結婚退職の報告
人生の節目となる結婚ですが、仕事との関係に悩むという事はありませんか? 仕事をこのまま続けるべきか、やめるべきか迷っているという方も、いらっしゃるかもしれませんね。
また、結婚を機に会社を辞めることになったものの、なかなか言い出しにくいということも、あるのではないでしょうか? そこでこの記事では、結婚退職の際の留意点や、言い出しにくい時の対処法などを解説します。
本当に退職すべき?
結婚を機に退職を考える際、多くの方が悩むのは、「本当に退職するべきかどうか」ということではないでしょうか? ひと昔前だったら、女性の場合、「結婚したら寿退社」が当たり前だった職場も多かったでしょう。ですが、最近では、必ずしも結婚したからといって、仕事を辞める人ばかりではありませんよね。選択肢が増えた分、悩みも増えたと言えるかもしれません。
まず、気を付けたいのは、結婚が決まった際、勢いで会社に退職を申し出てしまうこと。ですが、本人は退職する気だったとしても、配偶者が仕事を続けてほしいと望むケースも。夫婦間での話し合いもしっかりすることが必要でしょう。
また、結婚して退職後、再就職をしない場合、厚生年金から国民年金に切り替わったことで、将来もらえる年金額が少なくなってしまいます。その他、生涯年収にも大きく差が出てしまいますよね。自分の人生や、キャリアにも大きく関わることですので、冷静に「本当に退職するべきかどうか」を考えてから、会社に相談した方が良いでしょう。
なお、最近では少なくなったかもしれませんが、結婚した女性社員に対して、会社を辞める前提で話を進めてしまう上司もいるようですね。そのため、結婚の報告の際、仕事を続けたい、もしくは退職したいと言う申し出を、同時にすると良いでしょう。
ちなみに、男女雇用機会均等法では、結婚を理由として、会社が退職を勧めることは禁止されています。「結婚したら辞めてもらう」などと会社から言われた時に、従う必要はないということも、おさえておきたいですね。
言い出せない時は?
冷静に考えた結果、退職を決意する人もいるでしょう。この時、「なかなか職場に言い出せない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか? ここからは、会社に退職することを言い出しにくい時の対処法を見ていきましょう。
1:考え方を切り替える
忙しい職場では、同僚に迷惑をかけてしまう罪悪感から、なかなか言い出せないと言う人もいらっしゃることでしょう。ですが、早めに言わない方が、迷惑をかけてしまう可能性大。というのも、退職予定者がいる職場では、業務の引き継ぎに加え、新しい人を採用することがほとんどだからです。
また、退職にあたり、社会保険や住民税の手続きなど、会社側が色々と準備をする必要も出てきますよね。ですので、期間にゆとりを持っておくに越したことはありません。「早めに言った方が職場のためになる」と考え、少なくとも3か月程度前には伝えておくようにしましょう。
2:忙しい上司には、まずメールで打診
退職の相談は、通常は直属の上司に直接することがほとんどです。ですが、上司がいつも忙しそうで、なかなか話しかけにくいということもありますよね。いきなり声をかけるのは気が引ける場合、メールやチャットで、「お伝えしたいことがあり、お時間をどこかでいただけますか?」などと打診しておくのも手。
上司からしても、忙しい時間帯にいきなり話を振られるより、心の準備ができますよね。また、長年マネジメントをしている人であれば、「退職か何かの相談かもしれない」とあらかじめ想定してくれるケースもありますよ。
気をつけたいこと
結婚をきっかけに退職する際、同僚などからお祝いのメッセージをもらうこともありますよね。この時、周囲への配慮を意識することをお勧めします。
中には、結婚が決まって幸せ絶頂ムードで、ついつい浮かれた雰囲気になってしまう人もいるようですね。これは、見る人によっては、「仕事がいい加減になっているのでは」と感じてしまうことも…。退職後に業務を引き継ぐ同僚や、上司の立場を考え、職場では落ち着いた振る舞いをした方が無難でしょう。
失業保険はもらえる?
結婚を理由に退職した際、失業保険をもらえるのかも気になるところですよね。ここからは、結婚を機に退職した際の、失業保険についても見ていきましょう。
1:失業保険をもらえるケース
失業保険を受け取るには、次のような条件を全て満たす必要があります。
・退職前2年間に、雇用保険の被保険者期間が原則12か月以上あること
・採用内定や雇用の約束がされていないこと
・就職できる能力(環境や健康状態など)があること
・就職する意思を持っていること
・積極的に就職活動をしているのに、仕事に就けていないこと
例えば、入社間もなく退職をする場合、前述の被保険者期間が足りないというケースもあり得ますね。
ただし、結婚を機に引っ越しをして、通勤が難しくなった場合などは、例外になるケースも。往復で4時間以上の通勤時間になる場合、「正当な理由のある退職」という区分になります。この場合、退職以前1年間に被保険者期間が6か月以上あれば良いという特例がありますよ。遠距離恋愛が実って結婚をした場合、これにあてはまる可能性もありますね。
その他、前職の雇用保険加入期間と通算できる場合や、嫌がらせを受けて辞めた場合など、様々な例外パターンがあります。退職後に仕事を探したいという人は、まずはハローワークに相談してみてくださいね。
参考:厚生労働省 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
2:失業保険をもらえないケース
前述で解説した条件を満たせない場合は、失業保険をもらうことはできません。例えば、退職後に、専業主婦(夫)になるので、就職活動をする気がないと言う場合は、対象外になります。失業保険は、働く意思があることが条件となっているからですね。退職したからといって、必ずもらえるとは限らないということに注意しましょう。
最後に
この記事では、結婚によって退職する際の留意点や、言い出しにくい時の対処法、失業保険の条件などを解説しました。結婚は大きな人生の転換点。特に仕事との兼ね合いで悩むこともありますよね。そんなお悩みを抱えている人は、参考にしてみてください。
執筆
塚原社会保険労務士事務所代表 塚原美彩(つかはら・みさ)
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。
ライター所属:京都メディアライン
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