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「廃れる」の意味とは
「廃れる」とは、何かが使われなくなったり、行われなくなったりすることです。一度栄えたものが衰えるさまも表します。
「廃」は「ハイ」と読みますが、「廃れる」の読み方は「はいれる」ではなく「すたれる」です。主に、古くから続いていたものが時代とともに途絶えたり、流行りがいつの間にかなくなったりする様子を表す際に用いられます。
すた・れる【廃れる/×頽れる】
[動ラ下一][文]すた・る[ラ下二]
1 使われなくなる。行われなくなる。通用しなくなる。すたる。「流行語は―・れるのも早い」「義理人情が―・れる」
2 盛んだったものが衰える。すたる。「町が―・れる」「商売が―・れる」
[補説]中世から四段活用の「すたる」も並び用いられる。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「廃れる」と「衰える」や「寂れる」の違い
「廃れる」と似た言葉には「衰える」(おとろえる)や「寂れる」(さびれる)などがあります。いずれも物事が盛んでなくなることを表す言葉です。

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ただし、それぞれの正確な意味は若干異なります。ここでは「廃れる」との違いを確認していきましょう。
「廃れる」と「衰える」の違い
「衰える」とは、物事の勢いや力が弱まることです。「廃れる」と似ていますが、「衰える」には「何かが使われなくなる」という意味は含まれません。
「流行が廃れる」ということはあっても、「流行が衰える」と表現しない点が大きな違いです。
また、「衰える」は元気や体力がなくなることも意味します。「視力が衰える」、「体力に衰えを感じる」など、日常生活での使用範囲が広い言葉といえるでしょう。
おとろ・える〔おとろへる〕【衰える】
[動ア下一][文]おとろ・ふ[ハ下二]力や勢いなどが弱くなる。盛んでなくなる。衰弱する。「記憶力が―・える」「雨脚が―・える」「文化が―・える」「家が―・える」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「廃れる」と「寂れる」の違い
「寂れる」は、「廃れる」と同様に活気がなくなることを表します。異なるのは、活気がなくなり寂しい様子を表す点です。主に「寂れた町」、「寂れた景色」のように、それまでにぎわっていた場所に対して用いられます。
「寂れる」と似た言葉に「寂びる」(さびる)がありますが、こちらは「物静かで趣がある」という意味をもつ言葉です。「寂れる」のように「寂しい」というニュアンスはないため、混同しないように気を付けましょう。
さび・れる【寂れる/▽荒びれる】
[動ラ下一][文]さび・る[ラ下二]
1 活気がなくなって寂しくなる。ひっそりする。「―・れた冬の浜辺」「―・れた町」
2 勢いが衰える。「虫の音が―・れる」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「廃れる」の使い方と例文
「廃れる」の意味や他の語句との違いを理解したところで、具体的な使い方についてみていきましょう。例文を参考に、「廃れる」という言葉を日常生活に取り入れてみてください。
- 「今年、伸びる業界と廃れる業界」をテーマにセミナーが開催された。
- トレンドが廃れるまでの期間は、思っているより早いものだ。
- かつては賑わいをみせた商店街も、ショッピングモール進出の影響で、今やすっかり廃れてしまった。
- 若者たちの間で流行語が生まれる一方、時代とともに廃れていく言葉もある。
- 伝統文化が廃れる原因のひとつに、後継者不足が挙げられる。
「廃れる」の類語や言い換え表現
「廃れる」には、さまざまな類語や言い換え表現があります。

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言葉に関する知識を増やし語彙力を高めると、状況に応じた語句を使えるようになります。正しい意味や例文を参考に、「廃れる」と似た言葉への理解を深めていきましょう。
「廃止」
「廃止」とは、それまで行っていた何かをやめることです。「廃れる」が段々と何かを行わなくなっていくのに対し、「廃止」は意思をもって行いをやめるという違いがあります。
ビジネスでは「虚礼廃止」(きょれいはいし)や「事業廃止」のかたちで用いられます。「虚礼廃止」とは、形式的な儀礼や習慣をやめることです。「事業廃止」は、一般的に廃業を意味します。
- 評価者によって差が出ることに鑑み、従来の評価制度を廃止してはどうかという声が上がっている。
- 取引先から年賀状の虚礼廃止を伝えるメールが届いた。
- 業績悪化を乗り越えられず、事業廃止を決定した。
はい‐し【廃止】
[名](スル)やめて行わないこと。「赤字路線を廃止する」「虚礼廃止」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「落ち目」
「落ち目」は、勢いがピークを迎えた後に、下降することです。かつて栄えていたものが衰えるという点が「廃れる」と共通しています。
また、「落ち目」には「人は落ち目が大事」ということわざがあります。人が落ちぶれているときにこそ、周囲の援助が必要という意味です。さらに、つらいときにこそ、自身の行動に注意を払うべきだという教訓が含まれています。
困難な状況を表す「落ち目」は、ネガティブなイメージを与えやすい言葉です。日常生活では、相手との関係性や状況を考慮しながら使用しましょう。
- 一時は生産が追い付かないほどの人気商品だったが、今ではすっかり落ち目を迎えたようだ。
- 同期の彼女は、人は落ち目が大事だと、困難に直面していた私に手を差し伸べてくれた。
おち‐め【落(ち)目】
1 勢いなどが盛りを過ぎて下り坂になること。「人気が落ち目になる」
2 商品の量目が、送り状の記載よりも減っていること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「衰退」
「衰退」は、それまでの勢いが衰え、弱まることです。同じ意味をもつ言葉には「衰微」(すいび)や「凋落」(ちょうらく)などが挙げられます。
以下のように国や企業、経済などの勢いの衰えを表す際に使用してみてください。
- 生産力の低下は国力の衰退につながる。
- 企業が衰退してしまう理由について、同僚と議論を重ねた。
- 人口流出を防ぐためにも、地域経済の衰退と活性化について考える必要がある。
すい‐たい【衰退/衰×頽】
[名](スル)勢いや活力が衰え弱まること。衰微。凋落ちょうらく。「産業が―する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用