「シック」とは？意味と語源
シックという言葉はファッション誌などでよく見かけますが、その正しい意味を知らない人は少なくありません。ファッションやインテリアにもよく使われる、シックの意味と語源を解説します。
上品・洗練されたなどの意味を持つ言葉
シックとは「上品な」「洗練された」などの意味を持つ言葉です。ものの雰囲気や見た目を表現するときに、たびたび登場する言葉で、ファッションやインテリアなどによく使われます。
「シックな色」という表現もよく目にしますが、特定の色味を指しているわけではありません。モノトーンや寒色系、深みのある色など、落ち着きを感じさせる色使いに対して使われるのが一般的です。
色味やデザインが派手ではなく、落ち着いていて大人っぽい雰囲気のものをシックと表現します。幅広い場面で使える言葉なので、上品でおしゃれなものに対して使ってみるとよいでしょう。
シック（〈フランス〉chic）
［形動］いきなさま。あか抜けしているさま。「シックな装い」
『デジタル大辞泉』（小学館）より引用
語源はフランス語
シックはフランス語の「chic」が語源とされています。フランス語のシックには「上品な」「垢抜けた」などに加えて「粋な」という意味もあり、しゃれたものを表す言葉です。
英語圏や日本で使われるシックは、語源であるフランス語とほとんど同じ意味を表しており、基本的にはポジティブな意味合いで使われます。「大人シック」「モダンシック」のように、他の言葉と組み合わせて使う例もあるようです。
なお、似た発音の英単語で「シック（sick）」という言葉がありますが、こちらはまったく異なる意味を持ちます。「sick」は「病気の」「病的な」などの意味を持っており、スペルも異なるため、間違えて使わないよう注意しましょう。
chic
chic /ʃik シック/, ⸨不変⸩ chic(s)
[形]
1 粋(いき)な，シックな，しゃれた．
2 ⸨話⸩ ⸨名詞の前で⸩ すばらしい，快適な．
3⸨話⸩ ⸨ときに名詞の前で⸩ 〔人，行為が〕感じのいい；親切な．
chic
[男] 粋(いき)，シック，おしゃれ．
chic
[間投] ⸨話⸩ すてきだ，すごいぞ．
『プログレッシブ 仏和辞典』（小学館）より引用
業界別「シック」の意味
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シックという表現は、主にファッションやインテリアなどの業界で使われています。それぞれの業界ごとに、シックの表す意味と使い方を解説します。
ファッション業界の「シック」
ファッション業界では、上品で落ち着きのあるコーディネートのことをシックと表します。デザインだけでなく、全体の雰囲気や色味などに対しても使われる重要な表現の一つです。
ココ・シャネルやイヴ・サンローランなど、有名ブランドを手がけていたデザイナーへの褒め言葉としてシックが使われていました。品があるだけでなく、スタイリッシュな服装をシックと表現する場合もあるようです。
シックからの派生として「アメリカンシック」「ギークシック」などのファッション用語も存在します。ファッションの批評はもちろん、ジャンルを示す言葉としても使われているのが特徴です。
インテリア業界の「シック」
インテリア業界では、上品で落ち着いた見た目の家具がシックと表されます。シックな家具を選び、部屋全体の雰囲気を統一することで、高級感のある大人な雰囲気の部屋を演出することが可能です。
インテリアにおけるシックという言葉には、「高級感がある」というニュアンスが含まれます。シックな雰囲気を目指したいなら、質のよさや素材など、細かいところに目を向けるのがおすすめです。
一般的に、シンプルなデザインのものや、同系色のファブリックを使っているのがシックといわれる内装の特徴です。ナチュラルな素材を取り入れるのも、シックな雰囲気を作るポイントといえます。
「シック」の使い方や例文
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シックという言葉は多くの意味を持っているため、幅広いシーンで使えます。それぞれの場面に応じた使い方や、活用しやすい具体的な例文を紹介します。
