【例文】
・当該製品のさらなる品質向上のために、これまでで最高レベルの耐久度テストの実施を決定いたしました。
・大物タレントのスキャンダルが週刊誌で報じられ、タレントの所属事務所は「当該事実は一切ない」と否定するコメントを発表した。
・来春から企業法務に関連する改正法案が施行させるにあたって、当該法律の衆知と遵守を呼びかけています。
・当該プロジェクトの進捗状況については、プロジェクト管理ツールを活用することで、リアルタイムで把握できる仕組みになっています。
当該の類似表現3つ
当該にはいくつかの類似・言い換え表現があります。おもなものは以下の3つです。
それぞれ意味と例文をご紹介します。
その
「その」とは、前に説明したことや相手が了解していることを指す連体詞です。空間的や心理的に相手に近いものやことを指す場合にも使われます。「その」と近い表現に「この」がありますが、「この」は相手ではなく自分に近いものやことを指すという点が大きな違いです。
【例文】
・その製品に関しましては、不具合の原因の特定と改善に全力を注いでいます。
・その問題を公にはしたくないため、口外しないでいただきたい。
・その人物については、もう少し調査する必要があると思います。
件の
「件の」とは、説明しようとしているものやことを表す言葉で、相手がそのものやことについて、すでにある程度の知識を持っていることを前提として使われます。読み方は「くだんの」で、「くだり」という読み方の「下り」と同じ語源の語句です。
【例文】
・先日お送りいただいた資料を精査した結果、件の書類はすべての審査が完了し、承認されたことをお伝えします。
・ここ数日、検討を重ねてきた件の案件ですが、やっと今後に向けての道筋が見えてきました。
前述の
「前述の」とは、すでに以前に言及している、前もって語っているという意味の語句で、読み方は「ぜんじゅつの」です。記事や論文などでよく登場します。
【例文】
・前述の課題については、ここまでさんざん議論を重ねてきたので、採決によって最終的な結論を出すことにします。
・前述の説明のとおり、当社が今春発売する新商品は誰でも手軽に使えることが大きな特徴です。
当該の意味を知って正しい使い方をしよう
当該とは、前に説明したことやものという意味の語句です。かしこまった表現であるため、日常会話において登場する機会は、あまり多くありません。ビジネスシーンや法令関連など、正確な表現の求められる場面で使われるのが一般的です。
当該と間違えやすい言葉に該当がありますが、意味は異なるため、注意が必要でしょう。当該の対象が1つであるのに対して、該当は範囲を表すという違いがあります。
当該という言葉を使うポイントは、大きく2つあります。1つ目は名詞とセットで使われる連体修飾語の役割持った言葉であること、2つ目は、前の文章での説明を受けて使われることです。いきなりなんの説明もないところからは使いません。当該の意味を知って、正しい使い方をしてください。
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