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2022.01.11

正しく読める?「小芥子」の読み方から気になる由来、種類などを解説

「小芥子」みなさんはこの漢字、正しく読めますか?今回はこの「小芥子」の正体から読み方、由来、種類などを合わせて解説していきます!

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「小芥子」の読み方とは?

「小芥子」は「こけし」と読みます。そう、あの日本伝統工芸の「こけし」。最近では国内の若い女性の他、「クールジャパン」の一つとして海外でも人気が高まっています。そもそも「小芥子」とは、どんなもので何の為に作られたものなのでしょうか。由来などを一緒にみていきましょう。

小芥子

■そもそも「小芥子」とは?

「小芥子」は、木材をろくろで挽いた人形のこと。東北地方の伝統的な玩具です。伝統的な「小芥子」の形は、着物の絵が描いてある円柱状の胴に、顔が描かれた丸い頭がついているものが多いでしょう。しかし、昨今では、自由な形や絵付けがしてある「小芥子」もあるようです。

■「小芥子」の歴史

「小芥子」の歴史は古く、多くの人が知る「小芥子」の形になったのは、江戸時代の後期だといわれています。しかし、それ以前から「小芥子」の原型となるようなものは存在していたようです。「小芥子」は、木地師(きじし)と呼ばれる職人が作ったもの。木地師とは、ろくろを使い、椀や盆などの木工品を作った職人のことをいいます。「小芥子」は、もとは子供たちのために作られた玩具でしたが、温泉地で湯治客にお土産として売られるようになりました。

小芥子

■「小芥子」は縁起物?

かつて、温泉で湯治をしに来る人の大半は、農民。特に寒冷地方の農民たちは、収穫が終わり、溜まった疲れを癒すために温泉地へと出かけるのが慣例行事となっていました。その際、「小芥子」を心身回復や五穀豊穣、病除けなどを象徴する縁起物として持ち帰ったとされています。

■「小芥子」の名前の由来とは?

「小芥子」は、地域によって呼び方が違いました。「這う子供の人形」という意味の「きぼこ」、木で作った人形を意味する「きでぐ」や「でくのぼう」など、様々な呼び方がありました。「小芥子」は主に宮城県で呼ばれていた言葉。その由来は諸説あります。江戸時代に子供たちがしていた髪型、「芥子坊主(けしぼうず)」。その髪型に似ていることから、「小芥子」と呼ばれるようになったという説。または、木を削ってできた人形の「木削子(こけず)」から由来しているという説があります。

しかし、いろいろな呼び方があり、不便だということから、1940年に「こけし」と名称が統一されました。

■「こけし顔」ってどんな顔?

顔の凹凸がなく、目は細い三日月型、鼻や口は小さく控えめ、という「小芥子」のような顔立ちの人を「こけし顔」と表現することがあります。

「小芥子」の種類や特徴

主に東北地方で作られている伝統的な「小芥子」。同じ東北地方内であっても、地域や伝承された作家などによって特徴が異なり、約10種類の系統に分類されます。それぞれの特徴をみていきましょう。

小芥子

1:鳴子系(宮城県)

「小芥子」といえば、「鳴子」というほど有名なのが「鳴子系小芥子」。奥州三大名湯である鳴子温泉を産地としています。「鳴子系小芥子」の最も特徴的なところは、頭の部分を回すと「キイキイ」と音が鳴ること。これは特殊な技法で、頭部を胴体にはめ込んでいるためです。胴には、菊やカエデ、ボタンなどが描かれています。そして、頭頂部には水引きが描かれ、顔立ちは御所人形のようなものが「鳴子系小芥子」の主な特徴です。

2:遠刈田(とおがった)系(宮城県)

「遠刈田小芥子」の主な産地は、遠刈田温泉、青根温泉です。その特徴は、細めの胴体に対して頭は大きめになっていること。胴体には手描きの菊や梅の模様が描かれ、華やかさでは各小芥子の系統の中で右に出るものはないといわれています。

3:土湯(つちゆ)系(福島県)

「鳴子」「遠刈田」に並ぶ、三大小芥子発祥の地に数えられる「土湯」。その「土湯」で作られるのが「土湯系小芥子」です。細目の胴体が裾広がりになる三角胴とよばれるものと、太子型とよばれる胴体が膨らんだものに分けられます。そして、ろくろで描かれる美しい「ろくろ線」が最大の特徴。その美しい横縞模様は、全ての小芥子系統の中で最も進歩したろくろ線だといわれています。

4:津軽系(青森県)

胴体と頭を一本の木から作る「作り付け」という手法を用いて作られます。ふっくらとした体型であったり、スマートな胴体だったりと体型は様々。また、津軽藩の家紋である牡丹の花やアイヌ模様、ダルマ模様などが描かれることが多く、描かれる模様や顔立ちがバラエティに富んでいるのが特徴です。

5:南部系(岩手県)

主な産地は岩手県花巻市。頭部はゆるく固定された「はめこみ式」が用いられています。グラグラと動く頭部が特徴。もとは子供のおしゃぶりから発展したものです。そのため、模様はなく色彩は控えめ。素朴で木のぬくもりを感じるのが「南部系小芥子」です。

6:作並系(宮城県)

宮城県の作並温泉で継承されてきた「小芥子」。遠刈田系の影響を強く受けているとされています。その頭部には赤い飾りで結ばれた前髪が描かれていることが多いでしょう。頭部と胴体は、遠刈田式と同様の差し込み式。胴体には菊の花が描かれています。また、作並系の「小芥子」は、子供が握りやすいように胴体が細く作られているのが特徴です。

7:弥次郎系(宮城県)

宮城県白石市の弥次郎地区で作られるのが「弥次郎系小芥子」。頭部には鮮やかな色のろくろ線が描かれており、まるでベレー帽をかぶっているようにみえるのが、大きな特徴でしょう。胴体は差し込み式で、くびれているものが多くみられます。ろくろ線や菊の花が描かれ、着物の姿のものもあります。

8:肘折系(山形県)

肘折系の「小芥子」は、肘折温泉を中心に作られてきました。胴体の形状は鳴子系、色彩や模様は遠刈田系に近く、2系統の特徴がミックスされています。顔は微笑んでいるような表情が特徴の「小芥子」です。

9:蔵王系(山形県)

蔵王系は遠刈田系の技術が伝わり、変化、発展してきたもの。胴体は太めで、牡丹や桜くずし、重ね菊といった豪華な絵柄が特徴です。腰には帯が描かれているものも。頭部は差し込み式で、髪型は、おかっぱ頭のものが多くみられます。

10:木地山系(秋田県)

秋田県雄勝郡の皆瀬木地山などが産地。頭と胴体は1本の木から作られており、胴体は太めで、頭はらっきょう型。他の系統の「小芥子」と比べて、作りが小さいのが特徴です。梅の花が描かれた前垂れや、縞模様の着物姿のものが多くみられるでしょう。

「小芥子」にまつわる都市伝説

「小芥子」の語源は「子消し」や「子化身」である、という説がまことしやかにささやかれてきました。それは、「小芥子」は「貧困などが理由で間引かれた(殺された)子供を供養するために作られたものだ」というもの。しかしこの説は根拠がなく、確かなものではありません。

最後に

良く知っているものでも、漢字で書いてあるとわからないものは、意外と多くありますよね。「小芥子」もその中の一つではないでしょうか。また、「小芥子」とひと口に言っても、様々な種類の「小芥子」があることがわかりました。国内に留まらず、海外でも注目を集めはじめた今、「小芥子」の漢字や由来、特徴などを知っておきたいものですね。

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