「シック」の使い方
日本語のシックは、ポジティブな意味を持つ褒め言葉として使われるのが一般的です。品のあるものや、落ち着きを感じるものだけでなく、粋なものに対しても使えます。
主にファッションやインテリアに対して使うことが多いものの、人物への褒め言葉として使うケースもあります。シックと表現される対象は広いので、おしゃれで垢抜けていると感じたら気軽に使ってみるのがおすすめです。
なお「ホームシック」などの「○○シック」という言葉に使われているのは、英語の「sick」です。文字では同じでも意味がまったく異なるため、うっかり間違えて使ってしまわないよう注意する必要があります。
「シック」を使った例文
上品でおしゃれなものに対して使う場合には、「あの人はいつもシックなファッションに身を包んでいる」のように使います。
「シックな色合いのワンピース」のようにデザインや色味に対して表現したり、「フォーマルな場面にふさわしいシックな装い」など、雰囲気を表す際に使いましょう。
インテリアについては「ダークカラーを基調としたシックなインテリア」「シックな印象でまとめた内装」などのように表します。
「シック」が使われている言葉
シックという言葉は、他の言葉と組み合わせて新しい意味で使われる例も珍しくありません。シックから派生したさまざまな用語を紹介します。
モダンシック（シックモダン）
モダンシック（シックモダン）とは、シックと「現代的」という意味のモダン（modern）を組み合わせた言葉です。ファッションはもちろん、建物の内装などを表す言葉としても使われています。
モダンシックには、現代的という意味が含まれるため、トレンドを取り入れたファッションのことを指すのが特徴です。流行を意識しつつも色味を抑えた、落ち着いた印象の服装にモダンシックという言葉が使われます。
インテリアの場合、より上質で洗練された内装がモダンシックの特徴です。ホテルのラウンジやモデルハウスなど、大人な雰囲気を感じさせる建物が当てはまります。
チープシック
チープシックとは「安い」「安価な」という意味のチープ（cheap）を使った言葉です。あまりお金をかけずに、上品かつ洗練されたファッションを楽しむという意味がこめられています。
シックは高級感があるという意味でも使われますが、あくまでも安価におしゃれを楽しむのがチープシックの考え方です。この概念が広まったのは、1975年にアメリカ人女性が書いた本「チープ・シック」がきっかけとされています。
お金をかけずに長く使えるアイテムを選ぶ着こなしは、現代のファッションにも通じる考え方だといえます。単にプチプラの洋服を選ぶのではなく、スタンダードなアイテムを取り入れるのがチープシックの特徴です。
シャビーシック
シャビーシックとは、近年流行しているインテリア用語です。シャビー（shabby）は「古めかしい」「みすぼらしい」といった意味を持つ言葉ですが、ここではポジティブな意味合いで使われています。
古いものながら、上品で洗練された雰囲気を持つインテリアがシャビーシックです。イギリス人デザイナーの、レイチェル・アシュウェルが提唱した概念として、世界中に広まりました。
シャビーシックは、シャビーと略される場合もあり、アンティーク調のおしゃれなインテリアとしても人気です。部屋全体を白・グレー・パステルカラーの色合いでまとめると、シャビーシックな雰囲気を演出できます。
ボーホーシック
「ボーホー（BOHO）」とは、ニューヨークの地区であるソーホーと、ボヘミアンを組み合わせた造語です。都会的な雰囲気にエスニックな要素を加えたボーホースタイルは、ファッションやインテリアとして流行しました。
ボーホーシックとは、民族調の要素をすっきりと上品にまとめたファッションのことです。シンプルで清潔感のある着こなしなので、普段のコーディネートにも取り入れやすくなっています。
ボーホーシックは、インテリアにも使われており、落ち着きの中に個性を感じるスタイルが特徴です。さりげなくボヘミアンなアイテムを取り入れると、ボーホーシックを楽しめます。
