「唐変木」の意味や由来
唐変木(とうへんぼく)
気のきかない人物、物分かりの悪い人物をののしっていう語。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「唐変木」は、気の利かない人を罵る際に使用します。江戸時代から使用されている言葉ですが、現在は日常会話で使用することはほとんどありません。小説や演劇、芝居などのセリフで使われるのを耳にしたことがある人もいるでしょう。
「唐変木」の由来は、「遣唐使が持ち帰った変な木」や「中国の唐の時代にあった変わった木彫り人形」など、諸説あります。
「唐変木」の使い方や例文
「唐変木」は物わかりの悪い人を罵る言葉であるため、相手を悪く言うときに使用します。
【例文】
・どんなに細かく説明しても、【唐変木】のあなたには話が通じない
・今回の転勤で職場にやってきた課長は、とんでもなく【唐変木】だと噂になっています
・私の幼馴染は幼少期【唐変木】だったのに、今では弁護士として活躍しているなんて信じられません
・私はあの優しい上司が、あんなに【唐変木】だったとは知りませんでした
・先日、クラスの友人に「お前のような【唐変木】に、俺の何がわかるんだ」と怒られました
「唐変木」の類義語7つ
「唐変木」の主な類義語は、以下の7つです。
・分からず屋
・愚鈍
・朴念仁
・でくの坊
・盆暗
・愚か
・蒙昧
「唐変木」は、人を罵る際に使用する言葉です。類義語も「唐変木」と同様に、良い意味で使用される言葉ではありません。
人を罵る際に使用する言葉もあるため、使用する際は注意しましょう。ここでは、「唐変木」の類義語をご紹介します。
【類義語1】分からず屋
【分からず屋(わからずや)】
物事の道理がわからないこと。わかろうとしないこと。また、その人。「―に手をやく」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「分からず屋」は、「物事の道理を理解しようとしない人」または「説明してもわからない人」に対して使用する言葉です。
【例文】
・私の父は、近所でも有名な【分からず屋】です
・今回新しく雇ったアルバイトの子は、何度説明しても失敗するような【分からず屋】だった
・私の姉の婚約者は【分からず屋】な一面があるため、このまま結婚すると姉は苦労するであろう
・彼女に「この【分からず屋】」と怒られ、出て行ってしまいました
【類義語2】愚鈍
【愚鈍(ぐどん)】
判断力・理解力がにぶいこと。頭が悪くのろまなこと。また、そのさま。
「二等と三等との区別さえも弁(わきま)えない―な心が腹立たしかった」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「愚鈍」とは「ぐどん」と読み、無知で間抜けな様を表現する言葉です。愚鈍を2つに分けると、「愚か」「鈍い」となることからわかるように、理解力や判断力が鈍いことを示します。唐変木と同様に、良い意味で使用される言葉ではありません。
【例文】
・私の彼氏は【愚鈍】なところがあるものの、誰にでも優しく温かい人です
・今年入社した新入社員が、あまりにも【愚鈍】で一緒に仕事をするのが大変です
・自分の【愚鈍】さにびっくりします
・私の直属の上司は【愚鈍】なところがあり、会社での人気はあまりありません
・川や道にゴミを捨てる人は、【愚鈍】にも程があると感じています
【類義語3】朴念仁(ぼくねんじん)
【朴念仁(ぼくねんじん)】
無口で愛想のない人。また、がんこで物の道理のわからない人。わからずや。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「朴念仁」とは「ぼくねんじん」と読み、「分からず屋」「無口」「頑固」な男性の性格を表現する際に使用する言葉です。「唐変木」のように相手を悪く言うときだけではなく、「素朴な考え」といったように良くも悪くも人の性質を表現するときに使用します。
ただし、女性に対しては使用しない言葉であるため、使う際は注意しましょう。
【例文】
・私の兄は【朴念仁】ですが、妹思いで優しい自慢の兄です
・私の親友の一人である男友達は、恋愛になると【朴念仁】になってしまいます
・この小説の主人公は、【朴念仁】の設定になっていました
