「空前絶後」の基礎知識
「空前絶後」の読み方は「くうぜんぜつご」です。「空前絶後」とはきわめて珍しいことを表現しています。近年お笑い芸人がネタとして使っていることもあり、聞いたことがある人も多いでしょう。
はじめに、「空前絶後」という表現の詳しい意味や「空前」と「絶後」の二つの熟語の意味、由来・語源、使い方・例文、使用する際の注意点について、詳しくチェックしていきましょう。
「空前絶後」とはきわめて珍しいこと
【空前絶後（くうぜん‐ぜつご）】
過去にも例がなく、将来もありえないと思われること。きわめて珍しいこと
（引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より）
「空前絶後」とは、「これまでもこれからもないだろう」と考えられるような、きわめて珍しいことを表現する言葉です。基本的には、自分にとって起こらないだろうと考えられるだけではなく、世間一般の人が判断しても同じように思うような事柄に対して、「空前絶後」と表現します。「かつてないくらいで、これから先もありえないと思われるようなもの」を表すために「空前絶後の大ヒット！」などとメディアで使われている表現です。
「空前」と「絶後」二つを組み合わせた言葉
「空前絶後」という言葉は、「空前」と「絶後」の二つの熟語を組み合わせてできました。「空前」には「それより以前に例が無いさま」や「未曾有」という意味があります。
「絶後」は「将来二度と起こらないようなこと」という意味です。「絶後」には「息が絶えた後」との意味もありますが、先述の「将来もう起こらない」というほうの意味が「空前絶後」の「絶後」に含まれます。
どちらかだけであっても珍しいという意味が表現できますが、二つを組み合わせることで過去も将来もという意味になり、さらにめったなことでは起こりえないという意味を強調している言葉です。
「空前絶後」の由来・語源
「空前絶後」の由来・語源となったものは、「宣和画譜（せんながふ）」に書かれた中国の故事だといわれています。宣和画譜とは北宋の第8代皇帝である「徽宗（きそう）」の著録です。
そのなかで、「呉道子（ごどうし）」という唐代の画家の絵画に対して以下のように述べます。
「顧愷之は空前の出来の絵を描き、張僧繇は絶後の出来の絵を描くが、呉道子はその二人の才能を兼ね備えたような画家である」
呉道子をこのように評価した言葉から、「空前絶後」ができました。
「空前絶後」の使い方や例文
「空前絶後」の使い方を例文でチェックしていきましょう。今までになくこれからもないという意味を持つ「空前絶後」は、大変珍しいことだと強調する場合に使います。「空前絶後」の例文は以下のとおりです。
・思いがけないほどの大型受注が入り、社内は【空前絶後】の大騒ぎとなった。
・【空前絶後】の偉業を達成した彼に対して、国民栄誉賞が贈られることとなった。
「空前絶後」を使用する際の注意点
「空前絶後」を使用する際の注意点は、今後も起こりそうなことに使うのは厳密にいえば間違いであるということです。先述のとおり、「空前絶後」は非常に珍しいことと表現して使う言葉です。厳密に言えば今後も起こりそうなことに使うのは間違いのため、使用する際には注意しましょう。
メディアでは「空前絶後の大ヒット」や「空前絶後のおもしろさ」などと表現します。もしそのように表現したもの以上の作品が出てくる可能性があると、厳密には適切ではない使い方だといえますが、現在では軽い意味合いで使われるケースも増えている言葉です。
しかし、凶悪犯罪や大災害に対しては使うべきではないとされています。
芸人のネタで一緒に使われる「超絶怒涛」とは？
「空前絶後の、超絶怒涛のピン芸人！」という芸人のネタを聞いたことがある方もいるかもしれません。このとき「空前絶後」と一緒に使われている「超絶怒涛」は、どのような意味なのでしょうか？
「超絶怒涛」の読み方は「ちょうぜつどとう」で、意味は「飛び抜けて優れており、勢いが凄まじいさま」です。超絶とは「ずば抜けていること」、怒涛とは「はげしい勢いで押し寄せる様子」を波にたとえています。「空前絶後」を覚えるついでに知っておくとよいでしょう。
「空前絶後」の類語と対義語
ひとつの言葉だけではなく関連する言葉もあわせて覚えることで、言葉の表現力をあげられます。「空前絶後」と言い換えられる類語と、反対の意味を持つ対義語は、以下のとおりです。
【空前絶後の類語】
前代未聞・未曾有・稀有
【空前絶後の対義語】
平凡陳腐・平々凡々
言い換えの際には自分が伝えたい内容と同じような意味の言葉を選ぶ必要があります。「空前絶後」と言い換えが可能な類語と対義語について、一緒にチェックしていきましょう。
