「整合性を取る」の意味や例文を紹介。同義の表現や類語もチェック

「整合性を取る」とはどういうこと？

ビジネスではよく「整合性を取る」という表現が使われます。皆さんも自身の言動や作成した資料について、「整合性が取れていない」と指摘された経験はありませんか？ 今後指摘を受けないためにも、「整合性を取る」という言い回しについて、言葉を分解しながら理解を深めていきましょう。

「整合性」は矛盾がないことを指す

辞書を見ると、整合性は「無矛盾性」と同義とされており、無矛盾性の意味は以下のように解説されていました。

理論体系一般において、ある公理系内に相互に矛盾する公理が存在しないこと。また、そこからの命題の導出に論理的矛盾がないこと。整合性。
小学館『デジタル大辞泉』より引用

簡単に言うと、整合性とは矛盾がないことです。名詞ですので、「整合性がある・ない」「整合性を取る」といった形で使われます。

「整合性を取る」は「整合性がある状態にする」という意味

まず「整合性がある」とは、ある考え方のルールや前提の中で、互いに矛盾する部分がない状態のこと。そして「取る」には「バランスを取る」のように関係や状態を整える意味がありますので、「整合性を取る」と表現すれば「整合性がある状態にする」ということになります。

逆に「整合性が取れていない」は、「整合性がある状態にできていない」と同じ意味です。一つの前提の中で、矛盾が生じている状態を指しています。

「整合性を図る」「整合性を持たせる」とも言う

「整合性を取る」と同じ意味の表現として挙げられるのが、「整合性を図る（はかる）」です。「図る」には「工夫して努力する」「うまく処理する・取り計らう」といった意味があるので、整合性がある（矛盾がない）状態になるよう工夫したり、うまく処理したりすることを表せます。

「整合性を持たせる」も、「整合性を取る」を同じ意味として使える表現です。物事に矛盾のない状態を持たせる（矛盾のない状態にする）という意味合いになります。

整合性が「取れている」「取れていない」文章の例

言葉の意味がわかっても、具体例がないと「整合性が取れている状態」「取れていない状態」を理解しにくいでしょう。目的の同じ社内文書で、整合性が取れている文章・取れていない文章を比較しながら紹介します。

整合性が取れている例

整合性が取れている文章とは、一つの文章において矛盾がないものです。社内文書なら、日程や場所などが前半と後半で違っていたり、一度提示した日程・場所と違うことを言っていないものが「整合性が取れている文章」といえます。

＜例文＞
来週から始まる新人研修は、4月10日（水）から4月12日（金）までの3日間を予定しています。会場は本社5階大会議室です。
いずれの日も開始時間は午前9時、終了予定時間は午後5時となっています。※終了する午後5時まで基本的に退出できません。
必要な持ち物は筆記用具と社員証ですので、忘れずに持参してください。
なお、事情により参加できない場合は、4月8日（月）までに人事部○○宛てにご連絡をお願いします。

例文の場合はどこにも矛盾がなく、疑問が生じる余地もありません。

整合性が取れていない例

整合性が取れていない文章では、一つの文章内に矛盾が生じています。前述の文章をベースにした、整合性が取れていない例は以下の通りです。

＜例文＞
来週から始まる新人研修は、4月10日（水）から4月12日（金）までの2日間を予定しています。会場は本社5階大会議室です。
いずれの日も開始時間は午前9時、終了予定時間は午後5時となっています。※終了する午後4時まで基本的に退出できません。
必要な持ち物は筆記用具と社員証ですので、忘れずに持参してください。
なお、事情により参加できない場合は、4月11日（木）までに人事部○○宛てにご連絡をお願いします。

まず研修日程が10〜12日の3日間なのに、直後「2日間」と記載している部分が最初の矛盾です。また、「終了予定時間は午後5時」としながら、次の文では「終了する午後4時」と時間が変わっています。

さらに不参加の連絡期限が、既に研修が始まっている「4月11日（木）」となっており、これも明らかな矛盾です。そのため、「整合性が取れていない文章」といえるでしょう。

「整合性」を使わない言い換え表現

「整合性を取る」という表現は、ビジネスではよく使われますが、プライベートだと少し堅苦しい印象を与えるかもしれません。矛盾について「整合性」を使わず表現したいとき、どのように言い換えればよいのでしょうか。

つじつまを合わせる

「整合性を取る」に最も近い意味合いを持つ言い換え表現が、「つじつまを合わせる」です。「つじつま（辻褄）」の意味は、辞書で次のように解説されています。

《「辻」は裁縫で縫い目が十文字に合う所。「褄」は着物の裾の左右が合う所》合うべきところがきちんと合う物事の道理。「話の辻褄を考える」
小学館『デジタル大辞泉』より引用

つまり、物事の道理が通った状態にすることを、「つじつまを合わせる」と言います。矛盾がない状態にする「整合性を取る」と、ほぼ同義と思ってよいでしょう。

＜例文＞
・日報の数値は、つじつまを合わせるために改ざんされていたようだ。
・取引先と打ち合わせをしたが、先日言っていたこととつじつまの合わない部分があって何度も確認した。

筋を通す

「筋を通す」も「整合性を取る」と似た表現です。辞書では以下のように解説されています。

首尾を一貫させる。また、道理にかなうようにする。「終わりまで―・す」「―・して申し入れる」
小学館『デジタル大辞泉』より引用

ただ「筋を通す」は、文章や論理の筋道を正しく整えるというよりは、ルールや自分の意思を貫くというニュアンスで使われることが多い表現です。ビジネスの場で「整合性を取る」の代わりに使うのは避けたほうがよいでしょう。

まとめ

たとえば仕事で「整合性が取れていない」と指摘されても、「整合性を取る」ことの意味がわからなければ改善のしようがありません。言葉の意味を一つ一つ理解しながら、整合性を取ることの具体例をイメージしてみましょう。

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