・私の叔父は【朴念仁】のため、何を言っても無駄だとわかりました
【類義語4】でくの坊
【でくの坊(でくのぼう)】
1.人形。あやつり人形。でく。
2.役に立たない人。気のきかない人。人のいいなりになっている人。また、そのような人をののしっていう語。「この―め」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「でくの坊」とは、役に立たない人に嫌味を言ったり、罵ったりするときに使用する言葉です。「唐変木」と同じように、良い意味で使用することはありません。
そのため、相手に面と向かって伝える際は注意が必要です。特にビジネスシーンで使用するのは、避けるほうがいいでしょう。
【例文】
・私の直属の部下は、何もできずに立っているだけの【でくの坊】です
・【でくの坊】と言われ続けてきた幼馴染は、夢を追い続けた結果、歌手として活躍しています
・私は人と接するのが好きなので、営業職を選んだのですが、実際は何の成果も上げられない【でくの坊】だと気付きました
・私は誰に【でくの坊】と言われても、夢を追いかけるために、決してこの会社を辞めません
【類義語5】盆暗(ぼんくら)
【盆暗(ぼんくら)】
《もと、ばくちで盆の上の勝負に暗い意》ぼんやりしていて物事の見通しがきかないこと。また、そのような人や、そのさま。「―な係員」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「盆暗」とは、頭の回転が悪く、ぼんやりしている人に向けて使う言葉です。だらしがない人や適当な人に対しても使用することもあり、あまり良い印象を与える言葉ではありません。また親しい間柄であれば、「バカ」「間抜け」といった意味を込めて、「盆暗」と表現することもあります。
【例文】
・会社の同期で【盆暗】と馬鹿にしていた男性社員が、誰よりも早く出世したため、複雑な気分になりました
・私は小さい頃から【盆暗】と呼ばれることが多く、悔しい思いをしてきたので、見返してやろうとレベルの高い大学に入学しようと思っています
【類義語6】愚か
【愚か(おろか)】
1.頭の働きが鈍いさま。考えが足りないさま。「彼の言葉を―にも信じてしまう」
2.ばかげているさま。「戦争など―なことだ」
3.未熟なさま。「この芸に―なるを見て」〈徒然・一九三〉
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「愚か」とは、頭の回転が鈍いことを表現するときに使用する言葉です。ほかにも考えが足りていないときや、未熟者に対しても使われます。
「愚か」と呼ばれる人は、後先考えずに行動したり、予定を先延ばしにしたりと、物事の優先順位を判断できないことも少なくありません。周囲のことを考えられず、何が悪いのか理解できない人もいるでしょう。
【例文】
・あなたの行動は、【愚か】以外の何物でもなかった
・【愚か】な私の母は、家族を失って初めて、家族の大切さに気付いたようです
【類義語7】蒙昧(もうまい)
【蒙昧(もうまい)】
暗いこと。転じて、知識が不十分で道理にくらいこと。また、そのさま。愚昧。「―な大衆」「無知―」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「蒙昧」とは、暗いことから転じて知識が浅い様を表現した言葉です。性格が暗いという意味ではなく、道理に暗い、つまり知識が不十分であるときに使用します。
【例文】
・専門の学部に通っていながら、【蒙昧】であることは恥ずべき問題である
・私の弟は【蒙昧】なため、一人で上京するのは心配です
・とある分野の専門家が、【蒙昧】な学生から質問攻めにされています
「唐変木」の意味を正しく理解しよう
「唐変木」とは、気が利かず、物わかりの悪い人を罵る際に使用する言葉です。古くから日本にある言葉ですが、現代はあまり使用されていません。「唐変木」は相手を悪く言うときに使用する言葉であるため、使う際は注意しましょう。
「唐変木」には、数多くの類義語があります。類義語も人を悪く言う際に使用するため、使うシーンには注意が必要です。「唐変木」や類義語の意味を理解して、正しく使用しましょう。
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