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「追従」の意味と読み方とは
「追従」には、2通りの読み方があります。ひとつは「ついじゅう」、もうひとつは「ついしょう」です。
日常生活やビジネスシーンでは「追従(ついじゅう)」と読む機会が多いのではないでしょうか。「ついしょう」とした場合、言葉のニュアンスは若干異なります。
まずは、それぞれの正しい意味を知るとともに「ついじゅう」と「ついしょう」の違いについてみていきましょう。
「追従」(ついじゅう)の正しい意味
「追従(ついじゅう)」とは、人や物の後に付いて従うことです。
つい‐じゅう【追従】
[名](スル)あとにつき従うこと。また、人の意見に従うこと。追随。「権力に追従する」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
また、誰かの意見に従うことも「追従(ついじゅう)」と表します。主な使用例は以下のとおりです。
・あの場では権力に追従するしかなかった
・彼は世の中の流れに追従する選択をとった
・本質を見極めることなく他者に追従する傾向がある
「追従」(ついしょう)の正しい意味
「ついじゅう」と同じ漢字を使う「追従(ついしょう)」は、デジタル大辞泉で以下のように定義されています。
【追従】つい-しょう
1.他人の気に入るような言動をすること。こびへつらうこと。また、その言動。「おーをいう」「顧客にーする」
2.「ついじゅう(追従)」に同じ。「雛遊(ひひなあそ)びのーをもねんごろにまつはれ歩きて」〈源・少女〉
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「1」の「こびへつらう」とは、お世辞などをいって相手に気に入られるように振る舞うことです。また、相手に気に入られようと発する言葉そのものを「ついしょう」と呼ぶこともあります。
注目したいのは、「2」の意味です。「ついしょう」は「ついじゅう」と同じだと定義されています。
つまり「ついしょう」は、「他者にこびへつらうこと」と「後に従うこと」、2つの意味合いをもつ言葉だといえます。誤った表現にならないよう、「ついしょう」を使う際は前後の文章や会話の流れをよく確認するようにしましょう。
「追従(ついしょう)」の使い方と例文
他人の機嫌をとる「追従(ついしょう)」という言葉は、以下のように使用できます。前述した正しい意味とともに、日常生活やビジネスシーンで活用する際の参考にしてください。
・彼の追従の態度はあまり感心できるものではない。
・自分としては友好の態度だったつもりが、彼には追従ととられてしまったようだ。
・目的を遂げるためには、ときには追従も必要だと考えている。
・彼はお追従ばかりいって、いつも目上の人の機嫌をとろうとする。
・宴席の取引先に対する彼の追従は、事前に計画されたものだった。
・役者の演技からは観客に追従する様子がうかがえた。
・上司に追従する術を手にしても、なんの役にも立たない。
「追従(ついしょう)」の類義語
「追従」の類義語には、以下のような語句が挙げられます。
いずれも相手の機嫌をうかがう様子や、その言動を指す言葉です。「社交辞令」のように、ビジネスでの使用頻度の多い語句も含まれます。ここでは、それぞれの正しい意味と使用例について確認していきましょう。
世辞(せじ)
「世辞」は、他人に対する愛想のよい言葉や上手な口ぶりのことです。「追従」が言動を指すのに対し、「世辞」は言葉そのものや話す様子を意味するという違いがあります。
その目的が「相手に気に入られること」である点は「追従」と同じです。日常生活では「お世辞」と言い表すこともあります。
・彼は上司であれば誰にでもお世辞をいう。
・お世辞でも、そういってくださるのはうれしいです。
・ありがとうございます。いつもお世辞が上手ですね。
・お世辞をいって気に入られようとしても無駄ですよ。
社交辞令(しゃこうじれい)
「社交辞令」も、「追従」と同様に相手の気に入られようとする言動を意味します。大きな違いは、儀礼的な誉め言葉やあいさつである点です。付き合いをうまく進めるための言動であり、「追従」と違い決まり文句のような一面があります。
たとえば、はっきりとした約束を伴わない「予定が合えば次回ご一緒しましょう」のような発言も社交辞令のひとつです。
「社交辞令」は相手への気遣いや保身のための言動である一方、場合によっては口だけで責任がないと思われてしまいます。無責任な人と思われないよう、使用頻度やシーンには気を付けましょう。
・「また今度」といってはいたけれど、社交辞令かもしれないので期待しないでおこう。
・彼は調子のよいことをいっていたが、人前だからと社交辞令を使ったのだろう。
愛想(あいそ)
「愛想」は、人に接する態度のことです。「愛想がいい、悪い」のように、主に人当たりのよさを表します。
また、「愛想」は人に対する好意や信頼感も意味します。相手への好意がなくなり、信頼できなくなった場合は「愛想が尽きた」ということもあるでしょう。
さらに「追従」のように、相手の機嫌をとるための振る舞いを指すこともあります。この場合、愛想ではなく「お愛想」とするのが一般的です。
「お愛想」とした場合は、お勘定のような意味ももつなど、幅広いシーンで活用できる言葉といえるでしょう。
・初めて来店した店は、店員の愛想のよさが印象的だった。
・彼の不誠実な態度には、ほとほと愛想が尽きた。
・彼は誰にでも都合よくお愛想をいう。
・ごちそうさまでした。お愛想をお願いします。