片栗粉の代用食品【とろみをつける場合】
片栗粉の用途として特徴的なのが「とろみづけ」です。水に溶いて水分の多い料理に投入して加熱すると、食欲をそそるとろみが完成します。とろみをつける料理には片栗粉が欠かせません。とろみづけとして使う片栗粉の代用となるものを3つ解説します。

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コーンスターチ
コーンスターチとは、とうもろこしから取れるでんぷんを粉末状に加工したものです。とろみをつける材料として使うと、片栗粉よりもやや緩いとろみがつけられます。
片栗粉との大きな違いは、料理の温度に左右されずにとろみを維持できる点にあります。片栗粉は料理の温度が下がるととろみが弱くなることがありますが、コーンスターチで作るとろみは、一度粘性を発揮すると、料理の温度にかかわらずとろみが持続するのが特徴です。
とろみづけにコーンスターチを使うときは、水に溶いて水分の多い料理に入れて加熱します。やや白く濁ったとろみとなる点に注意しましょう。
なおコーンスターチは、揚げ物を作るときの衣としてや、つみれや肉団子を作る際のつなぎとしても使えます。
くず粉
くず粉は植物の「葛(クズ)」の根から取れるでんぷんでできた粉状のものです。「くず餅」に代表される和菓子によく使われる材料です。より身近な使い方でいえば、風邪をひいたときに飲む「くず湯」の材料としても利用されます。
くず粉で作るとろみは、くず粉に含まれている葛の量によって粘度が左右されるので注意が必要です。葛は高価であるため、一般的に売られているくず粉には、サツマイモのでんぷんやジャガイモのでんぷんが混ぜられています。製品によってとろみのつき具合が変わるため、少量から始め、とろみの様子を見ながら投入する量を調整しましょう。
片栗粉と同じ透明感の高いとろみがつくのも、くず粉で作るとろみの特徴です。料理の見た目を重視するなら、コーンスターチよりもくず粉を使うのがおすすめといえるでしょう。
くず粉でとろみをつける場合も、くず粉を水に溶いて水分の多い料理に入れて加熱するだけです。
ジャガイモ
片栗粉の原料はジャガイモのでんぷんなので、料理にとろみをつけたい場合には、ジャガイモそのもので代用することも可能です。すりおろしたジャガイモを水分の多い料理に入れ、加熱するだけでとろみがつけられます。
ジャガイモのすりおろしでとろみをつけるときは、入れるジャガイモの量に注意しましょう。ジャガイモは片栗粉よりもとろみがつきやすいため、入れすぎるともたつきが出てしまいます。「ちょっと少ないかな?」と思える量から始め、とろみの様子を見ながらジャガイモを投入しましょう。
ジャガイモのすりおろしはつなぎとしても活用可能です。すりおろしたままを使うと水分過多になってしまうので、つなぎとしてジャガイモのすりおろしを使う場合には、キッチンペーパーに包んで水気を切ってから使うのがおすすめです。
片栗粉の代用食品【衣にする場合】
片栗粉は唐揚げや竜田揚げなどの揚げ物の衣としても使います。片栗粉を揚げ衣として使うと、サクサクとした食感に仕上がるのが特徴です。衣にする片栗粉の代用としては、さまざまな粉が使えます。片栗粉の代用になる粉を3つ紹介します。

