ブレークスルーとは?
ビジネスの文脈で用いられる「ブレークスルー思考」は、目標の本質を追求しながらその達成方法を考える思考のことです。本章では、ブレークスルーとは何なのか、言葉の意味やイノベーションとの違いについて解説します。
■ブレークスルーの意味・語源
「ブレークスルー」は、南カリフォルニア大学の名誉教授・ナドラー氏と中京大学名誉教授の日比野省三氏によって『新・ブレイクスルー思考』という共著で提唱された思考です。「破壊する」を意味する「break」と「通り抜ける」を意味する「through」の2つの英単語を組み合わせた言葉です。この言葉には「打開」「突破」「現状打破」という意味があり、アスリートが厳しい状況を克服する際にも使われています。
ビジネスシーンにおいては、「突破口を見つけて前に進む」「停滞から脱する」といった意味で使用できます。
■イノベーションとの違い
「イノベーション」という言葉も、「ブレークスルー」と似ています。ビジネスにおける「イノベーション」は、新しい捉え方・切り口といった意味を持ちます。
ただし「イノベーション」は、あくまでも既存のシステムを再構築し、新たな価値を生み出すといった意味の言葉です。「困難を突破する」という意味に重きがおかれるブレークスルーとは、ニュアンスが異なります。
ブレークスルーの基礎三原則
ブレークスルーは、基礎的な三原則によって成り立っています。具体的には「システムの原則」「目的情報の原則」「ユニークさの原則」といった3つの原則のことです。これらの考え方は、ブレークスルー思考やそれを理解するために欠かせない要素です。本章ではブレークスルーの基礎となる、三原則について、それぞれ解説していきます。
システムの原則
ブレークスルーにおけるシステムの原則は、以下4つに分けられます。
1.生解
2.目的
3.人間
4.未来解
「生解」とは、時代や環境、市場の変化に応じて解決策を見つけ出していくアプローチです。そして非凡なブレークスルー思考の基本原理となるシステムには「目的」が存在します。「人間」とは協力者のことです。「未来解」とは、未来に繋がる解決策を明らかにすることです。
目的情報の原則
目的情報の原則とは、目標を達成するために不可欠な情報のことを指します。特定の何かを検討するためには、情報が多ければ多いほど良いと考えられがちです。しかしブレークスルーにおいては、問題が解決できる必要最低限の情報のみを必要とします。
つまり、無駄に多くの情報を収集する必要はありません。最小限の情報収集で済むため、素早く課題解決に臨めます。
ユニークさの原則
「ユニーク」とは、「他にはない」「独自」「特異」などの意味を持つ言葉です。既存の技術や知識を、単に繰り返し活用するだけでは、いずれ手詰まりになってしまうでしょう。
過去の事例から、課題解決をおこなうには限界があると認識し、新しい発想を取り入れることが重要です。この考え方こそが「ユニークの原則」とされます。
4タイプのブレークスルー
「ブレークスルー」には、段階的に4つのカテゴリが存在します。それぞれのタイプは「タイプ0」「タイプ1」「タイプ2」「タイプ3」と分類されており、同じくブレークスルー思考の中でも、段階が異なったり、思考に差が生じたりするかもしれません。本章では、それぞれのタイプについて紹介します。