「権謀術数」の意味や読み⽅とは?
「権謀術数」は、あまり聞きなれない言葉かもしれません。まずは、「権謀術数」の基本的な知識をしっかりと押さえておきましょう。
読み⽅と意味
「権謀術数」は、「けんぼうじゅっすう」と読み、人を巧みに欺く策略の意味です。四字熟語で策略を意味するとなると、昔の中国に由来する言葉だと想像される人もいるかもしれません。まさにその通り。「権謀術数」は、12世紀の中国の思想家・朱子(朱熹)が残した『大学章句序』に出てくる言葉です。
朱子は、日本の歴史上の人物にも大きな影響を与えた朱子学の創始者として、広く知られています。『大学章句序』は、儒教の経書の中でも特に重要とされる四書五経(ししょごきょう)の四書のひとつ、『大学』について、朱子が注釈として書き下ろしたものです。
この「権謀術数」の意味を理解するために、まずは「権謀術数」に使われている漢字を、ひとつずつ確認していきましょう。
「権謀術数」の「権」は、政治的な力、権力のことです。「謀」は、誤った情報で相手を陥れる謀略のこと。「術」は技法、つまり、具体的な手段を意味し、「数」は分析・計算を表しています。さらに、「権謀」で、臨機応変の謀(はかりごと)という意味、「術数」は、謀・企み(たくらみ)の意味になります。
これらの漢字で成る「権謀術数」は、政治的な目的(現代ではビジネス上の目的も)で、人を巧みに欺くという意味で使われます。単に相手のことが嫌いだから騙したり、金銭目的の特殊詐欺などは「権謀術数」には当たらないということです。
「権謀術数」と「権謀術策」の違いは?
「権謀術数」と似た言葉で、「権謀術策」というものがあります。「権謀術数」は前に説明したとおり「けんぼうじゅっすう」と読みますが、「権謀術策」は「けんぼうじゅっさく」と読み、漢字も読み方も非常によく似ており、その意味も同じです。
使い⽅を例⽂でチェック
「権謀術数」は難しい言葉なので、使うにはハードルが高く感じるかもしれません。実際に「権謀術数」がどのように使われるのかを、例文で確認していきましょう。昔の中国では権力闘争の場で使われた言葉ですが、現代では企業同士の競争、ビジネスの場でも使うことができます。
1:「彼は権謀術数に長けているから、この問題は任せておこう」
企業同士の競争など、ビジネスシーンで使うことができる表現です。
2:「あの人は権謀術数を弄(ろう)して、この難局を乗り切ろうと必死だ」
なんとか自分の責任を問われないように、また、自分の立場を守るために、人が勘違いするような情報をわざと流したり、世論を操ったりする場合に、このような表現が使えます。
3:「今度の社長は、権謀術数主義的な思想の持主だ」
新しく就任した社長が、目的のためならどんな策略や手段をも厭わない人物であるということを表す一文です。
類語や⾔い換え表現は?
「権謀術数」の例文を紹介しましたが、同時に類語も確認しておくと、理解しやすいでしょう。
手練手管
「手練手管」は、「てれんてくだ」と読みます。「手練手管」は、「手練」と「手管」で成り立っています。「手練」は巧みな技を意味し、「手管」は人を操る手段です。この2つが合わさった「手練手管」は、人を騙して自分の思い通りに操ることを表します。