「ノウハウ」とは? 意味と語源
「ノウハウ」は、ビジネスシーンから日常生活まで、幅広い分野で使われる言葉です。まずは、どのような意味なのか解説します。
専門的な技術や知識を指す言葉
ノウハウとは、製造など専門的な技術や知識・独自の手法を意味する言葉です。多くは経験の蓄積や試行錯誤を繰り返した結果として得られたものを指します。技術や知識をその場限りにせず、以後も活用できるようにまとめたものが「ノウハウ」と考えると分かりやすいでしょう。
独自の技術や情報は、自社の大きな強みです。そのため、ノウハウには「他社に対する競争力となるもの、秘密にしておくもの」という意味合いもあります。
1 ある専門的な技術やその蓄積のこと。「仕事のノウハウをおぼえる」
2 技術競争の有力な手段となり得る情報・経験。また、それらを秘密にしておくこと。
引用: 小学館 デジタル大辞泉
ノウハウは、企業などで複数人が共有・更新していくのが一般的でしょう。ただし、書籍やインターネットを用いたり、経験を重ねたりして個人が身につけた技術や知識も、ノウハウに含まれます。
語源は英語の「know-how」
ノウハウの語源は、英語の「know-how」をそのままカタカナ語にした言葉です。英語ではknow(知識)とhow(方法・やり方)を組み合わせた一つの単語として使われています。下記の例文のように、英語の文章や会話の中でも使えます。
【例文】
・Our strength is that we have the know-how.(私たちの強みはノウハウを持っていることだ)
・I want to know what know-how that company has.(あの会社が持っているノウハウを知りたい)
・We provide our know-how.(当社がノウハウを提供いたします)
ビジネスにおける「ノウハウ」
「ノウハウ」は、特にビジネスシーンで多用される言葉。ビジネスシーンで用いる場合に、ほかの分野と意味・使い方が異なるのかも解説します。
業務で得た専門的な知識や技術
ビジネスシーンで用いられる「ノウハウ」は、より専門的な技術や知識を意味する傾向にあります。製造方法やマーケティング手法のように、「やり方」というよりも業務を通じて蓄積されたものと考えるとよいでしょう。
また、ノウハウは資金や人材を投資した結果として確立されるものです。自社にとっては他社との競争力・差別化・ブランド化にも有効な強みとなるだけでなく、利益を生み出すものにもなり得ます。
時間をかけ、試行錯誤を繰り返して培われたノウハウは、企業にとって重要な財産の一つです。漏えいや流出が起こらないよう、適切な管理をしなくてはなりません。そのため、業務に携わる全ての人が、ノウハウの重要性を理解しておく必要があります。
法に守られている営業秘密
ビジネスシーンにおけるノウハウには「営業秘密」という意味合いも含まれています。実際、自社のノウハウを機密事項としている企業は少なくありません。また、ノウハウは「不正競争防止法」という法律によって保護されています。
不正競争防止法は、国民経済の健全なる発展に寄与することを最終目的とする法律です。不正競争の防止や、損害賠償にかかわる措置などについて定められているほか、他人や他社の技術・成果を、同意なしに使用することを禁じています。
また、従業員や元従業員が自社のノウハウを他社に漏らした場合も、不正競争防止法に抵触する可能性が高いといえるでしょう。
出典:不正競争防止法テキスト|経済産業省
出典:営業秘密~営業秘密を守り活用する~ (METI/経済産業省)
利益をもたらす知的財産
ビジネスシーンにおけるノウハウは、「知的財産基本法」によっても保護されています。この法律でいう知的財産とは、発明・アイデア・デザイン・著作物など、人間の創造的活動によって生み出されたものや、新たに発見・解明されたものです。
知的財産には「知的財産権」という権利が発生します。知的財産権によって守られたものについては、無断で使用された場合に差し止めや損害賠償の請求が可能だといわれています。
第二条 この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。
引用:知的財産基本法
似た言葉に「無形財産」がありますが、こちらは実務的で形のない資産全般のことです。アイデアやデザイン、ノウハウなどの知的財産も、無形財産に含まれます。
ビジネスで「ノウハウ」を活用するメリット
ビジネスシーンにおいてノウハウは、さまざまなメリットをもたらします。ノウハウの活用によって期待できる効果を紹介します。
業務の属人化防止・サービスの安定化
ノウハウを共有することで、業務の属人化の防止に期待できます。属人化とは、業務の情報や知識が共有されておらず、特定の個人やチームに依存している状態のことです。
属人化すると、担当者の不在時はほかに分かる人がいなかったり、業務がストップしてしまったりといったリスクが高まります。業務が滞るだけでなく、自社の信頼度の低下や機会損失にもつながりかねません。
属人化を解消・改善すれば、担当者がいなくても業務をスムーズに進められるようになるでしょう。また、製品やサービスの質・提供の安定化も期待できるといえます。
ノウハウは、技術や情報の蓄積です。常に新しいものを追加し、更新していくことで内容はどんどん充実していくため、共有ツールなどを用いて管理するのがおすすめです。