさんがねずみたちを捕まえようとしていると、ある日、家に泥棒が入るというストーリー展開です。
読み聞かせをするなら4歳頃から、子供がひとりで読むなら小学校低学年頃からが適しています。ねずみと人間の関係がユーモラスに描かれており、ハラハラしながら読める楽しい絵本です。
商品名:「番ねずみのヤカちゃん」作:リチャード・ウィルバー 訳:松岡 享子 絵:大社 玲子/福音館書店
「フレデリック ちょっと かわった のねずみの はなし」レオ・レオニ
『スイミー』と同じく、レオ・レオニ氏の作品を谷川俊太郎氏が訳した絵本です。野ねずみたちが厳しい冬に備えて食べものを貯め込んでいる中で、1匹だけ何もせずにいる、ねずみのフレデリックが主人公です。
冬が来て食べものがなくなってしまい、寒さに凍えている仲間たちの中で、フレデリックは立ち上がり話し出します。何もしていないように見えたフレデリックは、冬のために光や色、そして言葉を集めていたのです。
シンプルなストーリーから、芸術の持つ力や「周りとは違う考え方があってもいい」というメッセージが伝わってきます。どこかユニークで親しみやすい絵柄も、絵本に集中できるポイントです。
商品名:「フレデリック ちょっと かわった のねずみの はなし」レオ・レオニ 訳:谷川俊太郎/好学社
「リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険」トーベン・クールマン
ドイツ生まれのイラストレーター・絵本作家であるトーベン・クールマン氏の作品です。写実的なタッチが特徴で、舟が集まる港町の風景や、光沢のある飛行機の質感が細部まで描き込まれています。
読書が好きな子ねずみが、仲間が罠にかかったのを知って安全な地を目指そうとするストーリー。本から得た知識で飛行機をつくったねずみは、自由を求めてアメリカ・ニューヨークへと飛び立ちます。
ねずみと飛行機という意外な取り合わせで、スケールの大きな冒険が繰り広げられるのが魅力です。壮大なストーリーを楽しめるのはもちろん、乗りものが好きな子供にも喜ばれます。
商品名:「リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険」作:トーベン・クールマン 訳:金原瑞人/ブロンズ新社
ねずみモチーフの人気キャラクターが出てくる絵本
ねずみをモチーフにしたキャラクターは多岐にわたります。子供に人気のある、かわいらしいキャラクターが出てくる絵本を紹介します。
「ぐりとぐら」なかがわりえこ/おおむらゆりこ
野ねずみのぐりとぐらが、森の中で見つけた大きな卵で料理をつくる人気の絵本。読んだことがあるという人も多いのではないでしょうか。食べることと料理が大好きな2匹は、さまざまな卵料理を考えた末にカステラをつくろうと決めます。
自分たちの体よりも大きなフライパンいっぱいに黄色いカステラをつくっていると、動物たちがにおいにつられて集まってきます。焼きたてほかほかのカステラを見ているうちに、おなかが空いてくること間違いなし。
カステラを分け合って食べるシーンは「おいしそうだね」などと共感しながら読み聞かせをするのがおすすめです。読み聞かせの対象年齢は3歳頃から、小学校低学年頃からはひとり読み用の絵本としても楽しめます。
商品名:「ぐりとぐら」作:なかがわりえこ 絵:おおむらゆりこ/福音館書店
「ピカチュウと はじめてのともだち」まつおりかこ
年代問わず人気のポケットモンスターのキャラクターが登場する絵本。たくさんのポケモンが暮らしている「もんぽけじま」を舞台に、やわらかいタッチで描かれた作品です。
ピカチュウが旅の途中で見つけた島で、初めての友達を見つけるというストーリー。ゲームやアニメで描かれるポケモンとは一味違った、優しい雰囲気の絵柄になっています。
背景にもたくさんのポケモンたちが描かれているため、探し絵感覚で繰り返し読めるのもうれしいポイント。「モンポケえほんシリーズ」として続編も刊行されているので、ポケモン好きならシリーズでそろえても。
商品名:「ピカチュウと はじめてのともだち」まつおりかこ/小学館
ほかの動物も出てくる!ねずみの絵本
ねずみが出てくる絵本の中には、もちろんねずみだけではなく、たくさんの動物たちが登場する話も少なくありません。動物が好きな子供にぴったりのにぎやかな作品を紹介します。
「ねことねずみ」いもとようこ
ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞した経歴を持つ、いもとようこ氏が手がけた昔話です。心優しいおじいさん・おばあさんと一緒に暮らしていた猫は、ある日ねずみが豆を盗もうとしているのを見つけます。
猫に捕まえられたねずみは、病気の母親のために豆を盗もうとしていたのです。母親が元気になったら食べられに戻って来るというねずみは、今は逃がしてくれと猫にお願いをします。
それぞれに事情を抱えている猫とねずみの、心温まる交流が描かれているのが特徴です。思わずほっこりした気持ちになるストーリーなので、寝る前の読み聞かせ絵本にも向いています。
商品名:「ねことねずみ」いもとようこ/金の星社
「おおきなかぶ」A.トルストイ
「うんとこしょ どっこいしょ」というフレーズでも有名な、ロシアに伝わる昔話をもとにした絵本です。教科書にも掲載されている物語なので、大人にとってもなじみ深く、気持ちをこめて読み聞かせしやすい作品ではないでしょうか。
おじいさんとおばあさんは大きなかぶを抜こうとするものの、なかなか抜けず、動物たちに手伝ってもらいます。おなじみのストーリーの中で、登場人物がどんどん増えていく様子が、初めて読み聞かせしてもらった子供の興味を引きます。
リズミカルな文章と、見開きのページを大胆に使ったイラストが個性的な絵本です。読み聞かせの対象年齢は3歳頃から、ひとり読みの絵本としては小学校低学年からとなっています。
商品名:「おおきなかぶ」ロシア民話 再話:A.トルストイ 訳:内田莉莎子 画:佐藤忠良/福音館書店
「おおかみのおなかのなかで」マック・バーネット/ジョン・クラッセン
アメリカの児童書作家であるマック・バーネット氏が、イラスト担当のジョン・クラッセン氏とコンビを組んで発表した作品です。主人公のねずみがオオカミに食べられるところから始まる、ユニークな内容になっています。
オオカミのおなかの中には、先に食べられたアヒルが住んでいたのです。ねずみとあひるがのんびりと暮らしていると、オオカミにピンチが訪れるというストーリー展開です。
オオカミのおなかの中には、なぜかベッドがあったり、あひるがゆったり暮らしていたりと、予想がつかないストーリーを楽しめる作品。対象年齢は5歳頃からです。
商品名:「おおかみのおなかのなかで」文:マック・バーネット 絵:ジョン・クラッセン 訳:なかがわちひろ/徳間書店
「5ひきのすてきなねずみ おんがくかいのよる」たしろちさと
満月の夜にすてきな音楽を聞いた5匹のねずみたちは、音楽が聞こえる方へと歩き出していきます。やがて月光の下で歌うかえるたちを見つけ、その歌声に感激して音楽会を開こうとするストーリーです。
さまざまな材料を集めて楽器を手づくりしようと試み、一生懸命に音楽を楽しもうとするねずみたちの姿に引き込まれて、どんどんページをめくりたくなります。
楽器をつくったねずみたちは、最後はかえるたちと一緒に音楽会を開きます。音楽で周りの人とつながることの素晴らしさが、大人っぽい絵柄で表現されており、親子で楽しめる作品です。対象年齢は4~5歳頃からとされています。
商品名:「5ひきのすてきなねずみ おんがくかいのよる」たしろちさと/ほるぷ出版
ねずみが出てくるイソップ童話の絵本
世界的にポピュラーなイソップ童話の中にも、ねずみが出てくる物語があります。読みながら教訓も得られるイソップ童話の絵本を紹介します。
「いなかのネズミとまちのネズミ」蜂飼耳/今井彩乃
『いなかのネズミとまちのネズミ』は、住む場所が異なる2匹のねずみが登場する物語です。田舎に暮らすねずみが、大きな町のねずみを招待して木の実をごちそうしますが、あまり喜んでもらえません。
反対に、町へと招待された田舎のねずみは、見たこともないごちそうの数々に驚きます。しかし、いざ2匹がごちそうを食べようとすると思わぬ邪魔が入るというストーリーです。
都会と田舎の両方によいところと悪いところがあり、何をよいと思うかは人によって違うという教訓が描かれています。詩人の蜂飼耳氏が文章を手がけた、美しい表現が楽しめる新感覚のイソップ絵本です。
商品名:「いなかのネズミとまちのネズミ」作:蜂飼耳 絵:今井彩乃/岩崎書店
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