「場末の飲み屋でお酒を飲んだ」というように使われる、「場末」という言葉。なんとなくニュアンスはわかるものの、「場末って一体どんなところ?」と疑問に思ったことはありませんか? そこで本記事では、「場末」の意味や使い方、類語などを解説します。
「場末」とはどういう意味?
「場末」の読み方は、「ばすえ」です。「末」は「まつ」と読むことから、「ばまつ」と読む人もいますが、誤読となります。意味は以下の通りです。
繁華街の中心部から離れた場所。また、都心からはずれた所。「―の飲み屋」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
飲食店などが立ち並ぶ、街の中心から離れた場所のことを「場末」と呼びます。どこからどこまでを「場末」とするのかは特に決まっていないようですが、町はずれにある場所ということは確かですね。
使い方を例文でチェック!
「場末」という言葉は、「街の中心から外れた場所」という意味のほかに、街から感じられるなんらかのイメージを伝えたい時に、使われることが多いものです。場所によってニュアンスが異なるため、例文で具体的に確認していきましょう。
1:場末の居酒屋に入ると、学生時代のことを思い出した。
繁華街から離れた場所にある居酒屋ということですね。街の中心から離れていることで、値段が安く、親しみやすい雰囲気のあるお店であることが考えられるでしょう。お金のなかった学生時代によく行ったお店によく似ており、懐かしさを感じる人も多いかもしれませんね。昭和の時代を思い出す、レトロな雰囲気のあるお店を想像できます。
2:失恋したので、場末のスナックでひとしきり飲んだ。
「場末」は、スナックやバーなど夜のお店に使われることが多いですね。街の中心部から離れた場所であることから、人通りが少なくどことなく寂しげで、落ちぶれているというイメージで用いられることもあります。あまり良い意味ではないため、直接お店の人に対して使うのは控えた方が良いでしょう。
3:旅先で、ふらっと場末の映画館に入った。
「場末」は、スナックや居酒屋など、飲み屋に対して使われるイメージが強いですが、別のお店や施設にも使うことができます。「街の中心から離れた場所」であれば、映画館や喫茶店なども当てはまりますね。
類語や言い換え表現は?
街の中心から離れた場所を指す言葉は、「場末」の他に、「町はずれ」「路地裏」「郊外」などがあります。それぞれの意味をチェックしていきましょう。
1:町はずれ
「町はずれ」の意味を見ていきましょう。
町の家並みが終わろうとする辺り。町の外れ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
家や建物が段々と少なくなっていく辺りのことを、「町はずれ」と表現します。町の中心から離れてしまっているため、「場末」と同じような場所を指すと考えられますね。街中の喧騒から離れ、人や建物が少ないことから、なんとなく寂しげな場所というイメージのある言葉です。
(例文)
・町はずれのガソリンスタンドに立ち寄った。
・彼女を町はずれまで見送った。
2:路地裏
「路地裏(ろじうら)」とは、どんな場所を指すのでしょうか? 辞書を見ていくと、
路地をはいり込んだ、表通りに面していない所。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
とあります。路地が入り組んだ場所や、家と家の間の細い道などを「路地裏」と呼ぶようですね。テレビ番組などでは、あえて表通りにあるチェーン店ではなく、路地裏にある個人店などに入り、美味しいお店を見つけるコーナーが人気だったりしますよね。表通りの裏にある細い路地ということです。
(例文)
・彼は小さい頃、路地裏のあたりに住んでいた。
・父は、最近路地裏巡りをするのが趣味だ。
3:郊外
「郊外(こうがい)」は、辞書に以下のように記載されています。
都市に隣接した地域。市街地周辺の田園地帯。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
東京や大阪などの都市に隣接した地域のことを、「郊外」と言います。一般的に、都心より家賃が安かったり、自然豊かで暮らしやすい場所が多いことから、郊外に家を選ぶ人もいますよね。都心の会社に、郊外から通っている人も多いでしょう。
(例文)
・新社会人である娘は、東京の郊外に住むことを決めた。
・「郊外の方が、自然豊かな場所で育った私に合っている」と彼女は言った。
4:裏町
「裏町(うらまち)」とはどんな場所でしょうか? 意味を調べてみると、
表通りの裏側にある町。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
となります。表通りの裏側にある町のことを、略して「裏町」と呼ぶようです。たくさんの人が行き交い、華やかな雰囲気のある表通りと比較して、人通りが少なく落ち着いた雰囲気があるところが多いでしょう。
(例文)
・兄は裏町の木造アパートに住んでいた。
・裏町は電灯が少ないので、夜1人で歩くのが怖い。
英語表現は?
街の中心から離れていることを表したい場合、「suburbs(郊外)」や「edge of town(町はずれ)」を覚えておくと便利ですよ。早速意味を見ていきましょう。
1:suburb
「suburb」とは、「郊外」のこと。住宅地としての「郊外」という意味や、都市の近郊という意味があります。
(例文)
・My friend bought a condo in the suburb to raise her kids.(友人は郊外のマンションを買って子育てをしている)
・My friend lives in a suburb of Tokyo.(友人は東京の郊外に住んでいる)
2:edge of town
「edge of」は、「〜の端」という意味なので、「edge of town(町はずれ)」という意味になります。街の中心から離れている場所を表現したい場合に覚えておくと便利ですね。
(例文)
・His house is on the edge of town.(彼の家は町はずれにある)
・That church is on the edge of town.(その教会は町はずれにある)
最後に
「場末」とは、「街の中心から外れた場所」のこと。「場末のバー」「場末のスナック」など、町はずれにあるお店のことを話したい時に使われることが多い言葉ですね。「場末」という言葉自体には、「繁華街から離れた場所」という意味しかありませんが、場面によっては、「懐かしい場所」「どこか寂しい場所」というニュアンスが含まれることも合わせて覚えてみてください。
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