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2023.04.18

【カータンの“介護の本音” Vol.1】「親の老いを認めることは、とても切なく辛い」

カータンさん 正面

親の老いを認めることは、とても切なく辛い

────女性の方が認知症のリスクが高い(※)と聞きます。発症するとどのような変化が起こってくるのでしょうか。これから親の介護に直面するかもしれない読者に向けて、作品には描かなかった「リアル」をお聞かせください。

今では思い出話になっていますが、認知症に気付いたころのことを思い出すと、顕著な変化として、ものの管理ができなくなるという症状が現れます。例えば、冷蔵庫の中を食料品でいっぱいにして腐らせたり、お金をあるだけ使ってしまい「口座にお金がない」と嘆くなどの行動です。

子どもとは違い、親は成人ですので、お金はあるだけ使ってしまいますし、契約だってできてしまいます。あの頃は姉とふたり、不安と悲しみで押しつぶされそうになってしまい、実家から泣きながら帰ったこともしょっちゅうでした。

なかでも私がショックだったのは、几帳面だった母がゴミの分別ができなくなったこと。生ごみも缶類も一緒の袋に入っていれば、回収してもらえませんので、ゴミ袋が実家に堆積していきます。でも、誰かが分別しなくてはならないので、私が行いました。私の家に持ち帰り、ガレージで分けたのですが、あの時は夏だったこともあり、袋の中のニオイや虫はすごかった。「なんで、こんなんなっちゃったんだろう」と考えては、涙はとめどなくあふれていく。そんな作業をしつつ、母の変化を受け入れていったようにも思います。

親の老いを認めることは、とても切なく辛いです。心の整理をする間もなく、次々と変化が起こってくるのですから。

参考:※「女性関連要因と認知機能障害との関連について」(国立がん研究センター) 

介護になったら、すぐに地域包括支援センターに行き、周囲と協力関係を築くこと 

────これまで、親の死は覚悟できても、親が「要介護」になること想像もできず、受け入れることまで思いが至っていないことがわかりました。つまり、親が「死」という一線を超える前には、「介護」という長いグレーゾーンがある。

そうなんです。70代後半から認知症のリスクがあることは考えた方がいいと思います。ここでDomani読者の皆さんに声を出して言いたいのは、「介護に困ったら、市区町村の役所に設置された地域包括支援センター(※)に行こう!」ということ。

介護保険料は40歳から支払ってはいても、当事者になるまでその受け方も実態もわかりませんでした。まずは、地域包括支援センターに行くこと。ここから介護の道は開いていきます。

そこでまず、職員の人に現状を相談します。そして、介護保険を申請し、要介護の認定を受けます。そして、ケアマネージャー(ケアマネ)さんを紹介され、私たちの生活と希望に適した介護プログラムをアドバイスしてくれます。

カータンさん 正面

このときに、私も姉も背負っていた荷物を降ろしたような気持ちになりました。他に大切なことは、親のことをわかってくれている人に、現状を話すこと。グチを言ったり、悪口を言ったり、笑い飛ばしたりしているうちに、心は軽くなります。親のきょうだい、近所の人、親の友人など、抱え込まず話すことは大切です。

▲『お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム 介護ど真ん中!親のトリセツ』より

 

介護になったら、すぐに地域包括支援センターに行き、周囲と協力関係を築く。これが大切なことです。

介護保険法第115条の46第1項……地域包括支援センターは、市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、3職種のチームアプローチにより、住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設である。

父が視力を失い、母が認知症になるという、衝撃的な事実。その悲しみや恐怖を、どう受け入れていったか、そしてどう対応していったかをお話しいただきました。次回は、実際の介護生活について紹介していきます。

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『お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム 介護ど真ん中!親のトリセツ』( KADOKAWA )

父は老人ホーム、母は認知症で在宅介護…月間800万アクセスがある人気主婦ブロガー・カータンが送る、笑って泣いて、ためになる介護コミックエッセイ。

撮影/五十嵐美弥(小学館) 取材・文/前川亜紀

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▶︎【カータンの“介護の本音” Vol.2】老いた自分のために今から準備すべきこと

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著者

カータン

外資系航空会社に客室乗務員として勤務後、長女、次女を出産し専業主婦に。2007年3月に主婦の日常や過去のCA経験を描いたブログ「あたし・主婦の頭の中」を開設。多くの人に支持され「Japan Blog Award」ほか、ブログアワードを席巻。著書に『いろいろあるのよ、主婦だって! 』(幻冬舎単行本)、『健康以下、介護未満 親のトリセツ』(KADOKAWA)ほか多数。
▶︎カータンBLOG

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