「ドメスティック」とはどういう意味?
「ドメスティック」という言葉は、主に二つの意味を持っています。どちらの意味でもドメスティックという言葉を見聞きしたときに適切に理解できるよう、詳しく解説します。
「自国の」「国内の」という意味
「ドメスティック」の一つ目の意味は「自国の」「国内の」です。「ドメスティックプロダクツ」「ドメスティック企業」のように、ビジネスシーンでもよく使われています。
そのほかに多用されるのが経済分野で、たとえば国の経済活動状況の指標といえるGDPは「Gross Domestic Product」の頭文字を取った言葉です。国内総生産という意味で「ドメスティック」という単語が含まれています。
「家庭的な」「家庭内の」という意味
ドメスティックには「家庭的な」「家庭内の」という意味もあります。近年問題視されている「ドメスティックバイオレンス」は直訳すると「家庭内での暴力」です。
「ドメスティックバイオレンス」のイメージから、中には「ドメスティック」という単語がマイナスな意味を持つ言葉だと勘違いしている人も。しかし、ドメスティックという言葉自体にネガティブな意味合いは含まれていません。
ドメスティック[形動]
1 家庭的であるさま。家族的であるさま。また、家事に関するさま。「ドメスティックな話題」「ドメスティックサイエンス」
2 自国・国内に関するさま。「ドメスティックプロダクツ(=国産品)」
引用:小学館 デジタル大辞泉
「ドメスティック」の使い方と例文
ドメスティックが持つ二つの意味を踏まえて、それぞれの使い方と例文を紹介します。
形容詞や熟語として使う
ドメスティックという言葉は、単独で用いられることはほとんどなく、形容詞や熟語として使うのが一般的です。「家庭内の」という意味のドメスティックは「ドメスティックバイオレンス」のように、主に家庭内で起きている問題を表すときに用いられます。
一方「国内の」という意味でのドメスティックは、「ドメスティックな○○」のように、形容詞として使われます。そのほかよく見られるのが「ドメスティックブランド」など、名詞と組み合わせて熟語にするパターンです。
例外的ですが、航空業界では国内線を表す略語として「ドメス」「ドメ」と使われるケースもあります。
「ドメスティック」を使った例文
「家庭的な」「家庭内の」という意味のドメスティックを用いた例文は以下の通りです。
【例文】
・普段の様子を話すと、友人は私のことをドメスティックな女性と表現した
・ドメスティックバイオレンスは、今や深刻な社会問題になっている
・親からのドメスティックハラスメントに苦しんでいる子どもも少なくない
「国内の」という意味のドメスティックを用いた例文は以下の通りです。
【例文】
・ドメスティック企業より、海外展開しているグローバル企業で働きたい
・ドメスティック向けの作品だが、海外でも人気が高まっているらしい
・ドメスティックプロダクツは、今後ますます注目されるだろう
「ドメスティック」の関連用語
ドメスティックを含む言葉はビジネスシーンをはじめ、さまざまな分野で使われています。特に、よく知られているものを紹介します。
アパレル業界で使う「ドメスティックブランド」
「ドメスティックブランド」とは、国内発のブランドという意味です。「ドメブラ」と略される場合もあり、おもにファッション業界で使われています。
世界的に評価されている日本のドメスティックブランドには、「ISSEY MIYAKE」「COMME des GARCONS」などがあげられます。
ドメスティック‐ブランド(domestic brands)
国内ブランド。特に、国内のファッションブランドをいう。
引用:小学館 デジタル大辞泉
家庭科を意味する「ドメスティックサイエンス」
学校の授業でおなじみの家庭科のことを、英語では「ドメスティックサイエンス」といいます。料理や裁縫などの技術や理論を、実技を通して学ぶ授業です。
また「ドメスティックサイエンス」には、家政学という意味もあります。衣食住・家計・育児など、生活全般を科学的に研究し、向上を目指す学問のことです。
家庭内の暴力「ドメスティックバイオレンス」
「ドメスティックバイオレンス(DV)」の問題が浮上したことで、ドメスティックという言葉も一般的に認知されるようになりました。直訳すると「家庭内における暴力」ですが、日本では主に現在または過去の配偶者や恋人などから振るわれた暴力を指します。
ドメスティック‐バイオレンス
〘名〙 (domestic violence) 家庭内暴力。夫婦間暴力。特に、夫や恋人など、親密な関係にある男性から女性への暴力をいう。身体的暴力だけでなく精神的、性的暴力なども含む。DV。
引用:小学館 デジタル大辞泉
ドメスティックバイオレンスには、殴る・蹴るといった身体的なものだけでなく、さまざまな暴力が含まれるとされています。
・精神的ドメスティックバイオレンス:暴言を浴びせる、無視する、見下すような発言をする、行動制限するなど
・性的ドメスティックバイオレンス:避妊に協力しない、性行為の強要など
・経済的ドメスティックバイオレンス:生活費を渡さない、勝手に借金をされるなど
恋人間で問題になるドメスティックバイオレンスは、「デートドメスティックバイオレンス(デートDV)」と表現されますが、和製英語です。
出典:配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(配偶者暴力防止法)|内閣府
デートDVって?|内閣府男女共同参画局
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