こんにちは、editor_kaoです。
「何を今さらいっているのか」ということは重々承知なのですが、ここ数年、ずっと忘れられないエピソードがあります。
2021年のドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』を、覚えていらっしゃいますか?松たか子さん演じる、バツ3の大豆田とわ子(ちなみにDomani世代)が、元夫や娘、仕事に振り回されながらもたくましく、人生を謳歌する物語。放映当時、ずいぶんと話題になり、私も夢中になって観ていました。夢中になりすぎて、番組の女性プロデューサーに取材までしてしまったほど!なぜなら、どうしても知りたいことがあったから。それは、とわ子が着ている衣装が、いつも華やかで素敵で、どういう経緯で、ああいったコーディネートにしたのだろうということでした(未見の方は、ぜひ配信などを!)。
おしゃれな人ではなく、洋服が好きな人という発想
その回答は、意外なものでした。プロデューサーの方曰く「とわ子を『おしゃれな人というより、洋服が好きな人』に見せたかったから」。これ、当時の私としては、ものすごく目からウロコの発想で!でもそれを聞いて、ものすごく納得がいったんです。3年前って「ミニマル」や「ジェンダーレス」といったテイストが頭角を現した時代だったのですが、とわ子が着ていたのは、それとは逆をいくような、明るい色のスウェットやプリントのワンピース、レースのブラウス。いわゆるトレンドの着こなしではなかったんです。でもだからこそ、私の目を惹いたのかなと、今となっては感じています。
「おしゃれが好きな」人には、だれだってなれる
おしゃれな人と、洋服、つまりおしゃれが好きな人は、似ているようで違います。「おしゃれな」人が「センスのいい」人ならば、これはひとつの才能のようなもの。ファッションに限らず、底知れぬセンスの持ち主というのは、世の中にいるもので、これは真似できるようで、実はなかなかできないことかもしれません。でも「おしゃれが好きな」人でいるかどうかは、その人の自由。自分の着たい服を、年齢や職業、シチュエーションに振り回されることなく身につける(もちろん常識の範囲内で)。それが人生を楽しむことにつながると思いますし、ひいてはそれを見ている周りの人にも、ハッピーな気持ちをもたらすのではと。幸せの循環ですね。
ドラマを観直して、思い出したコラムの意味
今回のコラムのテーマをふと思い出し、ドラマを観直して観たのですが、思い出しました。私も長く連載を続けるうちに、『これからは、自分のために服を着たい』というタイトルを失念しかけていたけれど(こらこら)、そうだった、私はこのことを伝えたくて、このコラムを書いているんだった!おしゃれをするのもしないのも自由。だけど服は毎日着なくてはならないもの、せっかくなら、自分が着たい服を着て、ウキウキした気持ちになりたいではないですか。
「おしゃれな人」を目指さなくてもいい、でもおしゃれが好きでいることを、忘れたくはないのです。
【今日のひと手間】
夏は、冷房対策としてカーディガンをバッグの中に常備しているのですが、今年は志向を変えて、こちらにしようかと。無印良品の「UVカット 強撚コットン ボレロ ボタン付き」です。UVカット率90%以上の薄手のコットン素材を使用していて、フロントとそで口部分にボタンが付いているものの、外せばストールみたいにも。肩からかけたり、首に巻くこともできるから、トップスを選ばなそうです!
エディター
editor_kao
大人の実用ファッションを中心に、人物インタビューや日本の伝統文化など、ジャンルレスで雑誌やブランドサイト、ウエブマガジンで活動中。また、インスタグラム@editor_kaoでは、私服コーディネートを紹介するかたわら、さまざまなブランドや百貨店とのコラボレーションも手がけている。ライフスタイルWEBメディアkufura(クフラ)でも「4ケタアイテムで叶えるオシャレ」を連載中。
イラスト/柿崎こうこ
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