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2023.08.28

「三顧の礼」の意味は?言葉の由来である故事成語や例文、類義語・対義語を解説

三顧の礼とは、目上の人が目下の人に礼を尽くし、手厚く迎えるという意味です。中国の歴史書「三国志」が由来となっています。言葉の意味を把握し、使用する場面を間違えないようにしましょう。本記事では、三顧の礼の意味や言葉の由来、例文をご紹介します。

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「三顧の礼」とは?

三顧の礼は、「さんこのれい」と読みます。「三顧」とは3回に渡って訪問するという意味で、真心から礼儀を尽くし、優れた人材を招くという意味です。主に、立場が上の人が目下の人を信任して手厚く迎えることを指します。中国の歴史書・三国志の記述が言葉の由来です。

ドアをノックする男性

ここでは、三顧の礼の意味や言葉の由来を解説します。

■立場が上の人が下の人に対して使う

三顧の礼とは、目上の人が目下の人のところに出向いて礼儀を尽くし、手厚く迎え入れるという意味です。三顧の礼の「顧」は「訪れる」という意味があり、「三顧」は何度も訪れるというニュアンスになります。

目下という点に重点があるのではなく、年齢にとらわれず、たとえ立場が下でも敬意を払うということを表す言葉です。

ただし、あくまで目上の人が下の人に対して使う表現であり、その逆はありません。目下の人が上の人に対して使うのは避けましょう。「三顧の礼を尽くす」「三顧の礼を尽くして迎え入れる」と言った使い方をします。

■言葉の由来

三顧の礼は、古代中国の歴史書「三国志」に書かれた故事を由来としています。三国志とは、魏(ぎ)・呉(ご)・蜀(しょく)という三国が戦っていた三国時代のことを記述した歴史書です。

三国志の中で蜀の皇帝である劉備(りゅうび)は、優れた軍師を求めていました。無官の諸葛亮(しょかつりょう・諸葛孔明のこと)が優れた逸材であることを聞いた劉備は、諸葛亮を軍に招くために自ら出向きます

劉備は1度目と2度目の訪問で諸葛亮に会うことができず、3度目にやっと会えて招くことができたということです。諸葛亮はその後、劉備の軍師として活躍し、最強の軍師と讃えられました。

三顧の礼の元となった物語は諸葛孔明が記述した書物にも残されており、劉備がわざわざ三度も足を運んでくれたことへの感謝が綴られているということです。

「三顧の礼」の例文

三顧の礼を理解するため、いくつかの例文をみていきましょう。

オフィスで握手する男性と女性

・彼は、社長自ら三顧の礼を尽くして入社を依頼した人材だ

・三顧の礼のような対応をされたからには、断るわけにはいかない

・〇〇氏は、経歴と実績を評価され、三顧の礼でA社に迎えられた

・その監督は三顧の礼を尽くしてチームに迎えられたが、あまりよい成績を残せなかった

・彼はこれまで数々の経営再建を成功させた手腕が評価され、三顧の礼を尽くして迎えられた

 

「三顧の礼」の類義語

三顧の礼にはいくつかの類義語があります。礼儀を尽くして優秀な人材を招くという意味の「三微七辟」や、立場が上の人が礼を尽くして優秀な人材を招く「草廬三顧」といった四字熟語があげられます。日常会話では使わない言葉ですが、三顧の礼と一緒に覚えれば、より理解が深まるでしょう。

握手するビジネスマン2人

ここでは、三顧の礼の類義語を2つご紹介します。

・「三微七辟(さんちょうしちへき)」

三微七辟(さんちょうしちへき)とは、「礼儀を尽くして優秀な人材を招く」という意味です。「徴」と「辟」のどちらにも「呼び寄せる」という意味があり、目上の人が何度も呼び寄せることを表します。

このほか、人を丁重に招くという意味の招聘(しょうへい)や、手厚くもてなすという意味の厚遇(こうぐう)も、三顧の礼の類義語といえます。

・「草廬三顧(そうろさんこ)」

草廬三顧(そうろさんこ)とは、立場が上の人が礼を尽くし、優れた人材を招くことです。「三顧」という言葉があるように、語源は三顧の礼と同じです。

「草盧」とは草ぶきの粗末な家という意味で、そのような場所に3度訪れて頼むということを表します。三国志の中では劉備が諸葛亮の住む草盧を3度訪れたという記述があることから、三顧の礼のほかに草盧三顧という言葉が生まれました。

「三顧の礼」の対義語

三顧の礼には対義語もあります。言葉や態度など表面だけは丁寧に装い、内心では尊大な様子を表す「慇懃無礼」や、人を見下す様子・態度を表す「傲岸不遜」などがあげられます。

微笑む顔と、不満の顔のマスクを手に持っている様子

丁寧にお願いをするという意味の三顧の礼に対し、どちらも尊大な様子を表す対義語です。

ここでは、三顧の礼とは反対の意味を持つ表現を2つみていきましょう。

「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」

慇懃無礼(いんぎんぶれい)とは、言葉や態度などが丁寧すぎるため、かえって無礼である様子を指します。あまりに丁寧すぎると、かえって嫌味になり、誠意を感じないという意味です。

また、表面の態度は非常に礼儀正しく丁寧に振る舞っていても、内心では尊大で相手を見下げているという意味もあります。

「慇懃」は非常に丁寧で礼儀正しい様子を表し、正反対の意味を持つ「無礼(礼儀を欠くこと)」がつくことで、「表面上は丁寧であるものの失礼なこと」を表現しています。

「傲岸不遜(ごうがんふそん)」

傲岸不遜(ごうがんふそん)とは、おごり高ぶって態度が横柄である様子を指します。 「傲岸」は、おごり高ぶった態度を指し、 「不遜」は思い上がっているという意味です。同じような意味を持つ言葉を重ねることで、意味合いを強調した四字熟語です。

丁寧な態度を表す三顧の礼とは正反対の様子を表すため、対極にある言葉といえるでしょう。

傲岸不遜とよく似た四字熟語に、自分だけが優れていると自負するという意味の唯我独尊(ゆいがどくそん)や、人を見下している様子を表す傲岸無礼(ごうがんぶれい)という言葉もあります。一緒に覚えておくとよいでしょう。

「三顧の礼」の使い方には注意しよう

三顧の礼は中国の「三国志」が由来の言葉で、礼儀を尽くし、手厚く迎えるという意味です。頼み事をしたり、優れた人材を勧誘して迎え入れたりするときに使われます。主に「三顧の礼を尽くす」といった使い方をします。

基本的に年齢や立場が上の人が下の人に対して使う言葉であり、目下の人が上の人に対して使わないよう注意してください。

三顧の礼には類義語や対義語もあるため、一緒に覚えて言葉の理解を深めましょう。

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