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小麦粉
小麦粉とは小麦を製粉した粉のことです。片栗粉と同じくでんぷんを主成分とする粉なので、片栗粉と同じような使い方ができます。片栗粉の代用として小麦粉を使うときの代表的な用途といえば、「唐揚げ」が挙げられるでしょう。
小麦粉には、唐揚げの衣に粘り気を与える「グルテン」と呼ばれるたんぱく質が含まれています。そのため粉がしっかりと肉につくので、肉の水分が内部にぎゅっと閉じ込められ、ジューシーな仕上がりになります。
冷めてもおいしい唐揚げを作りたいなら、片栗粉ではなくあえて小麦粉を使うのがおすすめです。小麦粉で作った唐揚げは、時間の経過とともにサクサク食感からしっとり食感に変わるものの、衣が油を吸ってべたっとすることがないので、長くおいしい状態をキープできます。
なお小麦粉は、食材をまとめるつなぎとしても活用可能です。
米粉
米粉とは米を砕いて粉状に加工したもののことです。片栗粉と同じく、唐揚げをはじめとした揚げ物の衣として使用できます。
米粉は油を吸収しづらい性質を持っているので、衣として使うと揚げ物がカラッと仕上がります。冷めてもカリカリ食感が続くため、お弁当に入れる唐揚げの衣におすすめです。米粉は粒子が細かくなるほど衣がサクッとした食感になります。
ただし、米粉だけで揚げ物の衣を作ると、ザクザクとした食感が出すぎてしまう可能性があるので、必要に応じて他の粉とブレンドして使うようにしましょう。
米粉はとろみづけに使う片栗粉の代用にもなります。ただし、米粉でとろみをつけると白く濁った仕上がりになります。片栗粉で作ったとろみのような透明感を期待すると失敗する可能性が高いので、注意しましょう。
おからパウダー
おからパウダーとは、大豆をしぼって豆乳を作った後に残るしぼりかす(おから)を乾燥させた粉のことです。
おからパウダーで作った揚げ物の長所は、低糖質が実現できる点です。しかし、おからパウダーで作った衣はたくさん油を吸ってしまいます。調理方法によってはベタッとした仕上がりになってしまう可能性があるので、注意しましょう。
もし水分の残った生のおからを衣として使いたい場合には、おからをフライパンで乾煎りしてから使います。中火で5分ほど乾煎りすると、ベタッとした生おからがさらさらのパウダー状になります。
おからパウダーは、肉団子やハンバーグなどのつなぎとしても使用可能です。おからパウダーは乾燥しているので、ミンチ状の肉や魚に入れるとたねの水分をぐんぐん吸い、ふっくらとした食感に仕上げてくれます。
片栗粉の代用食品【つなぎにする場合】
片栗粉はミンチになった肉や魚に混ぜ込むことで、食材同士の結び付きを強める「つなぎ」として使用することも可能です。つなぎとしての片栗粉は、たねをまとめる重要な役割を果たします。つなぎとして使う片栗粉の代用となる食品を2つ紹介します。

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パン粉
パン粉とは焼き上げたパンを粉状に加工したもののことです。主な用途は揚げ物の衣で、食材の周囲をコーティングすることで、食材の水分を内部に閉じ込める役割を果たします。
片栗粉の代用としては、ハンバーグや肉団子のつなぎとして使えます。片栗粉を使ったときよりもふんわりとした仕上がりになるため、食感の違いに注意して使うようにしましょう。
パン粉をハンバーグや肉団子のつなぎとして使うと、肉だねの水分をパン粉が吸ってくれるので、かんだときに肉汁があふれる仕上がりになります。
パン粉が家にない場合には、食パンからパン粉を作ることも可能です。食パンを冷凍しておろし金ですりおろせば、簡単に生パン粉が作れます。
お麩
お麩とは、小麦粉から抽出したグルテンと小麦粉もしくはもち粉を混ぜて形にし、焼いたりゆでたりした食品のことです。みそ汁や煮物に入れて食べるのが一般的です。
お麩は粉状に加工すれば、つみれや肉団子のつなぎとして使えます。粉状にした焼き麩はとにかく水分を吸うので、つなぎとして使用すると、料理がジューシーに仕上がります。お麩にはたくさんのグルテンが含まれているため、料理をもちっとした食感に仕上げてくれるのも特徴です。
お麩をつなぎとして使うには、おろし金ですりおろしたり、ビニール袋に入れて麺棒やすりこ木などでたたいたり、フードプロセッサーにかけたりして粉状に加工しましょう。
片栗粉を切らしたときは落ち着いて代用品を探そう

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片栗粉はさまざまな用途がある分、切らしてしまうと、作れる料理のレパートリーに大きな影響を与えます。しかし、片栗粉は代用となる食品がたくさんあるので、片栗粉の性質を見極めながら食品を選べば、問題なく代用品を見つけ出せます。焦らず食品を探して、片栗粉がないピンチから抜け出しましょう。
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